福森大翔さんは26歳のときから、10万人に1人とされる希少がんと向き合い、再発や手術を経験してきました。
病気であることを伝えたうえで交際していた奥さんにプロポーズ。その直後に転移が判明します。2025年12月には入院中に結婚し、現在は夫婦で支え合いながら治療に向き合っています。
今回は、そんな福森さんの思いを聞きました。
急性膵炎から10万人に1人の希少がんとの判明
福森さんは、小学6年生から中学3年生まではクラブチームで野球に没頭し、その後、野球が強くて有名な高校に入学。大学でも4年間、野球に打ち込んでいました。
大学卒業後、仕事と野球を両立していた矢先、病は突然訪れます。2021年11月、急性膵炎で緊急入院となりました。入院前には、胃の不調が続き、当初は別の診断を受けていたといいます。

検査の結果、福森さんは医師から「腫瘍が2つある」と告げられました。この時点では良性か悪性かは不明で「摘出すれば終わるだろう」と考えていました。
その後、手術は無事に成功。しかし、摘出した腫瘍の検査で消化管間質腫瘍(GIST)・褐色細胞腫と診断。どちらも約10万人に1人とされる希少がんであることが判明しました。

高校時代から続いていた症状の正体
高校時代、野球に打ち込んでいた福森さんには頭痛の症状があり、MRI検査も受けていましたが、当時は異常は見つかりませんでした。
しかし後に、その症状が希少がんの一つ「褐色細胞腫」によるものだったと判明します。この病気はアドレナリンが過剰に分泌されることで、頭痛などの症状を引き起こすといいます。
医師からは「高校生のときから発症していた可能性がある」と説明を受けたそうです。
当時は野球に没頭していたこともあり、頭痛が病気のサインだとは気づけませんでした。振り返ると、体調不良や疲れもあったものの、それが稀な病気の兆候だったと知り、驚いたと話しています。

消化管間質腫瘍(GIST)再発、リンパ節と肝臓にも転移
その後、手術で腫瘍を取り除いたものの、胃の腫瘍が再発。2024年10月ごろにリンパ節への転移が判明しました。さらに検査の結果、肝臓にも複数の転移が見つかります。
この時点で手術は難しく、ステージ4と告げられました。
また、抗がん剤が効きにくいタイプであることから、治療は薬で抑える方法に限られると説明を受けます。治療が難しい現実を前に、不安を感じたという福森さん。
その後、抗がん剤の効果も弱まり、命の危機を強く意識するようになったと話しています。

大きな支えとなった奥さんの存在
福森さんは闘病中に奥さんと出会い、病気であることを伝えたうえで交際を始めました。プロポーズ後に転移が判明し、その際には謝ったといいます。
しかし奥さんからは「なんで謝るん!」と返されたそうです。病気を理解したうえで交際していた奥さんは、当初から支える覚悟を持っていました。
検査結果に気持ちが揺れそうなときや厳しい状況の中でも「大丈夫、私がいるよ」と声をかけてくれる存在が、大きな支えになっています。また、両親の支えに加え、気持ちや生活の面でも支えてくれる奥さんは、福森さんにとってかけがえのない存在です。

SNSでの発信、自分が治療する姿を見せることで…
福森さんは、同じ病気と向き合う人たちに何か残せるものはないかと、SNSでの発信を開始しました。
「自分が治療する姿を見せていくことで、誰かに勇気や希望を与えられたら…」と考えています。
実際にSNSでの発信を開始すると「主人も同じ病気です」「私もそうです」という声が寄せられました。また、他の病気の人から「この治療を行っています」とのメッセージもあり、こういった治療もあるという情報共有が福森さんの支えにもなっています。
「発信して本当によかったと感じています」と話していました。
「最後は勝つ」を胸に
福森さんのSNSの投稿には「最後は勝つ」と記載されています。
これは福森さんの母校の野球の「泥臭く粘って粘って最後まで食らいついて、最後試合が終わったときに1点勝っていたらもう勝ちだよね」という考え方の恩師の言葉からでした。
「今は病状がよくないかもしれないし、いいことも悪いこともあるけれども、最後、病気に勝てたらいいかな…」という思いで、この言葉を胸に日々の治療を頑張っていることを語ります。

福森さんは、病気と向き合う人に向けて「ネガティブになりがちでも、自分の中にある小さな光や希望を見つけ、そこに向かって進んでほしい」とメッセージを送っています。
また「今ある環境は当たり前ではない。そのことを大切にしながら、日々を過ごしてほしい」とも語ります。
現在、奥さんは新しい命を授かっているとのこと。福森さん自身も、病気を前向きに受け止められるようになってきたといいます。
「家族をしっかり支えていきたい。妻と子どもと、少しでも長く楽しい時間を過ごせることが一番の願いです」と話していました。

今この瞬間を大切に、家族との時間を積み重ねる福森さん。その「最後は勝つ」という決意は、多くの人に勇気を与え続けるはずです。

