元SDN48のメンバーで芸人や、ギャル書道家としても活動していた“なちゅ”こと竹川奈津子さんは、現在株式会社マークス不動産(東京都中央区)で芸能人や著名人に向けた不動産紹介サービス「御用達不動産」を担当している。

アイドルから不動産業界への転身を遂げ、現在宅地建物取引士として日々仕事に励んでいる竹川さん。今回竹川さんに現在のお仕事について取材した。

元々ギャルサーの“総長”をしていた

元々ギャルサーの総長として活動していた竹川さん。ギャルの良さを広めたいという思いからオーディションを受け「恋のから騒ぎ」に出演。そのときにテレビの楽しさを知り芸能界に憧れを持った。

また、共演した芸人・青木さやか氏にもインスピレーションを受けたという。竹川さんは「誰にも媚びず、赤裸々に自身のことを話す姿がかっこいい!」と憧れを持ち、ワタナベエンターテインメントの養成所に入所。1年間通い、その後同事務所に所属。そこで「君は芸人がいいね!」と言われ、芸人として入った。

その後、SDN48へ。アイドルに憧れていたこともありSDN48に入ったことは嬉しかったものの、SDN48の中でも自分はMC要員だと自負していた。

竹川さん自身、「可愛らしいアイドルよりも他のメンバーをいじったり、場を盛り上げたりするMCの仕事の方が向いていると思った」と感じていたようだ。

芸能界から不動産業界へ

竹川さんは現在マークス不動産の“御用達不動産”にて、代表執事兼タレントとして芸能人や著名人に向けて不動産の紹介をしている。賃貸、売買、投資を行っており、タレントであることを活かし芸能人独特の不動産の困りごとを解決している。

「昔、賃貸の不動産で保証会社の審査は通ったのに、オーナー審査に落ちたことがあったんです。そのとき自分の存在意義を否定された気がしてすごく落ち込んで泣いたんです。そういう思いを若手にはさせたくないなと思っています」

収入が安定しない芸能界では、このように審査が通らないことがあるという。そんな中、「なちゅなら安心して任せられる!」と言ってくれる知り合いたちの言葉に竹川さんはやりがいを感じている。

竹川さんはこれまで300件以上を成約。芸能関係者の間で口コミが広がり、紹介を通して多くの芸能関係者たちの不動産の手助けをしている。
直接知り合いではなかった方や、大物芸能人の方などもご縁で繋がることが多い。

「友人から始まった契約が『他の不動産で審査落ちちゃった!なちゅさんどうしよう…』と後輩の芸人から相談されたり、『男性の担当者と内見に行くのが怖い』というアイドルの子から相談されたり、身近なお友達からどんどん紹介が増えていきました。自分の娘のような感覚でお手伝いをしています」

転身の背景

SDN48を卒業後、MCやタレントと平行してギャルを世界に広めるべく書道の師範代を取り「ギャル書道家」として活動。人の体を半紙に見立てて書く「ボディー書道」も商標登録し精力的に活動していた。

そんな中、投資用不動産の事業を営んでいた父が病気で倒れてしまう。
日に日に元気がなくなっていく父を見て、「私がやりたいことはお父さんの力になることだ」と思い、不動産会社のアルバイトを始める。不動産業界へ転身することに「迷いはなかった」と竹川さんは話す。猛勉強の末、3回目にして宅地建物取引士の資格を取得。

合格したとき竹川さんの父はとても喜んでくれたという。
「現在は父の体調も回復し、不動産事業を再開しています。芸能と不動産の仕事を両立する姿を見て喜んでくれているのが嬉しいです」

将来はお父さんと一緒に仕事をすることも視野に入れており、「いつでもお父さんがジョインしてくれてもいいと思っているし、一緒に仲介もできたらいいなと思っています。けどまずは御用達不動産を頑張りたいなと思っています」と話す。

異業種への転職でも“ワクワクしかなかった”

顧客の生活に直接関係し、大きな金額を動かすことも多い不動産業界。異業種から不動産業界への転職となると、身構えてしまう方も多いだろう。しかし、竹川さんは特に不安はなく、ワクワクしかなかったという。

「アルバイト先の賃貸の営業マンの方がみんなできる方が多く、すごくかっこよくて尊敬できる方が多かったんです。なので、すげぇ!かっこいい!というワクワクしかなかったです」

それまで不動産業界にまったく興味がなかったという竹川さんだが、アルバイト先での先輩方との出会いに不動産業界に憧れを持ったという。

唯一苦戦したことは宅建の資格取得だった。竹川さんは「自身が明るくてギャルっぽいキャラだったため、その印象だけで終わらせたくないという思いが強く、宅建は絶対に取りたいと思っていました」と話す。なかなか取れず3年かかってやっと合格。アルバイトをしながらの資格の勉強は苦戦したという。

“芸能界の不動産=なちゅ”が広まってほしい

竹川さんに今後の展望について聞いた。

「もっともっと『芸能界のお部屋探しなら御用達不動産』『芸能界の不動産=なちゅ』と認知してもらい、お気軽に問い合わせていただきたいと思っています。また、若手芸人さんが審査に通りづらい問題についても、一から弊社でマンションを借り上げて、若手芸人が審査に通りやすい、安心して住める物件を提供していくのが今の夢です。
また、私自身39歳独身というのもあり、今後の年金なども不安に感じています。芸能人は安定した収入を得るのが難しいからこそ、リスクもきちんと説明した上で投資用不動産なども提案できればと思っています。安心して夢を追いかけられるような環境を整えていければと思っています」と自身を「独身=未入居物件」と例え明るく答えてくれた。
その人柄が顧客からの安心感や信頼を勝ち取っているのかもしれない。

御用達不動産では顧客が安心して依頼できるよう、スタッフに元タレントや現役のタレントの方を起用している。芸能人やアイドルのセカンドキャリアについて悩む方は少なくないだろう。“元アイドル”、“元タレント”だからこそできる仕事が、世の中にはたくさんあるのかもしれない。

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