文化も言葉も異なる海外での生活は、新たな発見と感動の連続です。
今回お話を伺ったのは、ベトナム出身の20代の会社員、リンさん(仮名)。初めて日本に足を踏み入れたその日、大きな衝撃を受けたといいます。
リンさんが日本で初めて感じた驚きと、その後の心温まるエピソードについてご紹介します。
初めての東京
初めて東京に到着した日のことは、リンさんにとって忘れられない光景です。
成田空港から山手線で都内へ向かう電車の中は、信じられないほど静かでした。
「乗客のみなさんが静かにスマホを見たり、本を読んだりしている様子は、私の国では考えられませんでした。
ベトナムでは電車の中で友達と話したり電話をしたりするのはごく普通のことですから、『日本の電車って、こんなに静かなんだ!』と本当に驚きました」
さらにリンさんが感動したのは、電車の到着時刻の正確さでした。
「新宿駅で乗り換える時も、駅の案内表示通りに電車が到着し、スムーズに移動できたことに心底感心しました。日本の交通システムの正確さと秩序は、本当に素晴らしいと思います」
日本は規律と配慮を重んじる社会

電車の中での静けさや、時間の正確さを肌で感じたことで、リンさんは日本社会に対する印象を深めました。
「日本では、皆が規律を守り、周りの人への配慮をとても大切にしていると感じました。自分の行動が他人にどう影響するかを自然に意識しているように見えました。それ以来、私も電車の中では通話を控えたり、公共の場では周囲に気を配るようになったんです」
日本に来る前はアニメやおいしい食べ物といったイメージが強かったリンさんですが、実際に生活してみて、人々のマナーや日常の丁寧さに触れ、日本文化の奥深さに魅了されたといいます。
落とした財布がそのまま戻ってきた!日本人の親切心に感動
日本での生活を送る中で、リンさんにとって忘れられない感動的なエピソードがありました。
「ある日、不注意で財布を落としてしまい、気づいた時は本当に絶望的な気持ちになりました。ところが、その日の夕方、最寄りの交番に行ってみたところ、なんと誰かが私の財布を届けてくれていたのです。中のお金もカードも、すべてそのまま無事に戻ってきて、本当に信じられませんでした」
その時の感動を、リンさんは今でも鮮明に覚えています。
「こんなにも正直で親切な人たちがいる国なんだと、心から感動しました。この経験は、ただ観光に来ただけでは決して味わえない、日本人の心の美しさに触れた瞬間でした。そして私も、困っている人がいたら迷わず助け、落とし物を見つけたら必ず届ける、そんな行動を心がけようと強く思いました」
安全で親切な日本での生活、言葉の壁には注意
日本での生活を通して、リンさんは他の外国籍の方々に伝えたい魅力として、日本の安全性と人々の親切さを挙げました。
「日本は本当に安全で、人々はとても親切です。落とし物がきちんと戻ってくる社会というのは、本当に特別なことだと思います。また、公共のルールやマナーがしっかり守られているので、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、慣れてしまえばとても快適に暮らせます」
一方で、言葉の壁は時に苦労する場面もあるため、基本的な日本語やマナーを少しでも身につけておくことを勧めています。
ベトナム出身のリンさんが日本で体験した、静かで秩序ある電車内の光景、そして落とした財布がそのまま戻ってくるという心温まるエピソードは、日本社会の美しさを象徴しています。
リンさんの体験は、私たち日本人が普段当たり前に感じていることの中に、世界に誇れる魅力があることを改めて教えてくれました。