子どもの発想は、ときに大人をハッとさせ、ときにクスッと笑わせてくれるものです。今回は、冷凍庫の扉に貼られた一枚のメモで“攻防戦”を繰り広げたという綾香さん(仮名・40代・パート勤務)に、思わずほほ笑んでしまう家庭内エピソードを伺いました。
お風呂上がりの楽しみを阻む“危険”表示
「夜、ひとりでゆっくりアイスクリームを食べるのが私の日課なんです」と語る綾香さん。
ある日の入浴後、いつものように冷凍庫へ向かうと、扉には大きな文字でこう書かれたメモが――
「さわるな!キケン!」
「えっ、冷凍庫に何が入ってるの!?」と一瞬背筋が凍った綾香さん。状況を確認しようと扉を開けたかったものの、“キケン”という文字が妙にリアルで、思わず手を引っ込めてしまったそうです。
“犯人”は就寝中の息子!?
恐る恐るメモをはがして中身を確認すると、そこにあったのはごく普通の食材と――息子が大好きなチョコレートアイス。
「危険どころか、とっても甘いモノしか入っていませんでした(笑)」。
どうやらメモの差出人は、すでに寝室へ行っていた小学3年生の息子くん。自分のアイスを守るため、母の行動パターンを読んで“警告文”を用意していたのです。
真相は「ママはアイス泥棒!」?
翌朝メモの意図を尋ねると、息子くんはいたずらっ子の笑みでこう答えました。
「ママはいっつもお風呂上がりにアイス食べちゃうから、オレの分がなくなるんだもん!」
「“危険”って言い回しで私を止めようとした工夫に、笑うしかなかったですね」と綾香さん。息子くんなりに“最強のセキュリティワード”を選んだ結果が、“さわるな!キケン!”だったわけです。
家族ルール誕生!最後の1個は誰のもの?
この出来事以来、冷凍庫には常にアイスを多めにストックするようになり、“最後の1個を食べるときは必ず申告”という新ルールが誕生。
「おかげで“アイス泥棒”疑惑も晴れ、家族会議のたびに笑い話として語り継がれています」と綾香さんは笑います。
“キケン”の先に見えた、子どもの想像力
綾香さんにとってはドキッとする警告だったものの、息子くんにとっては最愛のチョコアイスを守るための最終手段。
「子どもの発想力ってすごいですよね。『キケン!』と書けば大人がひるむことを、しっかり理解しているんだなぁと感心しました」。
“危険”の二文字が取り持った母子のアイス攻防戦。家族のなかで交わされるユニークなメモひとつで、日常がちょっぴり楽しく、そして甘く彩られた夜でした。