色とりどりの缶バッジ。やわらかいタッチのイラストには、ラーメンを覗きこむ犬と猫、犬をバイクに乗せて走る男性、カフェ店員に扮した猫など、どこかに犬や猫が描かれています。これらは、広島県東広島市を中心に活動する動物福祉啓発団体「ワンハート制作委員会」が、地域の店や団体とコラボレーションした缶バッジです。

目指すは保護犬猫のいない街づくり

ワンハート制作委員会 左から山田りえさん、吉岡亜貴さん、くみこさん、代表の古賀木綿子さん

ワンハート制作委員会は、保護犬や保護猫がいない街づくりを目指し、2012年から活動をスタートしました。週に1度のラジオ番組、東広島市や広島県と連携した譲渡促進イベントや動物愛護写真展の開催、犬猫のむやみな繁殖を防ぐ活動の手伝いなどをしています。

家族であるペットとともに終生暮らす工夫や、「野良」と呼ばれる犬や猫を増やさないための知識を共有し、犬猫の殺処分数をゼロにしていきたいという思いで活動しています。

2020年10月のイベントの様子 提供:ワンハート制作委員会

譲渡促進イベント「保護犬猫を迎えよう」では、東広島市の教育委員会と連携し、市内の小中学校・高校の子どもたちにチラシを配っています。イベントに来てもらうことはもちろん、チラシを見るだけでも、保護犬猫について考えるきっかけにしてもらおうという狙いです。

「保護した犬猫の譲渡会を定期開催していますが、犬猫を飼いたい人とのマッチングだけが目的ではありません。なぜ譲渡会を開かないといけないのか、社会的課題も一緒に理解してほしい」と、代表の古賀木綿子さんは話します。

ワンハート制作委員会 吉岡亜貴さん(左)、代表の古賀木綿子さん(右)

店に足を運んでもらいたい

店舗とコラボした缶バッジは、コロナ禍で人が減った地域の店舗に、少しでも足を運んでほしいとの思いから始めました。

地元の店に詳しく顔が広い山田りえさんが協力店を集めます。OKが出た店は、イラストレーターのくみこさんがやりとりをし、イラストを作っていきます。中には「自分の姿を缶バッジに入れてほしい」といった要望が出ることもあるのだとか。

「最初は『こんなの売れないよ~』と言っていたお店でも、案外売れて、『別パターンも作ってほしい』と缶バッジの種類が3種類になったお店もあるんですよ」(山田りえさん)

口コミで「うちのお店の缶バッジも作って」と声がかかるケースも増え、現在、17の店舗・団体とのコラボレーションが実現しています。今後も増えていく予定です。

誰もが参加できる応援の輪

缶バッジは店舗のみでの販売です。店頭に缶バッジと募金箱があり、そこに代金200円を入れる仕組みで、同時に寄付も募っています。缶バッジの売上と寄付は全て、保護犬猫のいない街づくり活動と、犬猫たちの医療費に使われます。

「缶バッジの金額に上乗せして寄付がいただけるケースも多いです。役に立ちたい、と思ってくれている人が、実はたくさんいたんだということに気がつきました」(吉岡亜貴さん)

「ワンハート制作委員会のメンバーは何人ですか」と聞くと、「何人だろう……。『できる人ができることを』をモットーに、保護犬猫の預かりボランティアや、イベントスタッフなど、いろんな関わり方をしてくれている人がいますから。缶バッジに協力してくださってるお店も、メンバーといえばメンバーなのかなぁ」と古賀さん。

こんなふうにやわらかい繋がりだからこそ、広がりやすいのかもしれません。保護犬猫のいない街づくりを目指し、誰もが参加できる応援の輪が確実に生まれてきています。

提供:ワンハート制作委員会

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