2021年8月の豪雨により、西日本を中心に河川の氾濫、浸水等の被害が相次ぎました。兵庫県伊丹市を拠点にする認定NPO団体・日本レスキュー協会は、被災したペットを飼っている世帯に向け、ペット用の物資を無償で配布しています。エリアは佐賀、長崎、福岡、広島、岐阜、長野、熱海などです。

日本レスキュー協会は、1995年の阪神淡路大震災を契機に発足。災害救助犬やセラピードッグの育成・派遣、動物福祉保護・愛護活動を通じて、『人と犬が真に共生出来る社会』を目指しています。今回のペット用物資の支援について、本部の髙木美佑希さんに取材しました。

ペットは家族、支援は当然

日本レスキュー協会の高木美佑希さん

「お問い合わせいただいたら、被災された状況をお伺いし、ケージ、ペットフード、おやつ、レトルト、ペットシーツ、シャンプータオルなど、状況に合わせたペット用品を送ります。物資が届いたら写真を送っていただくことで確認ができ、私たちもほっとします」

日本レスキュー協会は、8月15日から支部のある佐賀を中心に支援活動を展開。被害の大きかった佐賀県大町町や武雄市を中心に、ペット支援を行っています。現在も2名のメンバーが現地で活動を続けています。

静岡県熱海市伊豆山地区で起きた熱海土砂災害の現場にも、日本レスキュー協会は災害救助犬を派遣

髙木さんも様々な現地団体と同行し、犬や猫などのペットを飼っている家庭を訪問。今回の豪雨では自宅避難者が多いためニーズが把握しづらかったり、避難所がペット不可といったような問題にも直面しました。

ペットと過ごせる一時避難場所として、日本レスキュー協会所有のマイクロバスを手配。避難所に設置した様子

また、「これは佐賀だけに限らず、広範囲の人たちが大変な状況になっているはず。せめて物資だけでも届けて、被災者の生活の負担を減らし、笑顔になってもらいたい」と思い、エリアを九州から広島、岐阜や長野、熱海に広げた支援を企画したと言います。

「現地支援をしている方より、無償支援物資が届いた方から『以前より声が明るくなっていました』『猫のきなこが美味しそうに食べよるよ』というメッセージが送られてきたと聞き、本当にほっとしています。そして自分たちでもできることをしよう!と思っています」

日本レスキュー協会による「ペット無償支援物資」を受け取り、『猫のきなこが、美味しそうに食べよるよ』と笑顔

家族同然のペットたちと周りの方々が、少しでも救われるよう

髙木さんの所属は、日本レスキュー協会の災害救助犬事業。災害救助犬と共に多くの被災地支援に当たってきました。今回、普段の業務に加えて、被災ペット支援チームに関わり「こんなに困っている人たちがいるんだ」と改めて痛感したそうです。

高木さんと、訓練中の「陸」。有事の際にいつでも出動できるよう、毎日の訓練は欠かせません

「コロナ禍のために、ボランティアに行きたくても行けないという方々が多くいらっしゃいます。私たちは皆さんの気持ちを含み、これからも活動を続けていきたいと思っています。1人でも多くの方が笑顔になってもらえるよう、家族同然のペットたちと周りの方々が少しでも救われるよう、精一杯活動していきます」

高木美佑希さんと、災害救助犬のジェイ、太陽

高木さんは、支援を必要としている人は、気軽に連絡をしてほしいと呼びかけます。

「『連絡してもいいのかな、貰ってもいいのかな……』と遠慮される方もいらっしゃるかもしれませんが、大変な時はみんなで支え合うのが当たり前。お気軽にお問合せ下さい」

【ペット物資の無償支援 問い合わせ先】
認定NPO法人  日本レスキュー協会 被災ペット支援チーム
連絡先:072-770-4900
メールアドレス:rescue@japan-rescue.com

佐賀県で配布されているチラシ

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