犬と飼い主の「絆と健康のため」の複合施設が岡山に 姉弟が二人三脚で夢を実現 全国初の“犬向け”筋膜リリース療法も

犬と飼い主の「絆と健康のため」の複合施設が岡山に 姉弟が二人三脚で夢を実現 全国初の“犬向け”筋膜リリース療法も
初期のトレーニングで一番大切な、アイコンタクトの練習

 岡山県倉敷市、水島湾に面した県道沿いに建つ「ウェルネスドッグパークてけてけ」。

「生まれてから老犬まで通える」をコンセプトに、大小の全天候型ドッグラン、トレーニングルーム、ドッグバスやペットホテル、ドッグカフェなどを備えた複合施設だ。2020年11月19日のオープン以来、犬好きたちの間でじわじわと評判が広がり、県内はもちろん香川、広島など県外からも利用者が訪れている。

2
2
3
3

保護犬、その原因は飼い主にあるかも!?

「私たちの役目は、飼い主さんとわんちゃんの絆づくりと健康維持(ウェルネス)のためのお手伝い。その根底には、なんでも相談できるコミュニティーを作ることで、罪なき命の殺処分をなくしたいという思いがあります」と、オーナーの赤木大造さんと姉の香緒利さん。

4
4

 ペットブームが高まるなか、動物たちを家族に迎える人は年々増えている。反面、今も年間約7000頭の犬が殺処分されているというのをご存知だろうか。保護犬の譲渡活動を通じて飼い始めたり、ブリーダーやペットショップから得たりする人は多いが、いろいろな事情で飼えなくなり、手放す人も後を絶たない。その原因が飼い主にあるとしたら……。

「なつかない、問題行動を起こすなどさまざまな理由がありますが、その原因は飼い主が引き起こしているかもしれません。犬は高齢になるのが早く、正しいしつけができていないと介護の負担が大きくなり、面倒を見きれなくなるということもあります。犬たちを保護犬にしないために、まずは飼い主との絆作りと健康を守るためのサポートが大切」と香緒利さんは言う。

姉と弟 二人三脚で夢を実現

 香緒利さんは13年ほど前からドッグトレーナーの勉強を始め、京都でトレーナーとしてのキャリアを積んできた。仕事を通じ、不幸な犬が生まれないようにするには、しつけや健康づくりのためのトレーニングをしっかり行い、人と犬との関係性をよくすることが大切であると実感。帰岡して家業のクリーニング屋を手伝いながらも、いつかは犬と飼い主のための施設を作る構想を温めていた。

6
6

 その話を聞いた大造さんは姉の考えに共感し、勤めていた会社を辞めて姉とともに施設の立ち上げを決心。サラリーマン時代に培った営業やマーケティングのノウハウを活かし、運営面で姉をサポートしている。

さまざまな学びを通じて人と犬の関係づくり

 てけてけには、統括トレーナーを務める香緒利さんを含め、4人のトレーナーが常駐。飼い主と犬がともに学ぶ「わんこの絆教室」としてパピー教室、犬の幼稚園(預かりトレーニング)、成犬を対象にしたファーストステップ教室やマナー教室などニーズに合わせてさまざまなクラスがある。

7
7

 基本的なアイコンタクトに始まり、散歩の引っ張りをなくすためのヒールワーク、ドッグランでの遊びなどを通じて、人と犬の関係づくりはもちろん、犬同士の遊びの中から社会性を学び、犬も人もいろいろな経験を積み重ねていく。

8
8

「しつけに悩んでいる人、特に人間がやさしすぎて犬にしっかり伝えられず、犬が勘違いすることが問題行動の引き金になっているケースは多いですね。動画配信を見ながらやってみたけどうまくいかないと聞きますが、犬種によって性格や癖も違いますし、難しいのはあたりまえ。てけてけでは、専門家がカウンセリングし、詳しく聞いた上で何が原因かアドバイスしつつ改善していきます」

10
10

トレーニング、筋膜リリースで健康増進

 また、健康づくりではバランスボールを使っての体幹や筋力のトレーニング、筋膜リリースの施術も取り入れている。

11
11

 筋膜リリースとは、表皮、真皮、筋肉を繋いでいる筋膜が癒着して体の動きが悪くなることに着目し、その筋膜を専用機器で吸引することで動きやすくして、全体のバランスを改善するもの。人やサラブレッドへの施術ですでにエビデンスが得られており、てけてけではMJカンパニー(岡山市)とコラボした全国初の犬向け筋膜リリース療法を行い、股関節形成不全や脱臼癖、単色脱毛、可動域の改善などに効果が出ているという。

13
13

「大型犬は自分の体重を支えるのにかなり負担がかかるため、股関節を痛めやすいんです。すでに多くのわんちゃんが症状を改善できていますので、今後はHPやYou tubeなどでその様子を発信していく予定です」

12
12

「犬も人も幸せに」を願って

 より深い信頼関係を築くことは、命を育てるという飼い主の責任感を育むことでもある。

「何かあったとき、いちばんかわいそうなのはわんちゃん。以前、人を噛んでしまい、今度噛んだら保健所に連れていきなさい!と家族に言われたおばあちゃんがいて。トレーニングをした結果、噛まなくなり、とても感謝されたことがありました」

15
15

 日本は動物愛護法にしても生体販売にしても、ペットを取り巻く環境はまだまだ発展途上にある。
「てけてけに足を運ぶ人はそれなりに意識の高い人が多いけれど、そうでない人にも気づきを与えてあげられ、正しい知識を提供する場になれたらと思います」

 犬との正しい付き合い方を学び、いい関係を築くことで互いのQOL(Quality of Life)を向上させる。そして、「最良のわんこライフを送ってもらうこと」が2人の願いだ。

オンライン上でも発信を

 最近はコロナ禍の影響もあって犬を飼い始める人が急増しており、都心部ではトリミングサロンの予約が取れないというケースもあるそう。反面、癒しを求めて飼い始めたものの、飼いきれなくなってすぐに手放すという状況も出てきている。

「早くオンラインでアドバイスなどができるよう、HPやYou Tubeチャンネルを整備しているところです。ネットでのカウンセリングも可能だし、今まで教室に通うことで改善した子たちの内容やトレーナーの考え方などをウェブ上で伝えれば、きっと飼い主さんたちの役に立つはず。そのためにはしっかりオンライン上での発信をしていかなければ」

 これからの新たな展開について、大造さんは目を輝かせていた。

16
16

この記事の写真一覧はこちら