困っている人に手を差し伸べることは意外と難しいものです。いざとなるとためらってしまう人も多いのではないでしょうか。

どう声をかければいいのかわからない…。かえって迷惑だったり、嫌がられたりしたらどうしよう…。と思いなかなか行動に移せないこともありますよね。今回はそんな場面で勇気を出した人のお話です。

泣き止まない子どもと、困っているお父さん

ショッピングモールにあるフードコートでの出来事です。
リカさん(仮名)の近くの席には、9ヶ月くらいの小さな男の子と、お父さん、お母さんがいました。

途中、お母さんはトイレに行き席を外しました。
そのとき、お父さんに男の子を預けていったのですが、しばらくすると男の子は盛大に泣きだしてしまったのです。
お父さんは抱っこをしながら、立ち上がって体を揺らしたり、あやしたりしましたが、一向に泣き止みません。

必死に泣き止ませようとしているお父さんを不憫に感じたリカさんは、手元にあったスーパーの袋を小さく丸めてこすり合わせ、カサカサと音を立てながら男の子に近づいてみました。
すると男の子は音に反応するかのようにピタッと泣き止みました。
男の子は「なんの音だろう?」「どこから聞こえるのかな?」というように辺りをキョロキョロし始めました。

もう少し男の子にわかるように、見えるところで音を立ててみたところ袋の音に気がついて、リカさんをじっと見つめニコッと笑顔を見せてくれたのです。
男の子がリカさんに手を伸ばしたので袋を差し出すと、不思議そうに触れて遊び続け、すっかり泣き止んだのでした。

思い切って行動したことで、幸せな気持ちに

リカさんにそのときの話を聞いてみました。
ーその行動を取った理由を教えてください。
私の子どもも幼いとき同じようにビニール袋の音で泣き止んでいました。お腹の中で聞いた音に似ているらしく、効果があるようです。今回も試しにやってみると大成功でした。どうにか笑わせたいと思う気持ちで試したことが、うまくいってよかったです。

ー男の子とお父さんはどういった反応をしていましたか?
男の子はとっても嬉しそうに袋に手を伸ばし、足をバタバタさせながらニコニコと笑ってくれました。お父さんからも「助かりました」と言ってもらえました。知らない人が近づき袋を持っていったら、不審に思われるかもしれないと少し不安だったので、この一言がとっても嬉しく忘れられません。
慌てていたお父さんが柔らかい表情になり男の子に向かって「よかったねー」と話しかけていた雰囲気もあたたかく、いい時間になりました。

ーその後はどんな様子でしたか?
お母さんが戻り、抱っこをしているときも男の子が私をじっとみていたので、お母さんからも再度「ありがとうございます」と言ってもらいました。何度も感謝してもらい幸せな気分でした。

ーご自身がした行動について、どう思いましたか?
声をかけるときは正直、とても勇気がいりました。困っているお父さんを少しでも助けたくて思い切って声をかけました。勇気を出して本当によかったです。

SOSをもっと出していい

ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
困っているような親御さんをみかけると必ず目がいってしまいます。私に手伝えることがあれば手を貸したいと以前より強く思うようになりました。

ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
あなたは1人ではないということと、周りには助けてくれる人が必ずいるということを伝えたいです。そして、待つより自分から声を出して周りに協力や助けを求めることも大切だと思います。人に頼られて嫌だと思う人はいません。ぜひ声を出してほしいです。

もし知り合いが困っていたらすぐに声をかけますよね。同じように、その場にたまたま居合わせた他人だったとしても「困っていたら助け合う」ということが当たり前になっていけば、みんながもっと暮らしやすくなるのではないでしょうか。まずは声を出して一歩踏み出してみましょう。

※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。

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