1990年代、空前のルーズソックスブームを陰で支えていた存在、それがソックタッチです。ソックタッチは液状の糊で、靴下がずり落ちないように止めるためのもの。1990年代に女子中高生だったルーズソックス世代にはおなじみの必需品ですが、実は発売されたのは1972年。今から半世紀も前のことだったのです。

現在販売している商品。今はピンクと青の2色のみになっています。

「ソックタッチを忘れて工作用の糊で代用したことがある」など、さまざまな思い出がある人もいるのではないでしょうか。

発売から50年、ずっと変わらず靴下とともにあり続けるソックタッチ。その知られざる歴史を、白元アース株式会社の担当者に聞きました。

マーケティング戦略部の竹内陽子さん。

「ソックタッチが発売された1972年頃は、ミニスカートにハイソックスが女子大生の定番スタイル。『ハイソックスがずり落ちてこない』とソックタッチは大ヒットし、このときが第一次ブームと言われています。それから約20年後に訪れた第二次ブームが、ギャルファッションが流行した1990年代。実は第一次ブームの後ソックタッチは生産中止となっていましたが、この第二次ブームで倉庫に眠っていた在庫がすぐになくなってしまい、生産を再開することになったんです」

1972年の発売当初のパッケージ(右端)。第一次ブームの際は、スポーツを楽しむ女性をイメージしたイラスト付きのものも販売していました。

時代とともに歩んできたヒット商品

ハイソックスブームもあれば、短い靴下が主流だった時代、長い靴下を折りたたんで履くのが流行った時代もありました。そういう意味で、ソックタッチは50年間常に必要とされ続けてきた商品ではありません。しかし今、ルーズソックスの再ブームが話題になるなか、昔と変わらずあり続けるソックタッチという商品に注目が集まっています。メーカーとしては第三次ブームへの期待が高まるのではないでしょうか。

「第一次、第二次ブームの頃のように、何かが流行ると誰も彼も同じファッションをしていた時代とは違い、今はファッションも多様化しています。今ルーズソックスが注目されているのも、みんながルーズソックスを履き始めたわけではなく、たくさんある流行のなかの一つというイメージですよね。これからは『ブーム』というものの形も今までとは違っていくのかもしれませんね」

第二次ブームの頃には強粘着タイプや低刺激タイプ、人気キャラクターとのコラボ商品などさまざまなバリエーションが発売されました。

低刺激のマイルドソックタッチ。

「時代とともに歩んできたソックタッチ。世代の方からは『ソックタッチひとつで学生時代のいろんな思い出が蘇ってくる』という声も聞かれます。そうした、楽しい中高生時代の思い出の隣にこの商品があるということは、メーカーとしてはとても嬉しいことです。これからも変わり続ける女性のファッションとともに、ソックタッチも愛され続けていくなら嬉しいですね」

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