グラタンを前にお箸をもって嘆いている男の子、今にも涙が溢れそうです。一体何があったのかというと、グラタンに入っていたエビ1匹1匹に名前をつけてしまって、食べられなくなってしまったというのです。そんなほっこり写真がTwitterで投稿され、30.9万件以上のいいねをつけるなど、話題になっています。
ツイートには、「優しい子ですね」「グラタンを通じて命の大切さを知ったわけですね」「ピュアで可愛すぎて私も泣きたい」などと、子どもならではの純真さにキュンとしたユーザーたちからコメントが寄せられています。

このツイートをしたのは、刺繍作家の田口ナツミ(@NatsuTagu)さん。田口さんの家には、今回の写真に写っている3歳2か月のお兄ちゃんと1歳6か月の弟がいます。お兄ちゃんが泣いたのはどういう状況だったのでしょう。田口さんに話を聞いてみました。

『靴下の履き方をレクチャーする3歳と、覚える気が全くない1歳です。』(田口ナツミさんより提供)

熱々のエビを冷ましているうちに

グラタンが好きなお兄ちゃん。特にエビグラタンのエビが大好きです。ただ出来たてのエビグラタンのエビは熱々です。別のお皿に取り出しエビを冷まします。1匹、2匹と取り出して並べると、その並べたエビに名前を付け始めました。エビちゃん、エビさん、エビ、エビー⤴︎全部で4匹です。お兄ちゃんは食べ物に名前をつけたことは、今までなかったとのこと。

そうしているうちにエビの温度は食べごろになったので、田口さんが「冷めたやろ。食べよ」と声をかけると、ハッとした様子で「たべるのー?」と聞き返します。

「食べなよ。エビだし美味しいよ。」と田口さん。そのとき、「エーン」と、写真にある嘆き顔になってしまいました。しかし、その後1口、食べてみると「おいしー」と言ってぱくぱくと食べ始めたそうです。

「『そういえば、これは食べ物のエビやわ』と思い出したんですね。エビを全て食べ終えて、グラタンも全部食べました」

お兄ちゃんがのびのびと育つワケ

田口さんに、育児の様子をツイートし始めた理由を尋ねました。

『「ぼくのなまえ?」って3歳が聞いてきました。』(田口ナツミさん提供)

「私のツイートは刺繍作品の新着状況をあげていくというツイートで、たまに育児のことを書いていたら、私の姉が『お姉ちゃんは育児の方を見たい。甥っ子もっと見せて!!』と言われて、姉のために育児の様子を載せようと思ったのがきっかけです」

「姉は関東、私は奈良県に住んでいるので、コロナのこともあり、なかなか会う事が出来ませんでした。ツイートすると『きょうの甥っこかわいかったな』っていうラインが入ります。エビグラタンのツイートも『あぁ食べられへんかったん。かわいいな』と連絡がきました」

『法隆寺って昔からあるんだよと3歳に教えたら「ひぃばぁばより?」と言われました。』(田口ナツミさんより提供)

田口さんの夫の仕事の関係で、お兄ちゃんが3か月の時に奈良県の下北山村へ移住したそうです。現在は、奈良県の別の場所に住んでいますが、数年過ごした村での生活がお兄ちゃんの真っすぐな性格をつくったのではと考えているそうです。

「村のお友達ものびのび育っている子が多くて、村にいる時は思わなかったのですが、市内に越してみて、一人で育児して、(のびのびと育っていることに)初めて気づきました。」

他のツイートを見てもお兄ちゃんの真っすぐで純粋な性格がうかがえるものがたくさんあります。

『「木にもおへそある!」って3歳が言ってます。』(田口ナツミさん提供)

取材中にも『危ないから机からおりてー』、『あぁ食パンあけてしまったねー』などとにぎやかな様子の田口さんのおうち。

子育てで大事にしていることを尋ねると、『怒りそうになったら、『あぁ我慢しよう』と思うようにしています。いろいろ伝え方を変えて、子どもが楽しく方向転換させるような声掛けが出来ないか考えています」と教えてくれました。

田口さんが日頃グッと我慢して守っているものが、お兄ちゃんのその真っすぐで純粋な言葉に表れている気がします。お兄ちゃんの純粋な言葉にハッとさせられる体験が新鮮で、このまま聞き続けていたいと思うと同時に、のびのび成長した姿も楽しみだと思う筆者でした。

『「おててにプールできた」と3歳が言ってます』(田口ナツミさんより提供)

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