11月21日(土)、岡山県倉敷市真備町川辺地区で、「第5回川辺みらいミーティング」が開催されました。実行委員長を務めるのは、松本竜己さん(55)です。川辺みらいミーティング(以下、みらいミーティング)は、「目指そう!逃げ遅れゼロの川辺地区」というスローガンのもと、川辺地区の住民有志により2019年3月から始まった住民同士で防災を学びあう場です。松本さんが実行委員として関わり始めたのは第3回から。もともとは地域づくりなどには触れたこともなかったという松本さんがなぜ実行委員長になったのでしょうか。

被災をきっかけに生まれた疑問

2018年7月6日に起こった西日本豪雨災害により、川辺地区全域が浸水、松本さんの自宅も被災しました。松本さんは「これからのことを考えるためとにかく情報が欲しかったが、どこで誰がどんな支援をしているのか、思うように情報が得られなかった。行政や地域団体など様々な団体が真備の各地区で支援活動を行っていたが、それぞれ何を目的としているのかがわからない。また、真備地区全体でどんな支援が必要かを一緒に考えた方がいいはずなのに・・・」という疑問を感じていたと言います。 

川辺小校庭の石碑。昭和51年9月の浸水ライン

まちづくりに携わる人たちとの繋がり

そんな中、人づてに紹介されたのがみらいミーティングでした。松本さんは受講者として参加、地域防災を住民自らが担う大切さを知ります。松本さんの妻が参加していた別のまちづくり団体を介してメンバーと繋がり、実行委員として会を企画するなど、地域防災に自ら関わることになりました。

実行委員会会議の風景

みんなが思っていることを最優先に

「防災をテーマに何をするかを決めることが一番大変」と松本さんは言います。正解がない中、どこに向かうのか、何に取り組むのかをメンバーらで考えながら進めています。発災前からまちづくりに関わり、第1回みらいミーティングを立ち上げた「川辺復興プロジェクトあるく」代表の槙原聡美さんは「松本さんが活動に入ったことで、これまでのメンバーだけでは出てこなかった新しい視点で議論が出来るようになった」と話します。準備等大変なこともある中、松本さんの活力の源になっているのは、「実行委員会の中で、自分はここにいてもいいと感じられる。自分の居場所があるのがとてもありがたい。」という実感。以前は地域活動には関心の低かった松本さんですが、現在は「まちの中に知り合いができ繋がりが深まることがありがたい」といいます。「自分の意見より、まずはみんながどう思っているかを大事にしたい」という思いで活動しています。

「逃げ遅れゼロ」をめざす

みらいミーティング5回目のテーマは「防災まち歩き」。川辺地区の住民の他、国土交通省や倉敷市危機管理室の職員、川辺地区担当の保健師らも参加しました。東西南北4か所からゴールとなる川辺小学校を目指して、6人程度の7グループが約1.5kmの道のりを防災のポイントを見つけながら歩きます。 小学校に到着後、体育館でそれぞれのコースの防災マップを作り互いに発表しました。参加者は「50年も川辺に住んでいるが、実際に歩くと知らないことがたくさんあった。再発見ができて楽しかった」と話していました。

これからまち歩きへ出発!!

実はこの活動、香川大学創造工学部の学生らとも連携し、川辺小学校で授業の一環としても取り組んでいます。この日の各チームのガイドを務めたのも学生たち。今後は子どもチームと大人チームにわかれ、互いに成果発表会を行う企画も出ています。

防災マップ作り

逃げ遅れゼロを目指して、これからも住民主体の防災活動は続いていきます。

第5回川辺みらいミーティング 防災マップ作成ワークショップの様子

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