ある日、突然の頭痛に違和感。その後…医師「余命は5年から10年」2児の父としての思いに迫る

ある日、突然の頭痛に違和感。その後…医師「余命は5年から10年」2児の父としての思いに迫る
入院中(中原さんより提供)

ビーチサッカー選手として日本代表に選ばれた経験を持つ中原勇貴さんは、現役で活動する中、突然脳腫瘍と診断されました。
医師からは「もうサッカーはできない」と告げられますが、懸命にリハビリやトレーニングを重ね、復帰を果たします。
今回は中原さんに、病気のことやビーチサッカーへの思いについて話を聞きました。

試合中に襲った頭痛

2021年2月、中原さんはビーチサッカーの練習試合に出場していました。得点を決めた直後、突然頭痛に襲われます。前触れのない出来事でした。

その後、病院を受診した結果、脳腫瘍と診断されます。
「腫瘍を摘出して検査しなければ詳しくは分からない」と説明を受け、手術を受けることになりました。

脳腫瘍との診断(中原さんより提供)

手術から約2週間後、中原さんと両親は主治医から腫瘍について詳しい説明を受けました。腫瘍はグレード4で、余命は5年から10年と告げられます。

説明を受けた際、両親は涙を流していたそうですが、中原さんは涙は出ず「意外と長いな」という気持ちになります。
そして「それならば残りの時間は好きなことをしよう」と決意した当時の思いを振り返っていました。

入院中(中原さんより提供)

その後、定期的にMRI検査を受け、脳腫瘍と診断されてから約1年後に再発の可能性を指摘されます。再発の可能性が指摘されたのは、目の神経が通る箇所でした。腫瘍を摘出した場合、視力が低下する可能性があることも伝えられました。

中原さんは、命に関わる部位ではなかったことから、大きくは落ち込まなかったそうです。その後、腫瘍は手術で摘出するほどの大きさではなかったため、経過を見ていくことになりました。

復帰までの道のりと支えとなった存在

現在の中原さんは2ヶ月に1度、MRI検査をしており、今のところ残った腫瘍も大きくなることはなく、現状を維持しています。ビーチサッカー選手として復帰も果たし、私生活では結婚し、2人の子どもにも恵まれました。

中原さん(中原さんより提供)

ここまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
交際中に病気が判明した中原さんは、これから続くであろう困難を思い、何度も別れを切り出したといいます。それでも奥さんは別れを選ばず、結婚を決意してくれたそうです。

ビーチサッカーにおいては、手術時に医師からサッカーはもうできないことを告げられていました。しかし、リハビリやサポートによって、身体を動かせるようになり、それならば「ビーチサッカーに人生を捧げよう」と決意。

その後、手術から3週間で退院し、高校時代にサポートを受けていたトレーナーのもとで、体力や体幹のトレーニングに取り組みました。その後、ビーチサッカーチームのトレーニングにも復帰。

朝からトレーニングを行い、その後は通院や放射線治療を受ける日々でしたが、そうした努力によって約半年で復帰することができました。

変化したプレースタイルと葛藤

復帰を果たした中でも、中原さんは悔しさを感じているといいます。特に、試合出場の機会が減ったことでした。

これまでは俊敏に走ることができましたが、病気の影響で息が上がりやすくなり、プレースタイルは大きく変化。チームへの貢献の仕方にも変化が生まれました。

ビーチサッカー①(中原さんより提供)

そうした悔しい思いを支えているのは、常にサポートし続ける奥さんの存在でした。
「病気のことを忘れてしまう幸せを共有してくれています」と語ります。

また、中原さんは病気を経験するまで、休日は一日中寝ていることもありましたが、大きく気持ちが変化し「一日一日を大切に過ごす、充実した毎日を過ごす」ということを意識するようになり「後悔のない毎日を過ごしています」と話していました。

自分の行動で勇気を届けたい

中原さんはSNSで、サッカーのことや病気のことについて発信しています。

さまざまな思いを発信していくことで、同じ病気や同じような状況の人たちに、勇気を届けたいと語ります。
「脳腫瘍の患者はたくさんいますし、出会った仲間との別れもあります。それでも下を向かず、残された時間を前を向いて過ごし、アクティブに挑戦することを、自分の行動で届けたいと思っています」

今後の目標は、子どもにサッカーをプレーするところを見せることです。2歳になった上の子どもは、会話もできて中原さんがサッカーをしていることも知っているそうです。

ビーチサッカー②(中原さんより提供)

これまでの経験やサッカーへの思いが、今後どのような形で子どもたちへ受け継がれていくのかにも関心が寄せられます。これからの活動や関わりの中で、どのような影響を与えていくのか、その歩みにも引き続き注目が集まりそうです。

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