仕事の合間にふと目に入るメモが、オフィスの空気をやわらかく変えることがあります。
40代・男性会社員の佐藤さん(仮名)は、そんな“付箋の魔法”を体感しました。
誤字が生んだひと笑い

月曜日の午後、タスクラッシュをようやく乗り切って一息ついた佐藤さん。
隣の席では、30代の同僚・井上さん(仮名)が長めのお説教を受けていました。
気まずさを感じた佐藤さんが席を外し、戻ってくると井上さんの姿はなく、机には一枚の付箋だけが残されていました。
心が折れたので、族に出ます
旅と書きたかったらしい一文字違いの誤字に、佐藤さんは思わず吹き出しそうになるのを必死でこらえました。
心が折れても、ユーモアは折れない
後に聞くと、井上さんは空気を暗くしたまま席を立つのが嫌で、あえて“族”と書いて笑いを狙ったとのこと。
太めの文字で強調し、「ボケていますよ」と伝える小さな気配りも忘れません。
1時間ほどの“短い族”(という名の遅めのランチ休憩)を終えて戻ってきた井上さんは、「短い族でした」と笑いながら帰還。
落ち込みつつもユーモアで周囲をほぐす姿に、佐藤さんは温かい気持ちになりました。
合言葉は「ちょっと族に出てきます」
この出来事以来、チームでは「心が折れたので族に出ます」が気分転換の合図になりました。
誰かが「族に出る」と声を掛ければ、周りからは「行ってらっしゃい」と笑顔が返り、月曜の重い空気も軽やかに流れていきます。
付箋一枚が残したポジティブの連鎖
佐藤さんが今回学んだのは、小さなユーモアでも職場全体を明るくできるということ。
たった数秒で書けるメッセージが、相手の心をふっと軽くし、周囲への気配りを伝えます。
肩の力を抜いて、付箋一枚に気持ちを込める――それだけで今日を少し良い日にできそうです。