香川県を代表する景勝地「津田の松原」の中にある津田石清水神社では、年を越す1月1日の午前0時から、社殿内でインドネシアの民族舞踊であるバリ舞踊とジャワ舞踊を披露します。

踊るのはさぬき市津田町に住むプロの舞踊家・大眉さんと大石さん。神社ではなかなか見ることの出来ない、インドネシア特有の彩り豊かな煌びやかな衣装を身にまとい、社殿の中で踊る様子は圧巻です。

なぜ神社で、インドネシアの民族舞踊を始めたのか、宮司の本澤裕淑(もとざわひろひで)さんに話を聞きました。

津田石清水神社 宮司の本澤裕淑(もとざわひろひで)さん

神社と町の活性化のために

神社と津田町の活性化のために何かできないかと考えていた本澤さん。大眉さんと大石さんに、夏祭りで舞踊をしてもらうことを提案したことが最初だと言います。

「文化的、教育的なものは、一通り入れる。ここで真夜中でジャズコンサートしてもロックコンサートしてもいいんです」
これが、本澤さんのスタイルです。

2021年「夏越の大祓」の神事と奉納舞を行ったときの様子。(提供画像)

そもそもバリ舞踊は、神様に納めるための奉納舞。ジャワ舞踊は王に捧げる宮廷舞踊だそうです。神社で行う舞は奉納舞の要素もあるため、この2つの舞踊をする事は自然なことだと本澤さんは言います。

本来、奉納舞は、神様の方に向いて行うものが一般的だそうですが、津田石清水神社で行う舞踊は参拝者への厄払いを兼ねているため、参拝者に向いて行われます。そのため、舞踊をする前には、全員清め払いをします。そうして清らかな状態で参拝者に向き合うそうです。

毎年、1月1日の午前0時から津田石清水神社で行われる奉納の舞の様子

「レイトショーではなく、あくまで神事なので、そこのあたりは宮司としてしっかりやらないと、やっている意味がないです。何でも取り入れますが、やるからには(神事としての)本筋はわきまえないといけません」

この舞踊ですが、地元の人のみならず、県外から訪れる参拝客にも好評だそうです。

2種類のインドネシアの舞踊を楽しめる

インドネシアという国の中のバリ舞踊はバリ島、ジャワ舞踊はジャワ島の民族舞踊です。この2つの舞踊は、同じ国ながらかなりの違いがあるそうです。

「バリ舞踊とジャワ舞踊は、よく火と水と表現されます。バリ舞踊はダイナミックな動きが特徴です。ジャワ舞踊はゆっくりゆったりしています。日本舞踊や神楽に似ています」(ジャワ舞踊を踊る大石さん)

ジャワ舞踊の様子(提供画像)

2つの舞踊を見てみると、バリ舞踊は楽器の演奏がアップテンポでそれに合わせて動きも速いのに比べて、ジャワ舞踊は、楽器演奏がスローテンポで体全体の動きはゆっくり指先の動きを意識して動かしているように見えました。

多少アバンギャルドでも

津田石清水神社周りは津田の松原で正面は津田の海水浴場がある。眺めがとてもいい。

最後に本澤さんに、「来年はどんな年になってほしいですか」と聞きました。

「元通りになって欲しい。元通りになりましょうと言いたいです。この2年間、こんな状況であっても極力のことはやってきました。『やめましょう』というのは、すぐできます。なので、極力いつも通りやります。そうしていかなければ、神社とか仏閣は廃れていく一方です。多少、アバンギャルドでもいいから、文化的、教育的なものであれば、やっていく。それだけです」

異国の舞踊と日本の神社。2つの文化が融合し、この町独自の文化が生まれています。

夏の「夏越の大祓」の時に奉納舞をした時の様子(提供画像)

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