岡山県奈義町宮内の、那岐山の麓にある緑の木々に囲まれた小道を入っていくと、白い木製小屋「Toys&Books Crazy Farm」があります。古本やレトロおもちゃを扱う古本屋で、営むのは店主の早川仁吉さんと、手伝いをする息子の龍さんです。

お気に入りのレコードとマンガを手にする店主仁吉さんと息子龍さん

「わたし自身も古本が好きなので、どこかに出かけると必ず古本屋を探しますね。古本やレトロなおもちゃが好きな人が足を運んでくれたらいいですね。ちょっとマップでは分かりにくいですけど」

早川さん一家は、2015年に愛知県から奈義町に移住し、空き家をセルフリノベーションして生活しています。宅地内にある「Toys&Books Crazy Farm」も手作りです。

「建築の経験とかはないですけど、動画や本を見ながらつくりました。山が好きというより、静かなところが好きで。ここは自然も多いし、適度な田舎で住みやすいですね。店番は、人と会ったり、話したりするのが好きな息子に任せています」

好きな本を読みながら店番をするという龍さん

中に入ると、わずか畳2枚分ほどのスペースに、カラフルでレトロなおもちゃや古本が並び、その空間はまるで秘密基地のようです。

Toys&Books Crazy Farm 店内

幼い頃からマンガが好きだったという早川さん。古本やレトロなおもちゃ集めは家族みんなの趣味だそうです。好きなマンガを家中に並べられるだけの広いスペースが欲しいという思いから、家を購入してリフォームをすることにしました。

「当初は、古本屋を家の中でしようと思ったんですけど、モノも増えてきたし、プライベート空間もなくなってしまうので、自分たちで小屋を建てることにしました。ぼくはもともとマンガが好きで、妻は絵本が好きで、息子もモノを集めるのが好きです。好きな本を好きなだけ並べられる古本屋をはじめました」

昭和初期の雑誌やレコード付きの本も

早川さんの古本収集歴は20年以上。店には、昭和初期の本やマンガ、雑誌などの古本のほか、レコード、戦隊ヒーローなどお面、小物などが所狭と並んでいます。フリーマーケットやリサイクル市場などで入手しているそうで、自宅には、店舗に陳列していない雑貨がまだまだあるそう。戦隊ヒーローものや昭和レトロのマニアにはたまらない空間です。

また、店の入り口では、飼い猫のごえもんが出迎えてくれます。この家に引っ越してきてから、家族みんなが好きな猫も増えました。罠にかかって片手を失くした猫や、処分されそうになっていた保護猫も合わせて、現在8匹の猫と一緒に生活しています。

「お客さんがきてくれるから、この店が好き。猫も好き。猫もたくさんいる」と龍さん。

お客さんを出迎えるごえもん

早川さんは今後、古本屋以外の小屋を山の中にたくさんつくっていく計画だそうです。

「ごちゃごちゃした色々なものが寄せ集まった場所を作りたいです。パッチワークみたいな感じで。妻が好きなガーデニングのもの、花の種や野菜の苗なんかを販売したり、山の合間に本とか雑貨とかいろいろ置ける小屋をいくつか建てたりしたいなと。すべて手作業なので、かなり時間がかかって、なかなか進んでませんけど、死ぬまでにできたらいいかな(笑)」

早川さんが構想している「本の森」(早川さん提供)

静かな場所で、家族みんなが好きなものに囲まれた場所をつくりたいという思いからはじまった「Toys &Books Crazy Farm」。天気のいい金曜日から火曜日、自分だけの宝物が見つかるかもしれません。

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