鬼ヶ島に春が来た! 瀬戸内海の女木島で約3000本の桜が見頃

島の観光名所、鬼ヶ島大洞窟の周辺
島の観光名所、鬼ヶ島大洞窟の周辺
春、桜の季節。今年は久々に桜の下で宴会をする、県外の桜の名所まで少し遠出してみる、という人も多いのではないでしょうか。瀬戸内海に浮かぶ香川県の離島、女木島(めぎじま)も、桜の季節は多くの観光客が訪れる人気スポット。鬼ヶ島伝説で知られる人口120人ほどの小さな島に、約3000本の桜が咲き誇っています。
実は、そのうち2000本近くが、ここ20年ほどの間に植樹されたもの。2002年に発足した「女木島に桜を植える会」により、2008年までに約2000本が植えられました。
その後「女木島に桜を植える会」は閉会し、新たに「鬼ヶ島さくらの会」が2013年に発足して、植樹した桜の保全活動を続けてきました。「鬼ヶ島さくらの会」前会長の川井芳清さんは当時をこう振り返ります。
「1976年から、女木小学校の卒業生が卒業記念植樹で桜を植えていたんです。その後地域団体などが追加で植樹するなどしていたんですが、2002年に女木島に桜を植える会ができてからは、一大プロジェクトとして植樹が進められてきました」
「植樹する場所は、高松からもよく見える島の南側にしようということになったんですが、山なので斜面が多くて。まず桜を植えるための場所を整えるのが大変でした。一帯の草刈りをして、何百本と植樹するための穴を掘って。このあたりは笹が多いんですが、笹は根が強いので刈り取るのも穴を掘るのも大変なんです」
急な斜面で足場も悪い中、桜を植える会や地元の有志により植樹が進められました。そして、植えたあとに待っていたのが水やりでした。
「桜は植えてから何年かは水をやらないといけないんです。でもこんな山のなかで、水道も何もないでしょう。軽トラに水を入れたタンクを積んで、何往復もしながら水やりをしていたんですよ」
その後発足した鬼ヶ島さくらの会。桜の保全活動と、桜を生かした観光交流事業を中心に取り組みを続け、2018年には第1回女木島さくらまつりを開催。2日間で3000人の客が訪れました。
「植樹や維持管理には苦労もありますが、やっぱりきれいに咲いてくれたらうれしいし、島外から女木島の桜を見に来てくれる人が増えるとやりがいを感じます。今後、またさくらまつりのようなイベントが開催されて、女木島の桜がもっとたくさんの人に知られるようになるといいですね」
川井さんによると、女木島の桜は高松市中心部より1週間ほど遅いそう。4月の1週目から見頃を迎えそうです。