11月19日は、「いい・いくじ」の語呂合わせから、「いい育児の日」と制定されています。2017年に長野県が提案、岡山県を含む12県が賛同し、「家族で楽しむ・家族で学ぶ・家族でふれあう」機会にしてほしいという願いが込められています。タレント・辻希美さんの夫であり、4児の父として、テレビ、映画、バラエティと幅広く活躍している俳優・タレントの杉浦太陽さんに、育児をするための時間の使い方、夫婦関係、育児環境などについて話を聞きました。

子どもとの時間を自分の時間にする

杉浦さんは、3歳、小学4年生と6年生、中学3年生の4人の父親 (杉浦さんのインスタグラム@sugiurataiyo_officialより)

「子育ては基本全部大変。自分の時間じゃない時間の方が多いので、自分の時間じゃないところをあえて自分の時間にするようにしています」と杉浦さんは話します。

子どものためにごはんを作る、子どもとごはんを食べる、子どもと遊ぶなど、子どものためと思えるような時間も、杉浦さんは、夫婦でキッチンに立つことで、夫婦の会話の時間を増やし、自分のための時間としているそうです。

「思考をポジティブに変えていって、子どものためにやらなければいけない時間をどう楽しめるか工夫しています。⼦どもたちの成⻑を身近に見守れる時間は今しかないので、それをかみしめながら、かけがえのない自分の時間として捉えています」

杉浦さんの考えるいい育児は「遊びながら学べる育児」。例えば、料理をつくる際も、買い物から片づけまでを子どもと一緒にします。

「食を通して、イベントみたいにすると、家族の時間も作りながら、食育もできる。会話も生まれるし、楽しいから、しんどく感じないですよ」

また、子どもと共通の趣味を持ったり、SNSなどのコミュニケーションツールも活用したりしながら、子どもと心を通わせるようにしているといいます。

「長女の反抗期も少し落ち着いたので、娘と2人で話す時間を作ったり、共通の趣味をもつようにしたりしています。好きなアーティストを一緒に応援したりとか。好きなアーティストをきっかけに会話が生まれたりしています。⼀緒にCDを買いに⾏ったり、動画を⾒てダンスしたり。同じ方向を向くことによってまた別の会話が生まれています」

長女ノアさんとの時間(杉浦さんのインスタグラム@sugiurataiyo_officialより)

育児の一番の味方はパートナー

育児を始めてから、優先順位が自分や友達から‟家族”に変化したという杉浦さん。子どもとの時間はもちろんのこと、妻である辻さんとの時間や関係も大切にし、育児環境も辻さんファーストで考えています。

「妻が一番家にいることが多いので、メンタル的にも、体力的にも妻が慣れ親しんだ地域で生活しています。妻には光っていてほしいですからね」

都心に暮らしていた頃は、保育園も待機児童で入れなかったり、誰に相談したらよいか分からず孤立したりしたこともあったそうです。

「ママ友、パパ友、両親のサポートはとても大事。何かあった時には、助けてもらえるし、友達に何かあった時には助けてあげられるし、持ちつ持たれつのいい関係ができています」

子育てについて思いを語る杉浦さん

初めての⻑⼥の⼦育ては、何もかもが初めてで探り探り。自分の時間がなく、夫婦げんかも多かったそうです。

「女性は言わなくても分かってよって感じだけど、男性は言われないと分からないことが多いですね。それをお互いきちんと認識しておくことが大切かな。一人目二人目の時は、妻からしたら、言われなくても分かってよっていうけんかをよくしました。何を考えているか、何で喜ぶか、何で怒るかというお互いの取扱説明書を少しずつ作っていきながら、夫婦関係を築いていくものだなと、ここ5年くらいで思いましたね」

また、辻さんのことは、妻として見るけれど、母としては見ていない、と杉浦さんは話します。

「パートナーとの関係が最高の状態で育児をするのが一番。夫婦である前に男女から始まっているので、スタートを忘れないでおこうとは思っています。育児をする上で、パートナーが一番の味方になりますしね。夫婦関係は、互いの思いを伝え、コミュニケーションをしっかりとることで築きあげていくものだと思っています」

「妻とランチデート 家の事はいろいろやることあるけど、久しぶりの終日オフで気が楽だなぁ」(杉浦さんのインスタグラム@sugiurataiyo_officialより)

「各家庭の良さがあると思うし、理想の家族像があったり、どこかをお手本にするというよりは、僕と妻が出会ったからこそできた家庭。僕が他の人と一緒になったら、違う家庭ができていただろうし、育児も積極的になっていなかったかもしれません。妻とコミュニケーションをとりながらしてきている子育てだし、二人で一緒に築いてきた家庭です」

子育ては自分育て

「子育てをしているからこそ、子どもたちから学んだこと、教えてもらったことは本当に多いです」と話す杉浦さんは、『育児』は自分も育てる『育自』だと感じているそうです。

「子どもがいなかったら、料理や掃除のスキルそしてメンタル的にも、今の自分たちはありません。子どものことでイライラすることや大変な時期もあるかもしれないけれど、⼦どもの成⻑を身近に見守れる時間は今しかないのでしっかり受け止めて、子どもとのかけがえのない時間を大事にしたいです」

子育ての醍醐味を「人生を変える喜びがあることです。自分の生きがいです」と話す杉浦さんから最後に、これから子育てをする人、いま子育てをしている人へのメッセージをいただきました。

子育てをはじめる、子育てをしているみなさんへのメッセージ

―これから育児をする人へ
「乗り越えないといけない大変なこともあるけれど、それ以上に充実感と、子どもから学べる事、子どもから得られることがあるので楽しんでください。⼦どもが⽣まれた瞬間、⼈⽣のターニングポイントになり、今までにないかけがえのない感情が芽生えてくるとともに、自分の20年後の将来まで描きやすくなると思います」

―いま子育てをしている人へ
「頼れる人や場所があれば、ぜひ頼ってください。孤立した育児が、精神的にも一番きついと思います。子育て中のいろんな悩みって、他にも同じような悩みを抱えている家庭もたくさんあると思うので、いろんな施設や場所を活用して、悩みを共有しながら、うちだけじゃないんだ、みんなで乗り越えようといく気持ちでいてほしいです。悩みやストレスが抜けると、子どもへの愛おしさが倍増しますよ」

杉浦さんのインスタグラムより 「この度、奈義町子育て応援大使に任命していただきました!生まれ故郷でもある岡山県。晴れの国・岡山県。とてもご縁の感じますし、光栄です」

【杉浦太陽(俳優・タレント)】
大阪府出身(岡山県生まれ)。98年デビュー。俳優、タレント。 01年『ウルトラマンコスモス』主演。その後、ドラマ、映画、バラエティなどで幅広く活躍。 「ベスト・ファーザーイエローリボン賞」「イクメンオブザイヤー」「いい夫婦パートナーオブザイヤー」など受賞。趣味は釣り、料理。22年4月から1年間、岡山県奈義町の子育て応援大使を務める。

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