香川県高松市にある和菓子店「御菓子処・湊屋」。こちらでは、大人の手のひらと同じくらいの大きさの栗まんじゅうが、手作りで製造・販売されています。市内にある特別名勝・栗林公園にちなんだ「栗林のくり・大栗」です。約580グラム、直径16センチほどの大きさで、インパクト十分です。

御菓子処・湊屋の「栗林のくり・大栗」

創業1953年の湊屋で、2代目が考案したという「栗林のくり・大栗」を大切に守っているのが、3代目の佐藤亮太郎さんです。

大きさで勝負! リアルな栗のまんじゅう

湊屋の代表的な和菓子「栗林のくり」は4種類で、大きさも中身もそれぞれ違っています。その中で最も大きなサイズがこの「大栗」です。最も小さい「小栗」の20個分の大きさです。

左から、小栗・上栗・中栗・大栗(写真はサンプル)

「先代である僕の父が、インパクト重視で開発したのが、大栗です。サプライズ感あふれる贈り物として考案しました」

つややかな茶色とまぶされた芥子の実が、栗の姿をリアルに再現。大栗の中身は、白あんに刻んだ栗が入っています。刻み栗の食感と、あっさりとした白あんの上品な甘さが特徴です。

御菓子処・湊屋の「栗林のくり・大栗」

作り方は、白あんと栗を包み、木型に入れて形を取ります。その後、鉄板に出して卵をぬった後、オーブンで焼きます。その後、芥子の実をまぶし、冷めてからパックします。

「僕を含めて和菓子職人3名で作業を分担しています。午前中に一気に焼いています」

大栗の作業風景。

国産栗がまるっと10個包まれた『黄金の大栗』

大栗には、バージョンアップした『黄金の大栗』という商品もあります。

「『黄金の大栗』はインターネットでしか販売していません。さらに受注してから製造するので、注文からお手元に届くまで一週間ほどいただいています」

「黄金の大栗」

黄金の大栗は、普通の大栗と違い、大粒の国産栗が10個包まれています。こちらも重さは約580グラムです。

「栗10個は、ほぼ限界の個数です。これ以上入れると、おまんじゅうの表面に栗が出てきて成型できないので、10個に抑えました」

「黄金の大栗」の中身

また、黄金の大栗の生地には和三盆糖、白あんには希少糖を使用するなど、特別感が漂います。気になる食べ方ですが、「ホールケーキのように切って食べて、特別な芥子の実の部分は楽しく“取り合い”してください」とのこと。

和菓子店に新しい風を

ことでん築港駅の真向かいにある店舗。高松港のすぐそば。

佐藤さんは幼い頃から、創業者である祖父の作った和菓子の味に慣れ親しんで育ちました。京都の和菓子店で修業した後、地元・高松に戻り、2019年9月に家業を継ぎました。

湊屋店内の様子。

「2代目の父は、店を守ってきました。僕は、違うことをもっとやっていこうというタイプ。メイン商品であり祖父が作った『栗林のくり』の味を守り、変わらぬクオリティで出すことが大切。と同時に、地域がもっと賑わってほしいと思い、ここが高松でも面白い場所になればいいなと考えています」

香川県産の小麦・さぬきの夢を使ったバターカステラや、香川県産の白みそを使ったボーロなども開発するなど、湊屋に新しい風を取り入れる佐藤さん。2022年2月頃には店舗を改装し、カフェを併設する予定です。

「おまんじゅうやどらやきには、コーヒーも合うんですよ」

半年前に子どもが生まれ「家族を守っていきたい」と強く思うようになったと言う佐藤さん。店も、従業員も、そして創業時から販売している「栗林のくり」の味も、同じように守り続けたい、と語ってくれました。

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