「またいつもの腰痛か…」と、つい湿布やコルセットでやり過ごしてしまった経験はありませんか?
デスクワークや立ち仕事が多い現代人にとって、腰の違和感は日常茶飯事かもしれません。
しかし、その「慣れ」が、思いもよらない事態を招くことがあります。
今回は、慢性的な腰痛を「いつものこと」と過信してしまい、結果的に働き方や収入にまで影響が出てしまった20代女性の体験談を紹介します。
「今回も放っておけば治る」その過信が数ヶ月の不調へ
都内の事務職として働くAさん(20代)は、以前から定期的に腰の痛みを感じていました。
これまでは、痛みが出てもコルセットを巻いたり湿布を貼ったりしていれば、いつの間にか痛みが引いていたといいます。
「また腰痛か、くらいにしか思っていませんでした。仕事も忙しく、休みも少なかったので、せっかくの休日を病院で潰したくないという気持ちが強かったんです」
しかし、今回の痛みはいつもと違いました。
数日経っても一向によくならず、心の中で「今回は長引くな…」と違和感を抱きつつも、だましだまし仕事を続けていたそうです。
洗面所での悲劇。一瞬の動きで崩れ落ち、歩行困難に
事態が急変したのは、ある日の朝でした。
いつも通り身支度を整えようと、洗面所で顔を洗うために少し腰を屈めた瞬間、腰に激しい衝撃が走りました。
あまりの激痛に、Aさんはその場に崩れ落ちてしまったのです。
「歩くことすらままならない状態で、やっとの思いで整形外科を受診しました。
そこで告げられた診断名は、単なる腰痛ではなく『椎間板ヘルニア』でした」
整形外科の医師からは「働いても大丈夫だよ」と言われ、Aさんはその言葉を鵜呑みにして職場に向かいました。
しかし、現実は甘くありません。
立ち仕事も含むフルタイムの勤務は、当時の腰の状態ではあまりに過酷でした。
結果として、痛みに耐えかねたAさんは3ヶ月間の時短勤務を余儀なくされます。
当然、その分のお給料も減少。
身体的な苦痛だけでなく、経済的な不安も重なることとなりました。
「初期の過ごし方」を知っていれば、結果は違ったかもしれない
Aさんは今、当時を振り返って「もっと早く、正しい知識を持っていればよかった」と後悔を口にします。
「後から調べると、ヘルニアの初期は状態によって慎重な判断が必要だと知りました。
先生の『働いていい』という言葉を信じ切るだけでなく、自分でも負担を減らす方法を調べたり、職場に相談して最初から無理を控えたりしていれば、あそこまで長引いて周りに迷惑をかけることもなかったのでは、と思ってしまいます」
現在はダイエットに取り組み、反り腰を改善するためにヨガへ通うなど、姿勢を保つための筋肉づくりに励んでいるAさん。
二度と同じ思いをしないよう、自分の体と向き合う習慣がついたといいます。

【専門家のコメント】椎間板ヘルニアについて注意したいポイント
腰痛は多くの人が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。筋肉や関節の負担によるものも多く、「すべてが椎間板ヘルニア」というわけではありませんのでその辺りの書き方は必要と感じました。
椎間板ヘルニアは、背骨のクッションの役割をする「椎間板」の一部が飛び出し、神経を圧迫することで、腰の痛みだけでなく足のしびれや痛み、力が入りにくいといった症状が出ることがあります。
発症のきっかけとして「前かがみの動作」などが挙げられることがありますが、実際には日々の姿勢や体への負担が積み重なり、ある動作をきっかけに症状が強く現れるケースが多いと考えられています。
多くの場合、安静やリハビリ、痛み止めなどの保存的治療で改善しますが、
・足のしびれが強い
・力が入りにくい
・排尿・排便の異常がある
といった症状がある場合は、早めの医療機関受診が重要です。
また、再発予防としては
・体幹の筋力を保つ
・長時間同じ姿勢を避ける
・体重管理
・ストレッチや運動習慣
などが大切です。
「いつもの腰痛」と思っていても、痛み方や症状が普段と違う場合は、無理をせず医療機関に相談することをおすすめします。
違和感は「体からのサイン」として受け止めて
「いつものことだから」という慣れは、ときに重大なサインを見逃す原因になります。
とくに腰痛は、初期の対応を誤ると症状が慢性化したり、Aさんのように日常生活に大きな支障をきたしたりするケースも少なくありません。
- いつもと痛みの引き方が違う
- セルフケア(湿布やサポーター)で改善が見られない
- 足にしびれや力が入らない感覚がある
こうしたサインがある場合は、無理をせず早めに専門医へ相談することが、結果として一番の近道になるはずです。
【監修者】医療法人社団筑三会理事長 消化器外科専門医 鈴木 隆二
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。体の感じ方や原因には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。





