現代の道具を使わず、88時間かけてゼロから笹かごを作った男性 その様子に「すげぇ…」「技術力に脱帽」「美しい編み目」「人間の手と知恵はすごい」

現代の道具を使わず、88時間かけてゼロから笹かごを作った男性 その様子に「すげぇ…」「技術力に脱帽」「美しい編み目」「人間の手と知恵はすごい」
ゼロからの笹かご作り(@shumatsujomonjinさんより提供)

火をおこすのも、食事をとるのも、すべて手作業だった時代がありました。今の私たちにとって、当時の人たちの暮らしは不便に感じることも多い反面、知恵や工夫に驚かされることもあるでしょう。

@shumatsujomonjinさんが、ゼロから笹かごを作った様子をYouTubeに投稿すると「すげぇ…」「技術力に脱帽」「美しい編み目」「人間の手と知恵はすごい」などのコメントが寄せられ話題になっています。

笹かご作りについて、@shumatsujomonjinさんに話を聞きました。

2度目の笹かご作り

@shumatsujomonjinさんは、YouTubeチャンネル「週末縄文人」で、都会のサラリーマンが、週末をつかってゼロから文明を築くことができるか検証しています。

竹を切る(@shumatsujomonjinさんより提供)

@shumatsujomonjinさんが「週末縄文人」の発信を始めてから、かごを作ったのは今回で2度目。1回目は、つる植物の根っこを編んで大きいサイズのものを作りました。
しかし、このときに作ったかごは重くて長時間の採集活動をすると疲れてしまい、しかも編み目の隙間が大きいので、ドングリや小魚を入れるとこぼれ落ちてしまうことに困っていました。
そこで、もっと軽くて隙間のないかごが欲しいと思い、素材を笹にして別のかごを作ってみることに。

友人の私有地で許可をもらい、笹を採るところからスタートした今回のかご作りは完成までに88時間かかりました。

割いていきます(@shumatsujomonjinさんより提供)

そのなかで、予想外に大変だったのが、笹ヒゴ作り。笹を均等な幅と厚さに割らないと、かごを編んだときに隙間ができてしまうのですが、やってみるとそれは至難の業だったといいます。
職人さんが使うような竹割包丁もないため、初めは細い笹や鋭い石のカケラで割ろうとしましたが、それら自然界のものは形がいびつなので、笹が最後まで均等に割れません。
半日ほど試行錯誤した結果、思いついたのが自分で道具を作ろうということでした。

石を4時間近く磨いて左右均等な薄い石刃を作り、それで均一な幅・厚みのヒゴを作りました。
それでもやはり時間はかかるので、ヒゴ作りだけで55時間かかったといいます。

底を編む様子(@shumatsujomonjinさんより提供)

完成した笹かごを見て「手前みそですが、道具を使わず、自分の手だけでこんなものが作れてしまうのかと驚きました(笑)」と@shumatsujomonjinさん。
「僕はまだかごや編み物の概念を知った上で作っていますが、これをゼロから思いついた先人は天才です」と話しています。

完成(@shumatsujomonjinさんより提供)

出来上がったかごは、非常に軽くて丈夫で、これならいくらでも森の中を持ち歩けるほど。
@shumatsujomonjinさんが実際にコシアブラを収穫してみたところ、容量的にもたっぷり入ったといいます。
「狩猟採集民と編みかごは、切っても切れない関係なんだと改めて感じました」と話していました。

動画投稿を始めたきっかけ

使ってみた様子(@shumatsujomonjinさんより提供)

こちらの動画は、縄さんと文さんの2人で作成しています。動画投稿を始めた頃は、2人ともサラリーマン。現在、相方の縄さんはサラリーマン、笹かごを作った文さんの方はフリーランスとして働いています。

動画投稿を始めたきっかけについて、文さんは次のように教えてくれました。
「サラリーマンとして働くなかでずっと漠然と感じていた、生きていく上での手ごたえのなさ、生の実感のなさがいよいよ煮詰まってきて、禅寺に通っていました。今思えば、仕事の忙しさにかまけて、自分の命を繋ぐためのダイレクトな営み(食糧を採ることや、料理すること、家事全般)を自分の手でやっていなかったことが理由だと思っていますが、当時はそれがわかりませんでした」

そんな思いのなか、2020年にコロナ禍に。文さんは都会に住んでいましたが「ライフラインが止まるかもしれない、止まったらどうにもできない」という緊張感を生まれて初めて味わい、この文明の足腰の弱さを感じると同時に、どうしてこのように文明が進んできたのか、疑問に思うように。

そんなときちょうど、会社の同期だった縄さんから「文明が崩壊したときのサバイバル技術を紹介する動画を作りたい」という夢を聞いて、実家が山の一部を持っていたため、そこで一緒にやろうと盛り上がりました。
そのとき、文さんは「文明の崩壊後ではなく、その起源から辿ってみたら、何か生きる意味や手触りが見えてくるかもしれない」と思い、道具を使わずに、石器時代から文明を再構築するのはどうかと提案し、現在の形でプロジェクトが始動しました。

中に土器を入れて(@shumatsujomonjinさんより提供)

今後挑戦してみたいことについて「木製品を作りたいです。縄文時代は土器と石器のイメージが強いですが、実は木を使った道具がたくさんありました。しかし、それらは土の中で分解されてほとんど証拠が残らないのです。ただ、縄文時代は鉄がなかったので、石で加工するしかありません。その技法は何千年も前に廃れて謎だらけです。一度石斧で乾いた木を削ろうとしたら、刃が割れて泣きました。これから、その方法に挑み、木の器とスプーンでスープを食べてみたいです」と教えてくれました。

とても興味深い挑戦ですね。今後の新しい取り組みがどのようになっていくのか楽しみですね。

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