ピンクや紫を基調とした、色鮮やかな障子。誕生した経緯は、猫にズタボロにされ続けてきた結果、柄の異なる数種類の布に張り替えたというものでした。この障子を張ったのは、「アニマルパレード」というブランド名で、パステルカラーの世界観の絵を描いている絵子猫(@ECONECOxxx)さん。画像をTwitterで投稿したところ、現在17.6万件以上のいいねがつくなど、反響を呼んでいます。

「配色がハイセンス!!」「ケガの功名ならぬ『猫の功名』」「もはやアート」「ステンドグラスみたい」など、張り替えた布の組み合わせのセンスがいいというコメントも多く集まっています。この件について、絵子猫さんに話を聞きました。

張り替えてから未だ破られず!

―障子を破った猫の名前と出会いを教えてください。
名前は「ちくわ」といいます。現在4歳です。元々は保護猫ちゃんでした。(私が)猫だったらどんな子でも大好きなので、保護猫活動している方にお願いしてお迎えしました。会うと真っ白い猫だったのでびっくりしました。

絵子猫さんの作品とちくわ。絵子猫さんは、ディズニーやサンリオとコラボして子ども服などの商品を出したこともある。(絵子猫さん提供)

―障子が破けた時の状況を教えてください。
あの障子の上に神棚があって、そこに行きたくて障子を登るんです。その過程で障子の木の部分を折ったり紙を破いたりします。

ちくわが破いたふすまの裏(絵子猫さん提供)

―神棚が好きなんですか?
神棚にある水を飲みにいくんです。ちくわ用の水はあるんですが、神棚の水を飲みに行きますね。

―布の障子にする前は、紙をその都度張り替えていたんですか。
今までいろんなことをしました。プラスチック製の破れにくい素材のものに変えたり、同じプラスチック製で段ボールのような厚さの板を、釘で打ち付けたりしたこともありました。(ちくわが)登ろうとした時に、バーンとぶつかって取れてしまい、どれもうまくいきませんでした。

―今回の布の障子は柄の組み合わせがすごく素敵ですが、選ぶときに気を付けたことはありますか。
柄は特に気にしていなくて、余り布を使いました。光が入ってこなくなるのが嫌だったので生地の薄さだけを気にしました。厚さが色々あったので一番薄い布を選びました。

張り替えた障子を見て、娘は「派手すぎじゃない?」と言っているそう(絵子猫さん提供)

―絵を描く職業ということで、作品を制作したという事でしょうか?
全然違います。アトリエの方はお客さんを呼びますが、自宅は呼ばないので自分の作風をどうこうという意識は全くありませんでした。最初はSNSにあげようとも思っていなかったのですが、出来上がった時に「なんか可愛い」と思い、アップしてみました。今回は、自分のためでも、娘のためでもなく、猫のためだけに作りました。

―ちくわの反応はいかがでしたか。
作っている時は、作業の邪魔をしに来ていました。作業している周りにわざわざ来て、(障子を貼っているところに)登っていました。完成したところを見て、ハッとしていました。「なんだこれは」という感じですかね。

作業の邪魔をするちくわ。作業中はずっとソワソワしていたそう。(絵子猫さん提供)

―布の障子は破けていないですか。
張り替えてからはちょっと爪をたてていましたが、今のところ上手く阻止出来ています。今は神棚にも登ろうとしないですね。

「なんか破けないと気づいた猫」(絵子猫さん提供)

―絵子猫さんにとってちくわはどんな存在ですか。
家族と一緒ですし、なんて言うのか、存在が尊いんです。今回も普通は怒るところなのですが、神々しくて怒れない。猫を飼っている人の多くが言うように、猫の下僕です。

取材を終えて

絵子猫さんの元には、「自分も作ってみたい」という声があるそうですが、見た目よりも時間がかかって大変なのでおすすめはしないそう。破られては新しい障子制作を繰り返す絵子猫さん。この素敵な障子がきれいな状態のまま保てることを祈るばかりです。

「布仕様10日目今のところ無事であります」(絵子猫さん提供)

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