10万人に1人といわれる難病を抱え、@mi_nosuke10さんの娘さんは誕生しました。その病気は先天性のもので、本来3つに分かれている肛門・膣・尿道が骨盤内で合流し、一つの穴として生まれてくる「総排泄腔遺残症」です。
@mi_nosuke10さんは、娘さんの病気と向き合うなかでくじけそうになることもありましたが、さまざまな人との出会いや励ましに支えられながら乗り越えてきました。
今回は、@mi_nosuke10さんに娘さんとのこれまでについて話を聞きました。
妊娠28週の異変、そして突然の出産
@mi_nosuke10さんは妊娠28週のとき、赤ちゃんに腹水がたまり、お腹が大きく張っていることを告げられました。大きな病院を紹介され、すぐに受診します。
医師がエコーで確認したものの、肛門や腸のあたりが確認しづらかったため、緊急で胎児MRIを撮影することに。その結果、赤ちゃんの成長自体は順調でしたが、腹部の張りと羊水が少なめで十分に飲めていない可能性があることから、28週4日で入院。その後は検査や治療を受ける日々が続きました。
出産は急な展開でした。33週4日、突然お腹の痛みと張りが強まり、午後の診察で陣痛が始まっていることが判明し、緊急帝王切開となります。

誕生の瞬間、赤ちゃんは小さな声で泣き、挿管などの処置が行われた後、NICUへ搬送されました。その際、横を通るほんの一瞬に触れた小さな手がとても愛おしく「生きて生まれてきてくれて本当にありがとう」と感じた当時を振り返ります。
人工肛門の造設と5回の手術を…
娘さんは生後3日で人工肛門を造設し、その後1歳10ヶ月までの間に5回手術をしました。
退院後の生活で特に大変だったのが、ストーマの管理でした。ストーマとは、排泄のためにお腹に設けた人工の出口のことです。@mi_nosuke10さん夫婦は看護師で大人のストーマ管理には慣れていましたが、赤ちゃんの場合は勝手が違い、トラブルも多かったと振り返ります。

1歳3ヶ月ごろに根治術を受けるまでは、尿路感染を月に一度ほどの頻度で繰り返し、急に入院が必要になることもありました。

そんな娘さんは現在、5歳になりました。日々の浣腸や緩下剤の内服で排便コントロールをしながら日常生活が送れています。病気については、お腹の傷を見て幼いころに何度か手術をしたということを伝えているので、娘さんもなんとなく理解しているそうです。
「成長とともに理解できるようになってきたら、経過のすべてはもちろん、親としての気持ちも含めてありのまま本人に伝えます」と話していました。
“経験を誰かの力に”発信とアプリ開発へ
「総排泄腔遺残症」は10万人に1人といわれる病気のため、同じ境遇の人と出会う機会は多くありませんでした。
しかし、SNSを通じて同じ病気の方やその家族とつながり、情報を教えてもらったり、元気に成長する姿に励まされたりしたといいます。また、@mi_nosuke10さん夫婦の発信に対して、応援や温かい言葉が寄せられたことも大きな支えとなっていました。
娘さんの病気を知った当初、夫婦はネットやSNSで情報を探していました。そうした経験から「自分たちの体験が同じ病気の子どもを持つ家族の役に立てば」という思いで発信を開始します。

さらに、同じ境遇の家族同士が経験や情報を共有できるアプリ「ミチシル」を開発。日々の出来事や治療経過の投稿、質問機能、災害時や親へのサポートなどを備えています。
@mi_nosuke10さん夫婦は「一人の経験が、これから同じ状況になる家族の助けになる」そんな循環を生み出すことを目指しているといいます。
また、同じ立場の親とつながること自体が心の支えにもなっており「このアプリを通して、必要な人に必要なつながりが届いてほしい」と話していました。
家族の経験を、未来の誰かの道しるべに
娘さんの病気をきっかけに@mi_nosuke10さん夫婦は、これまで当たり前だと思っていた日常が当たり前ではないこと、同じような状況の家族がたくさんいることを強く実感しました。
多くの家族が、悩みや不安をそれぞれの家庭で抱えている現状も感じています。
「だからこそ、同じ経験をした人の声や体験が、もっと自然に共有される社会になってほしい」と話していました。

医療情報だけでなく、日々の暮らしや乗り越え方といったリアルな経験こそが、これから同じ状況になる家族の支えになるといいます。
娘さんの病気について発信しているのも、アプリ「ミチシル」を開発したのも、そうした経験を自分たちだけにとどめず、誰かの道しるべにしたいという思いからでした。

娘さんには「自分らしく成長していってほしい。楽しいことをたくさん経験して、笑顔で過ごせる時間を大切にしながら、自分のペースで人生を歩んでいってくれたら嬉しいです」と話します。
@mi_nosuke10さん夫婦の今後の目標は、ミチシルを通して、病気や障がいのある子どもを育てる家族が孤立しない社会をつくることです。
「誰かの経験が、これから同じ状況になる家族の助けになり、少しでも安心して子育てができる環境を広げていけたら」と今後への思いを話してくれました。
@mi_nosuke10さんの投稿には「動画だけで泣きました」「感動します」「希望の具現化」といった声が寄せられていました。子育てのなかで孤独を感じる場面は少なくありませんが、こうした発信や取り組みは、同じような状況にある家族にとって大きな励みになることでしょう。

