子どもから向けられるまっすぐな言葉に、胸をぎゅっとつかまれた経験のある人は少なくないかもしれません。何気ない日常の中でふと投げかけられる一言が、親の心に深く残ることもあります。
Instagramに投稿された漫画「叶えたくない息子のお願い」が、「泣いちゃう」「涙が出た」と反響を呼んでいます。どのような物語なのでしょうか。投稿者である作者さんに話を聞きました。
「かか、そうちゃんより長生きしてね」突然のお願い

物語は、息子さんが母にこうお願いする場面から始まります。
「かか、そうちゃんより長生きしてね」
きっかけは、環境番組で「化石」や「骨」について学んだことでした。「かかは、そうちゃんより先に骨になるの?」と問いかける息子さんに、母は「寿命としては、かかのほうがそうちゃんより長く生きてるからねぇ」と答えます。
子どもたちのお願いはできるだけ叶えてあげたい。けれど、“子どもより長く生きる”というお願いだけは叶えたくない。そんな親の葛藤が描かれています。
それでも母は、「そうちゃんが、自分からお家を出たいなって思う日まで、ずっと一緒にいるからね」と伝えます。すると息子さんは、満面の笑みで「じゃあ、一生だね!」と喜ぶのでした。
涙をこらえながら伝えた、まっすぐな気持ち

作中では、息子さんが声を震わせ、今にも泣きそうな様子でお願いを口にする姿が描かれています。母がいなくなる未来を想像してしまったのかもしれない。そんな思いがにじみます。
折り紙の鉄砲を作ってもらって嬉しそうにする場面や、家族で過ごす何気ない時間も丁寧に描かれ、ドタバタしながらも温かな日常の空気が伝わってきます。
「ずっと一緒にいたい」「好きなだけ甘えたい」。そんな純粋な愛情が背景にあることが、読み手の胸を打ちます。
「唯一、叶えたくないお願い」漫画に込めた思い

作者である@ito_ponpokoさんに話を聞きました。
「子どものお願いは、叶えられるかどうかはおいておいて、なんだって叶えてあげたいなって、きっと多くの親御さんが思っていると思うんです。私もそうで、息子・娘からのお願いはできるだけ叶えてあげたいなと思っています。でも唯一叶えたくないのがこのお願いで」
このエピソードは実体験だといいます。最初にその言葉を聞いたとき、「そんなお願いを泣きながら伝えてくれる息子」の存在が、心の底から愛しくなったそうです。
その後も何度か思い出すたびに、これまでの子どもたちとの生活が浮かび、「やっぱりこのお願いだけは叶えられないな…」と感じたといいます。「毎日こどもから受け取っているまっすぐな愛と、今のドタバタだけど幸せな毎日。この2つを忘れたくないなあと思い、漫画にしました」と振り返ります。
また、「大きくならないでほしい」と思っているわけではないと話します。
「どちらかというと『ずっと一緒にいたい』『大きくなるのはわかっているから、今この瞬間を大切にしていきたい』と思っています。そして自立して親元を離れて、それから親よりも大切に思う存在ができてくれたら嬉しい。そうなるまでは、私はずっとずっと元気に長生きするぞ!と思っています」
日常の中にある、かけがえのない時間
夜、家族みんなで布団に潜り込んで遊んだり、ストレッチをしてのんびりしたり。週末に朝寝坊して、子どもたちと同じ時間に起きて笑い合ったり。そんな「普通」の時間があるたびに、「この日々がずっと続けばいいのにな」と感じるといいます。
子育ての中で大切にしているのは、「こどものことを、1日1回は笑顔にすること」と「毎日だいすきを伝えること」。
息子さんが成長してこの漫画を読んだとき、「こんなに大切に思ってくれているんだな」と少しでも感じてくれたらうれしいと話します。「“大切にしてくれている人がいる”と心から思えることは、人生でとっても大事だと思っているからです」と、その思いを語ってくれました。
これからも、家族のなんてことない日常や、その中にある大切な時間、自身の「ご機嫌に生きるためにしていること」などをテーマに描いていきたいといいます。
いつか訪れる別れを知っているからこそ、今を大切にしたい。親と子の間に流れる、静かで確かな愛情を感じさせる投稿でした。
提供元:@ito_ponpokoさん(Instagram)
