「手首痛いな」ただの捻挫だと思っていた結果…半年後に下された診断に「衝撃でした」「後悔」

「手首痛いな」ただの捻挫だと思っていた結果…半年後に下された診断に「衝撃でした」「後悔」

「スポーツをしていれば、多少の怪我はつきもの」
そう考えて、痛みを我慢したり、市販のサポーターで済ませたりした経験はないでしょうか。
とくに、一見動かせてしまう部位の痛みは「大したことはない」と過信してしまいがちです。

今回お話を伺ったのは、学生時代にアメリカンフットボールに打ち込んでいたAさん(当時20代、現在30代)。
彼が経験したのは、単なる捻挫だと思い込んで放置した結果、予期せぬ手術と経済的な損失を招いてしまったという実体験です。

「テーピングで動けてしまった」からこその落とし穴

きっかけは、11月の試合期間中でした。
練習や試合の際、手をついた拍子に手首に違和感を覚えたAさん。
「軽く捻挫したかな、という程度の痛みでした。少し腫れていたかもしれませんが、当時は激しいコンタクトスポーツをしていたこともあり、よくある怪我の一つだと捉えていました」

チームにはテーピング技術に優れたマネージャーがいたことも、受診を遅らせる要因となりました。しっかりと固定すればプレーが継続できてしまったのです。

「リーグ戦が終われば新チームの始動、さらには学業の試験やレポート提出と、怒涛の日々が続きました。そのうちに、日常生活では痛みが気にならなくなり『やっぱりただの捻挫だったんだ』と自己完結してしまったんです」

 

半年後の偶然の受診。突きつけられた「握力10kg」の現実

事態が急転したのは、最初の痛みから半年以上が経過した夏の合宿でした。
別の部位である肩を負傷し、念のためにと近くの病院を訪れた際、ついでにずっと違和感があった手首も診てもらうことにしたのです。

そこで医師から告げられた言葉は、予想だにしないものでした。
「肩は全然大したことない。でも、手首の方は深刻だよ」

診断の結果、当時の骨折が治らないまま残っていたことが判明、ショックを受けるAさんに現実を理解してもらうため、医師はその場で握力の計測を指示しました。
「左手の握力が50kgあったのに対し、右手(患部)はわずか10kg程度。自分では動かせているつもりでも、体は悲鳴を上げていたんです」

結局、折れた骨は自然にくっつく時期をすぎており、年末までかかる手術とリハビリを余儀なくされました。

「動けるから大丈夫」が通じない、手首の複雑な構造

さらにAさんを苦しめたのは、身体的な痛みだけではありませんでした。
「最も辛かったのは、最初の負傷から時間が経過しすぎていたこと、そしてその後もスポーツを継続していたことで、本来使えるはずの任意保険が適用外になってしまったことです」

「早く病院へ行っていれば」という後悔。
Aさんはこの経験から、人体の構造の複雑さと、自己判断の危うさを痛感したといいます。

手首は構造上、骨折や靱帯損傷があっても動かせてしまうことがあるため「見た目や痛みの強さだけでは重症度を判断しにくいのです。

「手首というのは、小さな骨がパズルのように組み合わさっています。一部に障害があっても他の部位が代償して動けてしまうことがある。だからこそ、素人判断は禁物なのだと知りました」

【専門家のコメント】手首のケガについて注意したいポイント

手首のケガは、「動かせるから大丈夫」「腫れがひどくないから軽症」と思われがちですが、実際には注意が必要です。
手首は小さな骨や靱帯が複雑に組み合わさってできており、骨折や靱帯損傷があっても、ある程度は動かせてしまうことがあります。
特にスポーツ中に手をついたあと、
手首の親指側が痛い
腫れや押したときの痛みがある
握力が落ちた
しばらくたっても違和感が残る
といった症状がある場合は、単なる捻挫ではなく骨折や靱帯損傷が隠れている可能性があります。
代表的なものの一つが舟状骨骨折で、受傷直後はレントゲンでわかりにくいこともあり、放置すると骨がつかない「偽関節」になることがあります。そうなると、治療が長引いたり、手術が必要になったりすることもあります。
手首は日常生活でもスポーツでもよく使う部位だからこそ、自己判断で済ませず、痛みが続く場合は早めに整形外科を受診することが大切です。
「使えているから大丈夫」ではなく、「いつも通りに使えているか」を目安に考えるとよいでしょう。

「行かない方が損をする」という気づき

現在、Aさんは「必要以上の無理をしない」ことを信条にしています。
「病院はお金がかかるからと敬遠していましたが、契約内容や受診時期によっては補償に影響する場合がある」

また、保険についても「加入しているだけで安心」ではなく、実際にどのような状況で使えるのかを具体的にイメージするようになったと言います。

「痛いときは、すぐに病院へ。あたり前のことですが、それが自分を守る唯一の方法です」
Aさんの体験は、忙しい日々の中で自分の体の声を後回しにしている私たちへの、切実なアドバイスといえるかもしれません。

【監修者】医療法人社団筑三会理事長 消化器外科専門医 鈴木 隆二
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。体の感じ方や原因には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。

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