毎月きちんと貯金をしていれば、いざというときも乗り切れる。
そう考えている人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、「貯金がある」という安心感だけでは足りなかったと振り返るのは、30代の女性会社員(事務職)です。副業を始めたことをきっかけに、思いがけない形で税金の仕組みと向き合うことになりました。
「毎月貯めているから大丈夫」という安心感
女性は本業のかたわら、副業をスタート。とはいえ、収入はそれほど大きな額ではありませんでした。
「毎月しっかり貯金もしていましたし、副業の収入もそこまで多くなかったので、税金が大きく変わるとは思っていませんでした。“貯金があるから何とかなる”と油断していたと思います」
会社員としての給与からは税金が天引きされており、自分で細かく仕組みを確認する機会はほとんどなかったといいます。
住民税の通知で発覚した変化
変化に気づいたのは、副業を始めた翌年のことでした。
住民税の通知が会社に届き、金額が大きく上がっていたため、総務から確認の連絡が入ったのです。
「総務に呼ばれた瞬間、心臓がバクバクしました」
本来であれば、確定申告の際に住民税を「自分で納付」にする方法もあったといいます。しかし、当時はその仕組みを知らず、そのまま申告を済ませてしまいました。
結果として、副業収入が会社に知られる可能性がある状況に。さらに、追加で支払う税額も想像以上に大きく、改めて税金の重みを実感したといいます。
焦りと恥ずかしさ、そして孤独感
「とにかく焦りましたし、恥ずかしさもありました」
副業をしていることを会社に知られたくないという思いがあったため、総務からの連絡は大きな衝撃でした。
自分の知識不足が原因だと分かっていても、周囲には相談しづらい。ひとりで抱え込み、不安な時間を過ごしたと振り返ります。
「貯金があるから大丈夫、と思っていたのに、知識がないだけでこんなに不安になるんだと感じました」
知っているだけで防げたこと
いま振り返ると、副業を始めた時点で税金の仕組みを調べておけばよかったと話します。
「特に、住民税を自分で納付にできるという点を知らなかったのが大きかったです」
また、確定申告の直前に慌てて調べるのではなく、年間を通して収入や経費を整理していれば、もっと落ち着いて対応できたはずだと感じているそうです。
【専門家のコメント】副業と住民税の仕組みで知っておきたいこと
副業によって給与以外の所得が発生した場合、原則として確定申告が必要になります。副業分の所得は住民税の計算にも反映されるため、翌年度の住民税額が増えることがあります。
会社員の場合、住民税は通常「特別徴収」として給与から天引きされますが、確定申告書の第二表「住民税・事業税に関する事項」で、給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択することも可能です。
ただし、自治体によって運用が異なる場合があり、必ずしも希望通りの徴収方法になるとは限りません。詳細は居住地の自治体へ確認することが大切です。
また、副業を行う際には、税金だけでなく、勤務先の就業規則の確認も重要です。副業が認められている場合でも、申告や届出が必要なケースもあります。
副業は収入の幅を広げる一方で、確定申告や帳簿管理などの対応も求められます。日頃から収入や経費を整理し、不明点があれば税務署や税理士などの専門家に相談することで、落ち着いて対応しやすくなるでしょう。
「恥ずかしいことではない」と伝えたい
同じような状況にいる人に、どんな言葉をかけたいか尋ねると、こう答えてくれました。
「貯金があっても、税金の知識がないと突然の請求や思わぬトラブルで焦ることがあります。少しでも不安があるなら、早めに調べたり、税務署や詳しい人に相談してほしいです」
副業そのものが問題なのではなく、仕組みを知らないまま進めてしまうことが不安につながる。
知っているだけで、心の余裕は大きく変わるといいます。
貯金という「数字の安心感」だけでなく、制度を理解するという「知識の安心感」。
その両方があってこそ、本当の意味での備えになるのかもしれません。
【監修者】大貫宏一郎 株式会社ユーザーライフサイエンス会長
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。
