日常生活の中で突如関節が外れる日々に違和感を覚え…病院で告げられた診断結果と現在の様子を聞いた

日常生活の中で突如関節が外れる日々に違和感を覚え…病院で告げられた診断結果と現在の様子を聞いた
手術後の様子①

「エーラス・ダンロス症候群」という病気を知っていますか?

難病に指定されているこの病気は、全身の関節が非常に柔らかいことが特徴で、脱臼や慢性的な痛みを引き起こします。また、疲労感や倦怠感などの自律神経の不調が見られることもあります。

イラストレーターとして活動する白妙ぬんさんは、幼いころから身体に違和感を抱えていました。しかし、病院で検査を受けても異常は見つからず、診断に至るまでには長い年月がかかっていました。

そこで今回は、ようやく病名がわかったときの気持ちや、現在も身体の不調と向き合いながら生活する日々について話を聞きました。

やっと診断された「エーラス・ダンロス症候群」という難病

白妙ぬんさんは幼少期から、両肩や指の腱がすぐに脱臼してしまう身体でした。脱臼が日常的だったため、家族もそれを「この子にとっての当たり前」だと受け止めていたといいます。

肩の脱臼(白妙ぬんさんより提供)

しかし成長するにつれ、思いがけない動作で関節が外れて強い痛みを感じたり、脱臼を繰り返すことで慢性的な痛みが出るようになりました。その影響で、ペンを長時間握れない、普通のお箸で食事ができない、杖を使わなければ短距離の移動も難しいといった症状が現れるようになっていきます。

さらに、強い倦怠感や睡眠障害も現れ、白妙ぬんさんは自身の体調に疑問を抱くようになりました。病院で検査を受けても異常が見つからなかったため、自分で症状を調べる中で、偶然「エーラス・ダンロス症候群」という病気を知ったといいます。

通院中の医師に「この病気の特徴と自分の症状がよく似ている」と伝えたことをきっかけに検査が行われ、専門医によって「エーラス・ダンロス症候群」と診断されました。診断時は、驚きやショックよりも「やっぱりそうだった」という思いが大きかったそうです。長く様子を見てきた家族も同じ気持ちでした。

関節が曲がらないところまで曲がる(白妙ぬんさんより提供)

診断によって、これまでの不調が思い込みや精神的なものではなかったと分かり、安堵した白妙ぬんさん。病名が分かるまで、症状はストレスや精神的なものだと受け止められ、

十分な治療を受けられない時期が続きました。そのため、診断された頃には一人での生活が難しいほど、身体の不自由さが進んでいたのです。

原因が病気だと分かって気持ちは軽くなった一方で「もっと早く知りたかった」という思いも残りました。

手術後の様子①(白妙ぬんさんより提供)

痛みとの闘い、そして電動車いすを使うようになって

現在「エーラス・ダンロス症候群」が完治する根本的な治療方法は見つかっていません。しかし、白妙ぬんさんにとって適切な治療を受けられるようになったことが大きな変化でした。一方で、リハビリや服薬を続けても病気が治るわけではなく、今も日常的に痛みと向き合いながら生活しています。

関節が柔らかすぎる病気(白妙ぬんさんより提供)

強い痛み止めを毎日服用しても痛みは大きく変わらず、長距離を歩けない、いすに座り続けられない、仕事に必要なペンを長時間持てないといった影響が出ています。最近は肩の痛みや可動域制限も悪化し、食事や入浴など日常動作を一人で行うのが難しい日もあります。

痛みのため、やりたいことができない日も少なくありません。体調は当日にならないと分からず、先の予定を立てることに不安を感じていた時期もありました。

車いすでの外出①(白妙ぬんさんより提供)

一方、電動車いすを使うようになってからは、徒歩で移動していた頃に比べ、体調への不安が和らぎ、予定を立てやすくなりました。病気を理解してくれている友人と遊ぶ際は、体調のことや車いすでも通れる道などを気に掛けてくれるため、外出することへの不安が減り「友人たちには感謝してもしきれないです」と語ります。

病気や障がいについて、白妙ぬんさんは「意外とあっさり受け入れられたように思います。指定難病だと診断されたとき、杖を使うようになったとき、車いすに乗るようになったとき。どれも私の生活を支えてくれるものだったので、特に大きな抵抗や嫌悪感などもなく、受け入れることができました」と話していました。

車いすでの外出②(白妙ぬんさんより提供)

病気を抱えながら、描き続けるという選択

白妙ぬんさんがイラストレーターとして活動を始めたのは、脱臼や痛みが今より少なかった高校生の頃でした。当時は活動への抵抗もなく、外でのアルバイトも経験しましたが、自分には合わないと感じ、イラストレーターとして生きていく決意を固めたといいます。

現在は、いすに座って作業することさえつらい日も多く、思うように活動できない現実があります。それでも、症状が軽いうちに活動を始められたことは幸運だったと振り返っていました。

箸やペンが長時間持てない(白妙ぬんさんより提供)

イラストレーターとして活動を続けるには健康な身体が欠かせませんが、次第にそう言い切れない状態になってきたことから、病気についても発信するようになりました。

白妙ぬんさんは、同じように難病や診断のつかない症状に悩む人へ「身体の不調は決してあなたのせいではありません。たとえ病名が違っていても、その痛みやつらさは本物です。どうか自分を責めず、大切にしてください」と伝えています。また「いつか適切な治療にたどり着けることを願っています」とも話していました。

今後の目標は、イラストレーターとしてもっとたくさんの人に私の絵を届けること、そして将来的には個展を開き、応援してくれている人たちに直接感謝を伝えることだと語る白妙ぬんさん。

また、エーラス・ダンロス症候群についての発信も続け、病気について正しく認知してもらうこと、当事者が少しでも生きやすくなるような世の中にしていくことも願っていました。

作品(白妙ぬんさんより提供)

エーラス・ダンロス症候群は、まだ広く知られている病気とは言えないかもしれません。しかし、目に見えない不調や病気と向き合いながら生活している人がいることを知ることは、大切な視点の一つです。白妙ぬんさんの発信は、こうした病気への理解を深めるきっかけとなるでしょう。

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