ステージ上で脳梗塞を発症したアイドル→その後の姿に「応援してます!」「自分を信じて」

ステージ上で脳梗塞を発症したアイドル→その後の姿に「応援してます!」「自分を信じて」
入院中①(@aaami0920さんより提供)

脳血管が詰まり、血流が少なくなることで脳神経細胞が機能障害を起こし、半身の麻痺などの症状が現れる脳梗塞。高齢者に多い病気ですが、若い世代でも発症する可能性があります。

俳優を目指しながらアイドル活動をしていた22歳のとき、ステージ上で脳梗塞を発症したという@aaami0920さん。当時の経験や、現在の活動について話を聞きました。

ステージ上で突然の異変、脳梗塞を発症

@aaami0920さんは高校卒業と同時に芸能活動を始め、主に舞台役者として活動していました。少しでも仕事が増えるきっかけになればと、アイドルの仕事も始めることになります。

アイドル活動①(@aaami0920さんより提供)

アイドル活動を始めたばかりの頃、ステージ上で呂律が回りにくくなった@aaami0920さん。曲の最後のフレーズを歌っていたとき、耳元でブチッと何かが切れるような音がしたと同時に、キーンという大きな耳鳴りが響いたといいます。

ステージ上で(@aaami0920さんより提供)

その直後、立っていられなくなり、大きく転倒。ステージを見ていたファンがすぐに異変に気づき、「もう止めさせてあげて!」と声を上げてくれたおかげで、ステージを降り、楽屋に運ばれました。

一方、周囲はあまりに突然の出来事に事の重大さがすぐには分からず、呆然とするような状況だったと振り返ります。

発症前、これといった大きな症状はありませんでしたが、今思えば、ステージ上で呂律が回りにくくなったことや、朝に声がかすれて歌いづらかったことも、何らかの兆候だったのではないかと感じているそうです。

意識が戻り、告げられた現実

病院へ搬送された@aaami0920さんが意識を取り戻したのは、脳梗塞の発症から約1週間後でした。頭の痛みでぼんやりと目を覚まし始めたものの、まだ目を開けることはできず、自分の名前を呼ぶ声だけが聞こえていたといいます。

その後、意識は少しずつはっきりしていきました。しかし、体の感覚はほとんどなく、自分が動けなくなっていることにも気づいていませんでした。左手足があることさえ忘れ、その存在を認識できていなかったそうです。

それでも、手足が鉛のように重い感覚だけはありました。

入院中①(@aaami0920さんより提供)

言葉も以前のようにスラスラとは出てこず、頭の回転がとても遅くなったような感覚で、答えたくても答えられない状態。声色も大きく変わり、当時は非常に高い声になっていました。現在は、元の声に戻りつつあるとのこと。

@aaami0920さんが「脳梗塞」という病名をはっきりと聞いたのは、リハビリ病院に移ってからのことでした。主治医からは、次のように告げられたといいます。
「広範囲の脳梗塞のため、重度の片麻痺で動く見込みはありません。今動く右手で生活できるようにリハビリしてください」

入院中④(@aaami0920さんより提供)

そのときの心境は、何とも言えない絶望感と、あふれる悔しさでした。

「どうして、私が病気にならなければいけないの?」「動くためのリハビリはしないの?動く見込みがないのなら、やる必要もないのではないか?」と、そんな思いを抱えていたと振り返ります。

再び舞台に立つことを目指して

手術やリハビリに取り組むなか、心の支えとなったのは、当時演技指導を受けていた演出家の先生からの「待ってるよ」という一言でした。また、舞台役者として再び舞台に立ちたいという思いも、苦しいリハビリを乗り越える原動力になります。

退院後は、以前のように一人で外出したり、仕事をしたりすることが難しくなりました。ショッピングや遠出、映画鑑賞が趣味だった@aaami0920さんにとって、自由に使える時間が増えたように感じる一方で、友人と気軽に会うこともできず、もどかしさを抱えていたといいます。

一人でお風呂に入れない、料理ができない、気軽に2階の自室へ移動できない。思い描いていた生活と現実とのギャップにも苦しみました。

その後、@aaami0920さんは2018年から「脳卒中フェスティバル」に参加しています。そこで出会った人たちとのつながりから、大学の講義で当事者として身体の評価を受けたり、自身の経験について話したりする機会もありました。

他県から講演会の依頼を受けたり、メディアの取材に応じたりするほか、現在は脳卒中フェスティバルの認知度を高めるための活動にも取り組んでいます。

入院中⑤(@aaami0920さんより提供)

自身の経験を書籍化することを目指して

2026年5月、@aaami0920さんの人生に大きな変化がありました。患者の立場から、作業療法士として働くようになったのです。

作業療法士になってからメディアに取り上げられる機会が増え、同じような境遇から作業療法士を目指したいという相談を受けることもあるそうです。そうした経験から、自分の経験が誰かの役に立つかもしれないと考え、現在は書籍化を目指しています。

「私はポジティブな思考、行動につながるまで時間がかかったほうで、一人で苦しんだ期間が長いです。同じような境遇の方がいたら、無理にリハビリ頑張れとか、前を向こうとか笑顔で過ごせば楽しくなるよみたいな当事者の背中を強引に押したくないです。そして、今を生きる姿勢や当事者の数が多ければ、誰かが誰かのモデルケースになり得ると考えています。だからこそ、脳フェスという居場所を知ってもらいたいです」

また、書籍化を目指す一環として、苦手意識のあったSNSでの発信も始めました。投稿については「不慣れで面白みもない投稿ばかりですが…興味を持っていただけたらなと思っています」と話し、自身の活動に関心を持ってもらえることを願っています。

書籍を通じて伝えたい思いについて、@aaami0920さんは「書籍を通じて前を向く一つのきっかけとなってくれたら嬉しいなと思っています。作業療法士や介護職種の方々にも、当事者心理を知ってもらうことが仕事での関わり方の変化にも繋がれば嬉しいと考えています」と語ります。

入院中⑥(@aaami0920さんより提供)

@aaami0920さんのSNSでは「応援してます!」「自分を信じて」といった声が寄せられています。
22歳で脳梗塞を発症した経験を伝え、今も新たな挑戦を続ける@aaami0920さん。その歩みが、同じような境遇にある人や、支援に携わる人たちにとって、何かを考えるきっかけとなるエピソードでした。

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