幼いころから、周囲に「歩き方が変わっている」と指摘されることが多かったもも(@m_o_m_o_m_o)さん。成長するにつれ関節の不安定さが目立つようになり、振り向いた瞬間に膝が完全に脱臼してしまったこともありました。そうした経験を経て、22歳のときに初めて自分の病名を知ります。
病名がわかったとき“安心した”と振り返るももさん。今回は、病気のことや現在の暮らしについて話を聞きました。
幼少期から続いていた身体の違和感
ももさんは、物心ついたころから「歩き方が変わっている」と周囲に指摘されることが多くありました。怪我をしているわけでもないのに「怪我しているの?」と心配されたり、歩き方を真似されたりした経験もあったといいます。
両親は気にしてはいましたが、日常生活に大きな支障がなかったため、専門医を受診することはありませんでした。

しかし10歳のころ、お父さんが違和感を覚え、整形外科を受診することに。医師からも歩き方の違和感や手指の細長さを指摘され、マルファン症候群を疑われたものの、検査には至りませんでした。

中学生のとき、部屋で滑って膝が外れた感覚があり「膝が外れた」と両親に伝えたももさん。しかし当時は、膝が脱臼するとは思われず、受け止めてもらえなかったと振り返ります。
その後、高校3年生のときには、振り向いた瞬間に膝が完全に脱臼し、元に戻らなくなったため緊急搬送されたこともありました。


22歳で初めて自分の病名を知り…
大学生になると、膝が容易に外れてしまう状態となり、手術を受けました。手術やリハビリの過程で関節の緩さを指摘されていましたが、その後も関節のズレが増え、不安定になったことから受診。
22歳のときに「エーラス・ダンロス症候群」と診断され、初めて自分の病名を知りました。

診断を受けた日は「とにかくホッとした」とももさん。それまで歩き方や姿勢、手指の細さなどを指摘され続け「なぜ自分は周囲と違うのだろう」と感じていた中で、遺伝子が原因だと知り、気持ちが整理できたと話します。
難病であることに対しても不安より安心のほうが大きく、診断をきっかけに、各種申請や通院、検査、リハビリに前向きに取り組めるようになりました。
身体を支える結合組織が弱い「エーラス・ダンロス症候群」
エーラス・ダンロス症候群は、身体を支える結合組織が弱いことが特徴で、症状の現れ方は人によって異なります。内科的、整形外科的、自律神経系などさまざまな症状がありますが、ももさんの場合は整形外科的な症状が中心です。
実際には、関節が不安定なことで起こる脱臼や、過度に動くことによる痛み・炎症、筋力低下に悩まされています。さらに、側弯や寛骨臼突出、X脚変形などの骨の変形に加え、腱や神経の脱臼もあります。

内科的には呼吸機能の低下、視力に関する不調などがあり、皮膚は薄く柔らかいといった特徴もあります。また、血行が悪く、寒さによって手足の色が変わることもあるそうです。
結合組織の特性から、手足が長い、顎が小さいといった身体的特徴が見られることもあります。ももさんの場合は顎が小さく、歯並びにも影響が出ています。
整形外科的な症状が多いももさんは、長い距離を歩いたり、階段を上り下りしたりすることに負担を感じることがあります。また、装具の使用や手術をしても制限が残る場合があり、その点に難しさを感じているそうです。
自分の可能性を狭めずに、前へ進む
エーラス・ダンロス症候群は完治が難しいとされていますが、ももさんは進行を抑えるため、現在は週1回のリハビリに取り組んでいます。
日常生活では、周囲とこまめにコミュニケーションを取ることを大切にしています。就職活動の際には、ヒールや重い荷物が難しいことを事前に伝え、誤解が生じないようにしました。友人も、移動しやすい場所を選んだり、エレベーターを使ったりと気遣ってくれる存在で、人との関わりが支えになっていると語ります。
「できないこともあるけれど、工夫や代替手段でできることもある」と話すももさん。自分の可能性を狭めずに挑戦する姿勢を大切にし、春からは就職を機に一人暮らしにも挑戦する予定です。
「できる」を広げるための選択
ももさんは現在、電動車いすの申請をしています。歩くことはできますが、揺れや転倒の不安があり、長距離の移動は負担になるためです。申請の際には「生活の幅が広がるね」と声をかけられたといいます。
ももさんが伝えたいのは「できない」を補うためだけでなく「できる」を「もっとできる」に広げるためにも、車いすなどの補装具が使われているということです。
今後は、ももさんらしい発信を続けながら、病気について少しでも知ってもらえるきっかけをつくりたいと考えています。
「小さな関心が広がり、対話につながっていくことが理想です」と話していました。
エーラス・ダンロス症候群について、初めて知ったという人もいるかもしれません。ももさんの発信は、こうした病気や当事者の暮らしを知る一つのきっかけになるでしょう。まずは、さまざまな病気や背景を持つ人がいることを知ることが、大切な第一歩かもしれません。

