農林水産省「農家に関する統計」が出したデータによると日本の農家は年々減少しており、20年前と比べると半分以上減りました。しかし、高齢化や担い手不足などの問題を抱えているなかで、魅力的な農業を行っている方もいます。

今回紹介するのは、横浜市の最西端に位置する瀬谷区の「良作農園」さんです。とても自然豊かな環境で野菜を栽培されています。

「良作農園」10代目の秋山良太(@ak.farm)さんは、Instagramで農園で採れる野菜を紹介しています。

秋山さんに、良作農園や農業などについて話を聞きました。

良作農園の特徴と魅力

良作農園ホームページ(@ak.farmさんより提供)

横浜市瀬谷区にある良作農園。大和市や町田市に隣接しており、横浜やその他の都市部へのアクセスが抜群です。
良作農園の名前は、秋山さんの名前の「良」と、曾祖父さんの名前の「森作」、そして「良いものを作る」という意味にちなんだもの。
ロゴのデザインにある赤い丸は日の丸をイメージし、これからの日本の農業を担っていくという思い、ジャパニーズブランドという意味が込められています。

秋山さんが心がけているのは「鮮度を大切に安心して食べられるおいしい野菜作り」。
素材本来の味を大切にするために、土づくりにこだわり日々の圃場(ほじょう)の管理はこまめに行い、野菜のみに栄養がいくよう草取りをして綺麗な畑を保つように徹底しています。
また、アクセスのよさを生かし、鮮度を保ったままお客さんや飲食店に野菜を届けられることも強みのひとつです。

ブロッコリー(@ak.farmさんより提供)

就農までの経緯と思い

秋山さんは、大学を辞めて農業を受け継ぐ決心をしました。
そのときの思いについて「幼少期より祖父の野菜作りを通じて野菜への愛が芽生えていき、大学の長期休み中に祖父母を毎日手伝い、改めて農業の難しさを思い知らされました。日々の農作業の中で『祖父母の野菜を作り、多くの方にこの美味しい新鮮な野菜をお届けしたい』という思いから、農業を受け継ぐことを決意しました」と話します。

しかし、はじめは秋山さんの両親は反対。そんななかでも、野菜が大好きだった秋山さんは、自分の天職だと思い大学を辞めることに対しての不安はありませんでした。
そのころ祖父母が70代半ばだったこともあり、知識や技術を早く学ばなくてはいけないという思いもあったそうです。
大学卒業まで就農を待つという選択肢もありましたが「中途半端はよくない」という思いから、農業に専念することを決めた秋山さんでした。

農業の大変さと楽しさ

実際に働いてみて大変だったことは「天候に左右されるということ」だという秋山さん。暑さの厳しい時期は野菜たちもデリケートなため、日々の管理が欠かせません。
また、年々四季が薄れていくなかでは栽培にも影響があり、これからの野菜の作付けが不安だといいます。

また、農業の楽しさは「野菜が収穫できたときの喜び」であり、誰かが食べて「おいしい」と喜んでくれることが嬉しいとのことです。
秋山さんは「日々緑に囲まれていることで自然を感じることができ、地元の方々に支えられながら農業をしていることに幸せを感じる」と話していました。

全国若手農家集団「𝐒𝐇𝐈𝐊𝐈 𝐅𝐀𝐑𝐌𝐄𝐑𝐒 𝐂𝐋𝐔𝐁」

𝐒𝐇𝐈𝐊𝐈 𝐅𝐀𝐑𝐌𝐄𝐑𝐒 𝐂𝐋𝐔𝐁(@shikifarmersclubさんより提供)

秋山さんは、全国若手農家集団の「𝐒𝐇𝐈𝐊𝐈 𝐅𝐀𝐑𝐌𝐄𝐑𝐒 𝐂𝐋𝐔𝐁」にも所属しています。
秋山さんは𝐒𝐇𝐈𝐊𝐈 𝐅𝐀𝐑𝐌𝐄𝐑𝐒 𝐂𝐋𝐔𝐁について「農業について知らない方にも、本当に熱い思いをもった個性的でかっこよくてイケてる全国の農家を知っていただけると思います。そして、自分ひとりではできないことも皆様のご協力のもと、それぞれ刺激を受けながら高め合っていき、理想となる農業の形を見出して実現できると考えております」と話しました。

現在、農業にはたくさんの問題があり、このままでは5年後、10年後さらに衰退してしまうことが予想されています。
そんななかで、秋山さんは「SNSや𝐒𝐇𝐈𝐊𝐈 𝐅𝐀𝐑𝐌𝐄𝐑𝐒 𝐂𝐋𝐔𝐁を通じて、農業の魅力や素晴らしさを発信していくことで、農業のイメージを払拭し、私たちに憧れ農業を志す方が増える」と考えています。

そのような考えから「SNSは自分を表現する場として活用しており『食』を通じて、僕の野菜の魅力はもちろん農園の様子や野菜が収穫できるまでに込められた思いを伝えていきたい」と、SNS発信への思いについて話された秋山さん。
SNSの投稿は、素材の撮影をたまに依頼することがあるそうですが、そのほかは秋山さん自身で作成されているとのことです。

理想の農業を

最後に、良作農園の今後の展望について教えてくれました。

「今後継いでいくにあたり、まずは祖父母の野菜作りの強みを吸収し、自分らしく日々地道に学んでいきます。もちろん学ぶだけではなく、古いよさは残しつつも新たな変化を加えて挑戦したり、野菜を愛する自分の想いを形にして表現したりして、理想となる農業を見出していきます。『この人が作っているから』食べたいと言ってもらえること、そして横浜市での地産地消を大切にしてこれからさらに成長していきます!!」

今後も農家の衰退が心配されるなかで、農業に向き合う若い人たちの存在は大変頼もしいですね。今後の良作農園の発展も楽しみです。

【参考資料】
農林水産省ホームページ「農家に関する統計」

この記事の写真一覧はこちら