オンラインサロン3年の実績を還元

星野さんは、2019年から先生向けのオンラインサロン(会員数500人)やコーチング事業などを運営。そこで、NIJINアカデミーの創業メンバーのひとり、髙橋弘樹さんと出会った。

明るい雰囲気で雑談するNIJINアカデミーの創業メンバー(提供)

髙橋さんは神奈川県内の小学校教諭。「全国にいる不登校の子どもを救いたい」という星野さんの熱意に共感したという。

「どの子も一人として同じ子はいません。それなのに、学校という居場所が一つしかないことで、子どもが不幸になっています。子どもたちに、もう一つの居場所としてNIJINアカデミーを届けたいと思います」と髙橋さんは話した。

「不登校の問題は、子どもも保護者も悪くありません。学校以外に学びの選択肢がない仕組みに原因があるんです」と星野さんは続けた。

これまでにも、勉強以外の「やりたいこと」「学びの先取り」ができるオンラインスクールはあった。しかし、不登校の子どもも保護者も、教科学習に対する不安を持っている人が半数を超える。そこで、NIJINアカデミーは最上級の授業を提供することに。

担任と教科を教える教員を別々に採用し、大学附属小学校などから授業が得意な教員を集めた。「『学校の勉強って、本当は面白い』と気づいてもらえるような授業を期待してほしい」と星野さんは自信を見せた。

学校の校舎は、バーチャルオフィス大手「oVice(オビス)」と協力して設計。そこにオンラインサロンの運営で培った経験値をプラスすることで、不登校の子どもたちの可能性を引き出そうと考えている。

「不登校になった子どもたちは、自分を否定したり自己肯定感を持てない傾向にあります。『子どもと向き合う』ことが1年目のハードルです。その後は、楽しいことがどんどん繋がっていくような循環を作っていきたいです」と星野さん。

髙橋さんも、自身の経験を振り返りながら語った。

「私自身、星野さんのオンラインサロンで話を丁寧に聞いてもらえたので、受け入れてもらえた感覚がありました。その上で、仲間が『こんなことに挑戦してみたら』と提案してくれ、『やってみよう』という意欲が湧きました。自分に起きていた『良い循環』を子どもたちに還元したいと思います」

開校までの日数をカウントダウンする髙橋さん(提供)

開校を前に、8月21日から算数や国語などの授業体験会が開かれる。同月21日と30日には、説明会も予定されている。

「あなたの居場所を作ったよ。一緒に新しい学校を作っていこう」。星野さんと髙橋さんからのメッセージだ。

この記事の写真一覧はこちら