子どものころ、2つのうち1つを選ぶ時に「どちら(どれ)にしようかな〜」と歌った経験はありませんか。今回、4歳の娘さんが歌った「どれにしようかな〜」の歌が自分が知っているものとは違いすぎた事から、「どちらにしようかなの種類ってどれくらいあるのだろう」と気になったという漫画がTwitterで公開されました。

娘さんは、どこから歌を聞いてきたのでしょう。この漫画の作者のいずのすずみさん(@izunosuzumiSUZU)に話を聞きました。

いずのすずみさんは、鈴ログ!という個人ブログにコミックエッセイを投稿しています。現在は、4歳の娘さんと2歳の息子さん2人の子育て中です。

ー娘さんは、どこで「どれにしようかな~」を覚えてきたのでしょう。娘さんのオリジナルと分かったのはなぜですか。
幼稚園から帰ってきてすぐだったのでおそらく幼稚園で覚えてきたのではないかと推察しています。ただ、本人に聞いても「誰にも教えてもらってないよ?」の一点張りで教えてもらえなかったので真相は謎です。
今回のは、おそらくですがどこかで「どれにしようかな天の神様の~」を聞いて耳には残っていたけれど、「どれにしようかな」の一言目で、もう自分が何をしようとしていたか忘れている様子でした。本来「天の神様の…」と続く部分から、なんとなく意味のない知っている言葉をつなげてしゃべり続けている様子でした。

ー娘さんは結局「どれにしようかな~」の指が止まっていない方(チョコレート)を選んでしまいましたが、最初から食べたい方が決まっていたのでしょうか。
おそらく最初からチョコレートが食べたかったのだと思います。「どれにしようかな~」を「何かを選ぶときに言う言葉」という認識しているようでしたが、“どちらか迷っている時に使って最後に指さした方を選ぶ”という趣旨は理解していないようでした。おまじないのように言ってみた、という感じに見えました。

4ページ目『「どちらにしようかな」の種類ってどれくらいあるんだろう』(いずのすずみさんより提供)

ちなみに、いずのすずみさんは愛媛県出身で「鉄砲撃ってバンバンバン 柿の種 ゲゲゲの鬼太郎 アブラムシ」だったそうです。娘さんとのやり取りから、漫画は「どちらにしようかなの種類ってどれくらいあるのだろう」という疑問で終わっていたので、編集部は詳しい人に取材をしました。

1999年から「どっちの神様」収集し掲載

「どっちの神様 県別一覧表」というWebサイトを制作、管理している甲南女子大学兼任講師の田中千晶さんに話を聞きました。田中さんの専門は上代文学、「どっちの神様」に関しては、あくまでも趣味で集めたものだということです。きっかけは、30年程前の友人との何気ない会話だったそうですが、1999年からの約24年間、質問用紙かWebアンケートで集めた各地の「どちらにしようかな~」を、Webサイトに掲載しています。

『どっちの神様 サイト一覧表』(田中千晶さんより提供)

ー現在、「どっちの神様」は何種類あるのでしょう。
いくつあるんでしょう? 後半部分は大量にとしか…。
神様の種類でしたら、「神様」「天の神様」がほとんどです。他に「天神様(てんじんさま)」「おいべつ様」「神様と仏様と天神様」「裏の神様」「奈良の大仏さま」「裏のごんべえさん」「森の神様」などがあるようです。

ー起源はあるのでしょうか。
はっきりとは分かりません。「子どもたちの遊び」で「自然発生的に」という説もあります。

ー地域によって違いや傾向はありますか。
一概には言えませんが、関東には「あべべのべ」「なのなのな」、関西(近畿)には「ぷっとこいて」「ぷっ」系が多いですね。その時や、その地域での流行の言葉を入れるなど、子どもは柔軟ですからどんどん新しい表現が生まれていると思います。リズムとしては3、5、7の奇数リズムが多いです。

田中さんのサイトには現在640種類以上もの歌が掲載されています。自分の出身地域を見ても少し違っていることもあり、とても興味深いです。皆さんの歌っていた歌はあるのか調べてみるのも面白いかもしれません。

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