軽快な電子音のテーマソングに、黄色い車体と猫の可愛いぬいぐるみ。ひときわ目を引くキッチンカーの正体は、北海道でこだわりのパキスタンカレーを提供する「三毛猫屋」です。音楽×キッチンカー×猫。この組み合わせにこだわりを持つ「三毛猫屋」の店主、杉本さんに話を聞きました。

音楽に傾倒した青春時代

キッチンカーとしては珍しい味見OKなお店

青春時代は目立ちたがり屋だったという杉本さん。4歳からピアノを始め、そこからシンセサイザーに興味をもち、Yellow Magic Orchestra(YMO)に憧れて音楽にのめりこんでいきます。高校生時代に組んだバンドでは、コンテストで全道大会に出場するほどの実力の持ち主でした。

音楽への情熱は今も消えることなく、イベントに参加するなど精力的に活動。店先で流れているBGMも杉本さんが制作した曲です。

さまざまな仕事を経て自分に合った働き方に

店先。ロゴなどのデザインも全て杉本さんの自作。

音楽に情熱を傾けた学生時代を終え、その後は様々な仕事を経験しながら各地を転々とした杉本さん。しかし、30歳ごろにうつ病を患うなど紆余曲折のある人生だったと言います。

そのころ漠然と、チキンスープカレーの店を持ちたいと思ってはいましたが、店舗を構えるスタイルは自分には合わないと感じていました。そんな時パキスタンカレーに出会い、その味に衝撃を受けます。これなら北海道で主流のスープカレーと差別化できる、そしてパキスタンカレー1本で味を追求するスタイルが自分に合っていると感じ、パキスタンカレーに可能性を感じ始めます。

「父が居酒屋を経営していて、料理の知識はあって味には自信がありました」と話す杉本さん。キッチンカーという形態をとったのは、苦楽を共にしてきた愛猫「ちる」の存在が大きいと言います。今まで住み込みの仕事を中心にしてきた分、これからは毎日家に帰れて、18歳になったちるちゃんと、一緒にいられる時間を増やしたいという思いからでした。こうして、パキスタンカレーの店「三毛猫屋」として新たなスタートを切ります。

店主の猫 ちるちゃん。18歳でありながらまだまだ元気。

「自分がこんな見た目なので敬遠されそうだなと思って、店のディスプレイには気を使いました。親しみやすさを感じられるよう意識しています」。デザインの仕事を経験したこともあり、ロゴも自作。いたるところに猫のデザインをあしらい、親しみやすさを演出しています。

猫の人形があしらわれたディスプレイ

無加水・無添加で作る特製パキスタンカレー

自慢のパキスタンカレー

三毛猫屋のカレーは、無加水・無添加で作られているのが特徴です。大量の鶏モモ肉をホロホロになるまで油と野菜、スパイスで長時間じっくり煮込んで作られています。「スパイスは効いていますが辛すぎず、子どもから年配の方までおいしく食べていただける味わいになっています」と杉本さん。

「試作を重ねて一定の完成度は出せたと自負しています。これからもよりよい味というものをどんどん追及していけたらと思います」

ちるちゃんとの時間を大事にしながら、ゆくゆくは店を構えることも視野に、味の追及を続けていきたいと語ってくれました。

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