穏やかな空の下、ずらりと並ぶキャンプギアのブース。会場にはゆったりと落ち着いた音楽が流れ、たくさんのキャンプ愛好家が目当てのギアを探したり、互いに情報交換したりと思い思いの時間を過ごす……。そんな素敵なアウトドアイベントが、香川県にあります。

SETOUCHI-DAYSという名のそのイベントを企画・運営しているのが、香川県三木町にある匠製作所の代表、鈴木文美男さんです。漆塗りや仏壇製作など木工業を本業とする鈴木さんに、イベントを企画したきっかけや2021年の開催予定について聞きました。

グラエクの「焚き火台」は、シンプルな構造でコンパクトに収納できるのが大きな特徴です。

「元々キャンプが好きで、木工作家なのでギアはほとんど自分で作っていたんですが、たき火台だけは木では作れなくて。また、当時は車も小さかったので市販のメーカーのたき火台だとかさばるのが嫌だったんです。そんなときに高松市塩江町のアイアン作家さんと知り合って、いろいろ試作していくうちに理想のたき火台ができたので、ふたりでグラエクを立ち上げました」

「それから、各地のアウトドアイベントに出店して販売していました。当時は、物販もあって音楽もあって泊まりでキャンプもできるアウトドアイベントが四国になかったんですね。それで何度か出店するうちに、こういうイベントって全国各地から人が集まっているなと気づいたんです。関西のイベントにも、北海道や沖縄からお客さんが来る。それなら、四国でイベントをやれば、全国各地から四国に人を呼び込めると思って、イベントを企画したんです」

回を重ねるごとに出店店舗が倍増

最初は2018年春。イベント名もつけず、東かがわ市の大池オートキャンプ場でたった2店舗で行った小さな展示会が始まりでした。その後2018年秋に1回目のSETOUCHI-DAYSをまんのう町で開催。このときはグラエクを含む5店舗が出店し、この5店舗が、現在も実行委員として動いています。そして2回目の2019年は15店舗、3回目の2020年は30店舗。4回目となる今年は65店舗が参加予定です。

実行委員は香川や徳島在住で、全員キャンプ仲間。今回はオンラインで何度も打ち合わせを行いました。

「最初はこんな大規模なイベントになると想定していなかったので、もう今は準備や対応に追われてしまっていて。それでも、四国外の人気のメーカーさんが四国ではじめて出店してくれるなど、回を重ねるごとにお客さんや出店者の期待値が上がっているのを感じています」

一方で、人気が出てしまったからこその出来事も。前回のイベントの際、当日の朝に会場で売れたばかりのギアが、昼にはもうフリマサイトに出されていたんだそう。イベントを純粋に楽しんでいる参加者にとっても、来てくれる客に喜んでもらいたいと商品を用意している出店者にとっても、その思いに水を差されるような出来事でした。

2020年のイベントの様子。

アウトドアと音楽を、ゆるやかに楽しむ場に

会場周辺に大渋滞が起きるほど人気を集めた前回のイベント。たくさんの人に迷惑をかけてしまった反省から、2021年のイベントは駐車場に警備員を配置するなど態勢を整えて臨みます。

「2021年の開催は11月6日と7日。はじめて徳島県で開催します。会場のある美馬町の観光協会にもご協力いただき、地元のおいしいグルメもブースとして出店してもらっています。四国外から来ているお客さんや出店者の方に、四国の良さをもっと知ってもらえたらと思います」

今年の会場となるキャンプ場、四国三郎の郷(しこくさぶろうのさと)。

「SETOUCHI-DAYSは音楽も大切な要素の一つ。今年もDJブースは用意しているんですが、ゆくゆくはアーティストを招いて生の音楽を一日中楽しめるような形にできたらと思っています。また、年1回のSETOUCHI-DAYSとは別に、もっと気軽にビギナーさんたちが参加できるような小規模なイベントを、ここ香川・三木町でできたらいいなと考えています。豊かな自然のあるこの四国で、もっともっと多くの人にアウトドアを楽しんでほしいですね」

2020年のイベントの様子。

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