「朝にうどん」「三食うどん」「毎日お昼はうどん」

そんな他県では聞きなれない言葉がしっくりくるのが、「うどん県」として全国でも名高い香川県です。

そんな香川県には、地元民も「んっ?」と一瞬戸惑ったり「どこにあるん?」と問い返すかもしれない、「うどんが買える自動販売機」が存在しています。

その自動販売機が設置されているのは、香川県高松市にあるセルフうどん店・愉楽家(ゆらくや)。今回は“うどん自販機生みの親”とも言える、有限会社ゆらくやの代表・柳萬(りゅうまん)政義さんに話を聞いてきました。

愉楽家店頭にて。柳萬さんは「味に自信があるので、ぜひ来てください」と語ります

自動販売機で売っているうどんの実態に迫る

かけ、ざる、ぶっかけ、しょうゆといった定番は300円。オリーブは400円、カレーは500円

「自動販売機で買えるうどん」シリーズの正式名称は「ザ・丸箱」。丸箱と称されていますが、“八角形”のパッケージです。しかし実はこの“八角形”がミソなのです。八角形の形状のため、自動販売機の中で落ちても紙箱がつぶれません。

八角形の形は、柳萬さんのこだわりと追及

500ml缶と同じ大きさのパッケージを開けると、常温保存可能の半生うどん1人前と、1人前のつゆ2パックが入っています。うどんによって、かけつゆ・つけつゆ・だし醤油とつゆが異なっています。うどんの中身は、店内で提供するうどんと同じ製法で作られています。

中身は1人前。半生うどん150グラム。つゆは、かけつゆ、めんつゆ、だし醤油の3種類

「麺の重さは150グラムに設定しています。うどん1人前が本来なら120グラムですが、軽すぎると自動販売機の中で落ちない。ちゃんと自販機の中で落ちる重さを追及しました」

そう語るのは、商品開発の全てを手掛け、“うどん自販機生みの親”とも言える、有限会社ゆらくやの代表取締役・柳萬(りゅうまん)政義さん。

紹介された「ザ・丸箱」のラインナップは、かけ、ざる、ぶっかけ、しょうゆといった定番のものから、オリーブ、いかすみといった少し変わったものが並びます。

贈答用パッケージも準備

オリーブとは、うどんにオリーブを挟んだ2色層の麺でできた商品。香川県の県花・県木に指定されているオリーブを、しっかりとうどんにも活用しています。

いかすみの正式名は「しまうまっ讃想いかすみうどん」。白と黒のカラーリングがシマウマと結びついたようです。さらに「うまっ」と“旨い”が語呂合わせになっています。
「いかすみは食べても口の中は黒くならないので、安心してくださいね」

平麺でできた「ぱうめん」という不思議なネーミングのうどんは「パはパスタ、うはうどん。あわせてぱうめん」とのこと。もちもちした食感が魅力で、だし醤油とオリーブオイルが付いています。

ピンク色のパッケージをした紅白うどんは「はっぴっぴ」という、かわいい名前がついています。
「香川県では子どもに対してうどんのことを『ぴっぴ』と言います。ハッピー、ぴっぴ、紅白のおめでたい雰囲気。これらをミックスさせて『はっぴっぴ』にしました」

メジャーな定番でいくか、ユニークな商品にチャレンジするか。どれも讃岐うどんの魅力的な味がつまっています

その中でも一段と目を惹くのが、カレーうどんのパッケージです。「阪神タイガース」のロゴと文言が入った商品には、公認商品シールも貼られています。気になる中身は、うどんにカレーを挟んだ2色層の麺と、だし醤油付。カレーうどんですが、だし醤油で食べるスタイルです。

カレーうどんは、阪神タイガース公認のシールが貼られています

「別パッケージでカレーうどんを開発した際、うどんの白色とカレーの黄色という2色層にふと『これは阪神カラーだ!』と気づいたんです。僕は若い頃、大阪の商社で勤めていて、そこでタイガースと出会ったんです。それからずっとタイガース一筋」

柳萬さんが持つ阪神タイガースへの情熱が、商品開発のアイデアと融合。柳萬さんは自ら球団を訪れて商品を説明し、何度も球団に足を運んで味を確かめてもらいました。そうしてできあがったのが「阪神タイガースしあわせカレーうどん」なのです。

真剣に悩み続けることから、アイデアは生まれる

購入方法もラインナップもユニークな「ザ・丸箱」ですが、柳萬さんはアイデアを生むために日々努力を重ねています。

「日々真剣に商品開発に取り組み、考え続けることで『うどんを自動販売機で売れないかな?』というアイデアがキャッチできました。商品開発は『何かないかなぁ』と真剣に悩み続けることから始まります。すると天からアイデアが降ってくるんです。今回の『ザ・丸箱』もそのひとつでした」

自動販売機に並ぶラインナップ以外にもユニークな商品があります

讃岐うどんの美味しさを追求するため、愉楽家では自社工場を構え、自社製麺のうどんを提供。さらにお土産うどんや業務用販売うどんの商品開発に力を入れました。今では従業員と共に店舗営業やネット販売を展開。2019年9月に登場した「自動販売機で買えるうどん」もその一つでした。

入口の右隣、うどんを扱う自動販売機があります

一朝一夕ではできない商品開発。アイデアを生むためには、日々真剣に向かい合うことが必要だと柳萬さんは語ります。

味に絶対の自信あり!讃岐うどんをもっと知ってもらうために

さて、気になるのが「ザ・丸箱」の売れ行きです。

「店内でうどんを食べたお客さんが、お土産としても買っています。手荷物として邪魔にならない大きさが、よかったのかもしれません」と売れ行きは好調。バイクや自転車など、遠出をしに来たツーリング客をよく見かけるとか。

また関東方面の自動販売機メーカーと協力しており、全国への展開も視野に入っているとか。そうなると、香川県以外の場所でも出会えるかもしれません。

のぼりも、自動販売機で買えるうどんをプッシュ!

「讃岐うどんをもっと知ってもらいたい、人に喜んでもらえるような商品を作りたいんです。味には自信があるので、ぜひ舌で感じてほしいですね」

日々商品開発に真剣に取り組み、ありきたりではない、人の目を惹くような商品を開発したい。さらに、讃岐うどんを一層広めていきたい。そんな柳萬さんの商品開発への情熱と挑戦は、これからも続いていくでしょう。

有限会社ゆらくやの代表・柳萬政義さん。6月のおすすめは「カレーうどん」