コロナ禍の厳しい状況が続くなか、全国のテーマパークが苦境に立たされています。しかし、そこで働く従業員たちは、感染防止対策を徹底しながら、訪れた人たちには安心して楽しんでもらおうと、きょうも汗を流しています。今年で25周年となる、岡山県玉野市の「おもちゃ王国」でアトラクションのメンテナンスを担当する、小野智司さんもその1人です。

子どもの頃に遊んだ思い出の地で

ゴーカートと小野さん

小野さんは、地元・玉野市の生まれ。1996年、前身の王子ファンシーランドからおもちゃ王国に生まれ変わった、その年の4月に入社した社員です。進学か就職かで直前まで迷っていた高校3年生の1月頃、校内に出されていた求人で、従業員を募集していることを知りました。小野さんにとっては、子どもの頃にゴーカートに乗った記憶がある、思い出の地でもありました。

おもちゃ王国 入口ゲート前

「地元っていうのもありますし、遊園地っていうのも結構魅力的なところがありまして。お子さんの思い出づくりとか成長に関われたらいいかなと思いまして。子どものときの思い出のところで働けるっていうのはかなりうれしいというか、(今も)満足していますね」

入社してからは、主にアトラクションの運転やオペレーターを担当。メンテナンスも徐々に教えてもらうようになり、ベテラン社員が退職した10年ほど前からは、外部の業者と協力しながら1人で担当するようになりました。

事故なく営業を続けるために

観覧車の装置の動きを確認

アトラクションは多くが海外製で、王子ファンシーランドの頃から活躍している30年選手のものも。点検した上で、全体予算を考えながら部品を交換するタイミングを判断したり、今まで取り換えたことのない部品を海外から取り寄せたりする仕事は、特に大変だと話します。ジェットコースターやゴーカートのオイル差しなど、日々の細かな作業も同時にこなします。

ゴーカートのメンテナンス

それでも、不具合が全く起こらないわけではありません。そのとき、いかに事故につながらないように注意するかが大切だと話します。

「メンテナンス中とか、不具合があって救助しているときに(一般的に)事故が起こりやすいんですよ。例えば救助しているときに急に動き出すとか。このため、従業員同士のやりとりは徹底しています。救助訓練も年に2回行っていて、その時にも『救助しているときが一番危ない』ということを教えています」

不具合そのものではなく、対応中に事故の危険性が高まる

コロナ禍の影響で、2021年も5月16日から6月4日まで臨時休園となりました。機械系は長い間動かさないことで不具合につながる可能性もあるため、休園中も乗り物の試運転など、メンテナンスを継続させていたということです。

安心安全、そして笑顔を

こうしたかいもあって、オープンして25年、今まで事故なく営業を続けられていることが、小野さんの自信にもつながっているそうです。主に小さい子ども向けの乗り物が多いおもちゃ王国にとって、安心・安全は最も大切にしなければならない部分です。

「遊園地は安心安全が第一で、そのあとに“楽しい”。小さい子が安全に楽しめるように心がけています」

付き添いありで2歳から乗れる「チボリコースター」は名物の1つ

小野さん自身も5歳の長男と2歳の長女がいて、1~2か月に1度はプライベートでも訪れます。父親の職場を子どもたちに見せられるのもまた、やりがいの1つです。

「もうちょっと年齢いったら仕事のことも分かってくれるかな」と小野さん

そんな小野さんが教えてくれた従業員ならではのおすすめスポットは、観覧車の裏にある植物園。アトラクションやパビリオンのエリアよりも人が少なく、自然を楽しみながら落ち着いた時間を過ごせるそうです。

観覧車裏の植物園は小野さんのおすすめスポット

「今は出かけるのもどうなのかという時期ではありますが、少しでもお子さんも大人の方も笑顔になれるように、楽しんでいただけるように、頑張りたいと思います」

「ともしおにいさん」のネームをつけて、小野さんはきょうも来場者の安心安全と笑顔のために奮闘しています。

※おもちゃ王国は5月16日から臨時休園していましたが、6月5日から営業を再開しています