サステイナブルな暮らしに関心が高い人の間で浸透してきている「パーマカルチャー」。この理念に共感し、自然や人を大切に生活することを心がけている三村剛史さんに、パーマカルチャーの理念との出会い、そして今後の取り組みについて話を聞きました。

パーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、そして文化(カルチャー)の3語を組み合わせてつくられた言葉で、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法のことです。1970年代にオーストラリアのビルモリソン、デイヴィッド・ホルムグレンによって提唱され、世界中の国々で実践されています。大事にされているのが「自己に対する配慮」「地球に対する配慮」「人に対する配慮」「余剰物の共有」の4つの倫理です。(※参考 http://pccj.jp/)

自然は「人と一緒」

木を植えて育てる、造林、山づくり…。現在三村さんは岡山県の「奈義町森林組合」で、山の所有者と現場で山の手入れをする作業者をつなぐコーディネーターのような存在として、自然や森林を守る仕事に携わっています。

「それぞれに個性があり、役割があり、存在する意味がある。自然に触れながら、多様性の意味を感じています。人と一緒やなぁって思います。木や山のことはまだまだ初心者やけど、木や山、自然のことをもっと知りたいと思って、今ここで働きながら学ばせてもらっています。」

奈義町の豊並樹苗生産組合で育てられている木の赤ちゃん

生きるとは「自分らしくいること」

幼少期、山に囲まれて育ってきた三村さん。子どもの頃から自然が好きで、小学校の頃の夢は「地球を守ること」。大学卒業後は、アルバイトを通じて知った「食の面白さ」に惹かれ、食品メーカーに入社しました。「デパ地下で総菜販売をしながら、野菜の良さを伝える仕事に携わっていました。でも、大量生産、大量消費、大量廃棄に疑問をもつようになったんです。」そんな中、徳島県への転勤を命じられます。

転勤先の徳島県では、サーフィンを通じて、自然に寄り添った生き方をしている人、太陽のリズムに合わせて生活する人など、三村さんの人生を大きく変えていく人たちと出会います。

「面白い人たちがたくさんいて…。彼らと関わる中で、自分が生きてきた普通の人生に疑問をもつようになりました。さまざまな人と出会って、もっと自由に生きていいんだ、自分がしたいことをして生きるのが生きる意味なのかもしれないって。生きるって、doing(何かをすること)じゃなくてbeing(自分らしくいること)なんちゃうかなと。」

徳島での休日の過ごし方は朝から晩まで、大学時代に始めたというサーフィン

徳島で2年過ごした後、結婚を控えていた三村さんは再び、神戸への転勤を命じられました。しかし、自然の中でもっと自由に”自分らしく”生活したいという思いから、会社を退職することを決意。

「会社員だった自分が、社会のレールから外れ、自然や自然に寄り添いながら生活している人と深く関わる中で、ちょっとでも世の中の仕組みをよくしたいという気持ちが強くなりました。」

自然と、若者や地域の人がつながる場づくりを

退職後、縁あって天然酵母のパンづくりをはじめた三村さん。パンを通じて出会った人々と関わりながら、「食べているもので人が変わる、人が変わると社会が変わる、社会が変わると世の中が変わる」と、地域づくりと教育の大切さについて考えはじめます。

「初めは、社会を変えていきたいという思いが強かったです。でも、社会を変えていくのにはすごくパワーが必要で…。社会を変えるのではなく、未来や新しい価値観を、これからの社会を担う若者や地域のみんなでつくっていきたいと思うようになりました。」

イベントでは、地域の人や大学生と集いながら未来をどうつくっていくかを語り合う

みんなで未来をつくっていくためにはじめたのが、自然の中でのイベントです。食や農、自然について考えるファーマーズマーケットや、森をフィールドにして自然からの学びを大切にするイベントを開催し、自然と若者や地域の人がつながる場づくりをしてきました。