異なる分野から新しい道に進んだ人の経験には、
多くの学びがあるのかもしれません。
今回は、そんな新しい挑戦をしてきた佐藤拓司さんに話を伺いました。
佐藤さんは現在、熊本県で16店舗を展開する共生薬局を経営しています。ホストから薬剤師、そして経営者へとキャリアを築いており、講演会や執筆活動などにも積極的に取り組まれています。
佐藤さんは2003年までホストとして働いていました。大学卒業と同時にホストを辞め、その後は薬剤師を目指しました。国家試験に2回目で合格し、2005年から薬剤師として働き始めました。
薬剤師までの道のり
薬剤師までの道のりは、決して順調なものではありませんでした。薬学部に在籍していた大学時代は留年を経験し、国家試験にも一度落ちるなど、挫折の連続。両親の離婚により仕送りはなく、奨学金とアルバイトで生活費や家賃をまかなっていました。

水道やガス、電気が止まることもあり、勉強との両立は過酷だったそうです。それでも「負けたくない」という思いを支えに「次に落ちたら、一生夜の世界で生きていく」と覚悟を決めました。
国家試験合格の瞬間も、まさに“崖っぷち”だったと振り返ります。自己採点では合格点に届かず、歌舞伎町へ戻る準備をしていましたが、不適格問題の影響により加点があり、奇跡的に合格。薬剤師である母もとても心配しており、合格の一報を喜んでくれたといいます。
経営者としての思い
佐藤さんが薬剤師として働くなかで、次第に興味をもったのが経営の分野でした。人より遅れて社会人になった分、学びや自己投資を重ねるなかで「雇われる側ではなく雇う側になろう」と決意したそうです。
「世界は表と裏、二分の一の確率で動いている。だったら雇う側にもなれるかもしれない」と安易に考え、経営者への道を意識したといいます。

しかし、2011年に創業するも、一度は会社を倒産させるという結果に。その後2013年に再挑戦し、現在の成功へとつなげました。資金も人脈もない状態からのスタートで、誰からも相手されず、見向きもされなかったという悔しさをバネに「必死にやり抜いたこと」が今につながっていると語ります。
ホスト時代の経験が現在の仕事に
ホスト時代に培った営業力や打たれ強さ、そして個人とチームの両方を大切にする姿勢は、現在の経営にも活かされているといいます。その結果、12年で16店舗を展開し、社員数は100名近くにまで成長しました。

今後の目標は、医療サービスや薬の提供にとどまらず、地域全体の健康を支える存在になること。現在、共生薬局グループは熊本県内に16店舗を展開しています。
現在は、熊本県の健康寿命を全国1位にするというビジョンを掲げ「健康で心豊かに過ごせる時間」を増やす社会の実現を目指しています。
そのために「共生薬局を単なる薬局ではなく、安心とつながり、活力と笑顔が生まれる場所…“地域の健康インフラ”へと進化させたいと考えています」と話していました。
どんなに過酷な状況でも、諦めずに進み続けることの大切さを改めて感じさせられるエピソードでした。佐藤さんの今後の活躍にも期待が高まりますね。

