「奇跡が起きないかぎり一生歩けない」と言われていた男の子が、4歳のときに立ち上がることができました。その背景には、ママさんが脳性麻痺だと診断された息子さんの可能性を信じて、一緒にリハビリを続けていたこともあったのかもしれません。
立ち上がったときの動画をSNSに投稿したところ、多くのコメントが寄せられ話題となっていました。そこで、ママさんに息子さんの病気のことや、立ち上がったときの出来事について話を聞きました。
3歳のときに脳性麻痺と診断された息子さん
息子さんは、妊娠28週で960gの超低出生体重児として生まれました。生まれてから重度発達遅延として経過観察となっていましたが、3歳のときに脳性麻痺と診断されます。

脳性麻痺だとわかったとき、ママさんは「ショックでしたが、病名がついたことで進学先や発達支援の方向性が見え、ほっとした部分もありました」と語ります。
しかし、妊娠高血圧症候群による早産が原因の可能性が高いため、産科医療補償制度への申請を検討し、行政や医療機関とのやりとりで苦労もしました。後悔や不安もありましたが、ママさんは息子さんのことを思い、現状を受け止めたうえで、必要なケアを進めていこうと考えるようになります。
「一生歩けない」と言われたものの、突然立ち上がる奇跡を…
3歳ごろの診断時、小児整形の医師から「奇跡が起きないかぎり一生歩けない。その奇跡は本人次第」と告げられました。その言葉に、ママさんは現実を突きつけられたような思いだったといいます。
それでも、息子さんの可能性を否定することなく、日々のリハビリを続けてきました。
「信じていた」というより、諦めずに積み重ねてきた結果だったと振り返っています。

「一生歩けない」と告げられていた息子さんですが、4歳2ヶ月のとき、突然立ち上がることができました。歩行器もほとんど使えなかったなかでの出来事で、これまで地面から立ち上がろうとする様子はほとんど見られなかったため、その変化にママさんも驚きました。

立ち上がった姿を目にした瞬間、驚きと喜びがこみ上げ「息子の積み重ねてきた努力を感じる場面だった」と振り返っています。

ママさんは「これからも息子さんのペースを尊重して支えていきたいです」と話していました。
息子さんの気持ちを尊重し、ペースを大切に
現在の息子さんは、元気で食欲旺盛。普段は笑顔が多く、遊ぶことが大好きだといいます。一方で、体幹機能不全により肢体不自由があり、自立歩行や発話は難しい状況です。
身体障害者手帳2級(療育手帳B)を所持しており、知的・運動面の特性や筋緊張の弱さ、低身長、喉や口の筋肉を使いづらいといった特徴があります。そのため、日常のコミュニケーションは指差しやジェスチャーを中心に行っています。

生活のなかでママさんが心がけているのは、順番を守る・挨拶をする・謝るといった基本的なマナーを伝えること、そして息子さんの気持ちを尊重し、無理をさせずに自分のペースで楽しく過ごせるよう工夫することです。
今回のように、ある日突然できるようになることもあります。たとえば、苦手だったお風呂では約束を守りながら自分で準備ができるようになったことや、以前は早食いだった食事も、少しずつゆっくり噛めるようになりました。
「ひとりじゃない」ことを届けたい
ママさんがSNSで発信するようになったのは、息子さんの成長記録を残すためと、同じ境遇の親御さんに「ひとりじゃないよ」と伝えるためでした。また「脳性麻痺の育児のリアルを共有し、励まし合いができれば」という思いもありました。
今後も発信していくなかで、療育の日常や障害児の成長の喜び、親の心境などのリアルな情報を届けたいといいます。
「SNSを通じて共感や支援の輪を広げ、誰もが安心して子育てできる社会に少しでも貢献できればと思います」とママさん。
息子さんには「自分のペースで、少しずつできることを増やしてほしいです。歩くことや話すことができなくても、笑顔で幸せを感じられるように。息子らしい個性を活かして楽しく生きてほしいと思います」と話してくれました。

突然立ち上がる姿を目にしたとき、ママさんにとって忘れられない瞬間になったことでしょう。息子さんのペースや日々の積み重ねのなかで起きた一場面として、多くの人に共有されました。こうした経験が、同じ立場の人同士をつなぐきっかけになっていくのかもしれません。

