才能のある人は、どんな場所や材料も芸術に変えてしまうから驚きです。洗車中に飽きて絵を描いた@ogillust1122さんが、壁画を描く様子をInstagramに投稿すると「御利益ありそう」「集中力が凄い!」「素晴らしい」などのコメントが寄せられ話題になっています。
画家として活躍する投稿者さんに話を聞きました。
地元の話題になる作品を
ある日、車を洗車しようとした投稿者さん。作業を始めてすぐ飽きてしまった中、家の壁の汚れが水で落ちることに気づきました。
コンクリートの壁にホースで水を当てると、汚れが落ちた部分が線となって現れます。描き進めるうちに、壁面には龍の輪郭が浮き上がり、あっという間に迫力のある壁画が完成しました。

詳しくお話を聞いたところ、このとき大阪のアトリエから広島の実家に期間限定で引っ越してきた投稿者さん。
「せっかく画家として戻ってきたのだから、地元の話題になるような大きな作品を作ろう」と思い立ったのが、今回の壁画制作のきっかけでした。
実家の近くに龍神を祀る神社があり、投稿者さんはその影響もあって龍が好きで、子どもの頃からたくさんの龍を描いてきたそうです。大きくのびのびと描ける龍をモチーフに「全力で楽しもう」と取り組み、制作にかかった時間は40分程でした。

出来上がった作品に投稿者さんは「こんなに大きな龍が描けるようになったんだな」と、画家に転身したことへの肯定感に繋がる感覚があったのだとか。一発描きのため、理想との乖離はありながらも、コントロールしきれない線が織りなす面白さもあり、とても楽しかったそう。近所の人には声をかけてもらったり、見てもらったりされるため、ご両親は誇らしげにしているといいます。
壁画はそのまま残してあり、劣化しながらも数年は見ることができるそうです。今後、さらに龍を書き足す構想もあるのだとか。

絵を通じて子どもたちの支援を
幼少期から絵を描くことや物作りが好きだった投稿者さん。大学で水産学を学ぶ中で、生き物の形の美しさに魅了されたそうです。大学院修了後、製薬会社に17年間勤務しながらも、生き物を描き続けていました。
あるとき、東京大学 エグゼクティブ・マネジメント・プログラムというカリキュラムで、半年間の学びの機会を得た投稿者さん。そこでは、自身の人生を何のために使うかということを問い直すことを経験しました。そして2023年に会社を退職し、画家への転身を決意したといいます。
「私は特に目のこと、視覚、見ることに興味がありましたので、得意とする絵を通じてゆくゆくは目が見えない、または視覚特性(かつての色弱・色盲)を持つ子どもたちの支援に繋げていきたいと思っています」と今後の展望を語る投稿者さん。
作品の多くは、視覚特性を持つ方にも見えやすい青を使い、コントラストがはっきりしたものや、立体感があって触れて質感を楽しめる作品となっています。
「多くの方に美しさや感動を届けられる画家として大成することを前提に、いつかはそこで得た収益を、子どもたちの支援にあてていきたいと思っています」と目標についても語ってくれました。

これからも、たくさんの素敵な作品が生み出されることが楽しみですね。
