3歳の娘の体調に違和感「発熱、鼻水、咳」 その後、7か所の病院を経て判明した病とは。 娘を支える母その思いに迫る

3歳の娘の体調に違和感「発熱、鼻水、咳」 その後、7か所の病院を経て判明した病とは。 娘を支える母その思いに迫る
サラちゃん①(@y.d.s.mommyさんより提供)

3歳2ヶ月で白血病だと診断されたサラちゃん。風邪のような症状が出始めてから、白血病だとわかるまでに約2ヶ月かかりました。

サラちゃんが白血病と診断されたとき、サラちゃんのお母さんは目の前が真っ暗闇になり、SNSを見たくなかったといいます。
「友達の普通の生活が私にはうらやましく、変な言い方にはなりますが妬ましくもありました」と。しかし、白血病と闘い乗り越えて生きている子どもたちのドキュメンタリーとの出会いによって、お母さんの気持ちは救われ、希望を持てるように。

そこで「今もどこかで不安に押しつぶされそうになっている親子に、希望を持ってもらいたい」とSNSで発信している、サラちゃんのお母さんに話を聞きました。

最初の風邪から白血病と診断されるまで

2023年の6月中旬、サラちゃんは発熱、鼻水、咳などの普通の風邪と思われる症状が出始めました。しかし、10日経過してもよくならず、6月末には肺炎で人生初の入院をすることに。

そのとき、初めて貧血であることを指摘され、鉄剤を飲むと一時的にはよくなるものの、退院2週間後にはまた風邪の症状が…。そして8月中旬にも軽い風邪など、半月ごとに発熱などの症状を繰り返していたのです。

サラちゃん①(@y.d.s.mommyさんより提供)

夏休みでの帰省中、サラちゃんは滞在期間の半分ほどは風邪をひいていましたが、楽しい時間をたくさん過ごせたといいます。しかし、自宅に帰る前日に熱が出てしまい、なかなか治らなかったサラちゃんは肝臓が腫れていることを指摘され、滞在先の病院で2度目の入院をしました。

退院はできましたが、自宅に帰るときにはすぐに疲れて、自分で歩けなくなってしまう状態だったといいます。
「痛くない」と言いながらも足を引きずって歩いていたり、もともとすごく活発なサラちゃんが、自分から散歩に行きたがったのに、数歩歩いてすぐ「疲れちゃった…」とベビーカーに座ってしまったり…。

そうした状態だったので退院後のフォローが必要ということになり、サラちゃんは、肺炎で入院した病院を紹介され、自宅に戻ってから再び通院することになりました。そのとき、肺炎で診てくれていた医師は「様子を見ましょう」と判断します。

衰弱していくサラちゃん

しかし、サラちゃんはその後どんどん衰弱し、飲み物も飲みたがらなくなったので、点滴してもらおうと予約ではない日に受診することに。

そのとき診察したのは、いつもの医師ではありませんでした。サラちゃんの顔を見た瞬間「顔、白すぎるよ!血液のスペシャリストのいる病院紹介するからすぐ行って!」と言ったのです。

サラちゃん②(@y.d.s.mommyさんより提供)

お母さんは紹介状を受け取ってすぐに南部医療センターへ行きました。そのときは採血と点滴をして帰宅。医師からは「発熱したり、ぐったりしたら、すぐにまた受診してください」と言われました。その日は元気になり、病院から帰宅後夕ご飯も食べられたサラちゃんでしたが、翌日発熱してしまい、また受診したところ「こちらからも連絡しようと思っていたところでした。悪い細胞が見つかりました。このまま入院になります」と…。

サラちゃんは42度まで発熱、肝臓の数値も高すぎて解熱剤も使えず、保冷剤で冷やしながらその週末を乗り切り、週明けに骨髄検査をしてその結果、白血病と診断されました。

そのときサラちゃんは3歳2ヶ月で、最初の風邪から白血病と診断されるまで約2ヶ月かかりました。この2ヶ月の間に3ヵ所の大きな病院、4ヵ所のクリニックを受診していたといいます。お母さんは「原因不明とか、夏バテだろうと言われ続け、私は不安と心配で顔中吹き出物だらけになってしまいました」と語っていました。

サラちゃん③(@y.d.s.mommyさんより提供)

お母さんの中での白血病とは「命を落とす」という悪いイメージしかありませんでした。そのため、サラちゃんが白血病だと診断されたとき「私の世界は一気に色を失い、真っ暗になりました。神様、なぜこの子を…という恨みにも似た気持ちと、神様、私の今までの行いを悔い改めるのでどうか娘を奪わないでください、という藁にも縋る思いと…いろいろな思いがありながら、ただひたすら祈りました」と話します。

一方で、2ヶ月間の原因不明の体調不良だったため、やっと原因が分かってホッとする気持ちもありました。しかし「抗がん剤なんて強い薬を使っても大丈夫なのだろうか…」と不安や心配も残ります。

毎日、抗がん剤を飲む治療を…

現在、サラちゃんは維持療法という、毎日抗がん剤を飲む治療をしています。2週間に1度病院へ行き、採血をして、血球の数に応じて、抗がん剤の量が決まります。
具体的には、毎日飲む抗がん剤、週に1回飲む抗がん剤、肺炎予防の苦い薬を週6日飲んでいるというサラちゃん。

血球が下がりすぎると、生ものが食べられない、人混みに行けない、動物と触れ合えないなど、感染症に注意しなければなりません。気をつけなくてはいけないことがたくさんあります。

サラちゃん④(@y.d.s.mommyさんより提供)

外に出られないときには「家でボードゲームやカードゲームをしようか?とか、動物が好きなのに動物とは触れ合えないから、新聞で動物の写真を切り抜きしてノートに貼って名前を書こうか?」などと、思うように動けない状況でも明るく楽しく過ごす!ということを心がけて、お母さんは遊べるものを提案していると話していました。

苦しんでいる人たちの希望になれたら…

サラちゃんのお母さんは、サラちゃんの白血病についてSNSで発信しています。

白血病と診断されたとき、サラちゃんがいなくなってしまうのではないかという不安から、サラちゃんが眠った後、携帯で白血病について検索する毎日だったといいます。
「怖い内容も出てきてしまうから、携帯での検索はやめたほうがいい」と言われますが、それでも夜は特に不安が押し寄せてきて検索をやめられなかったのです。

そんなとき、白血病と診断されても元気になっていく子どもたちの動画を見つけました。それはお母さんにとって「娘も元気になっていける!」と希望を持てた内容でした。

診断されたときには、友達や他人の日常がキラキラ輝いているように見えて、SNSを開けなかったお母さんでしたが「私のように、我が子が病気になり苦しんでいる人が今もどこかにいるのでは…」と思ったといいます。そして、誰かの希望になれるのかな…と思ったことから、サラちゃんが元気になっていく姿をアップしようという気持ちになったのです。

また「小児がんの治療をしている子がたくさんいる、そしてその子どもたちのためにサポートしている人たち、企業団体がたくさんいるということをもっと広く知ってもらいたい。少しでも多くの支援に繋がってほしい」と。

サラちゃん⑤(@y.d.s.mommyさんより提供)

サラちゃんは「お医者さんになりたい」という夢を持っているといいます。お母さんは「まずは”健康でいることが第一”と考え、体のことをもっと勉強して、健康的でいられる食事や運動、うまくストレスを発散できるようにしていきたいです」と話していました。

SNSには同じ白血病のお子さんがいるお母さんや、白血病と診断されて治療をしている人、また他の病気の人などからたくさんのコメントが寄せられていました。中でも、サラちゃんのように何件も病院に行って診断されるまでに時間がかかった人が多いように感じます。

「普通の風邪ではないかも」「何かおかしい」と感じても、普段通っている病院でこちらから「もっと検査してください!」などとは言いにくいかも知れません。サラちゃんの場合は予約ではない日の受診で、担当ではない医師が顔色の悪さに気がついてくれました。原因不明の体調不良が続く場合は、セカンドオピニオンを検討することも大切です。

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