居酒屋で…「違反だよ」客がかけられたまさかの言葉に…「血の気が引いた」「冷や汗」

居酒屋で…「違反だよ」客がかけられたまさかの言葉に…「血の気が引いた」「冷や汗」

春は新入社員の入社や異動など、新しいメンバーとの懇親会が増える季節です。
久しぶりの飲み会や食事会で「あれ、どっちに座るのが正解だっけ?」と一瞬迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。

とくに社会人になりたての頃は、学生時代とは異なる独特のルールに戸惑うものです。
今回は、30代の会社員女性が新人時代に体験した、ある「席順」にまつわるほろ苦い体験談を紹介します。

気配りのつもりが裏目に…社会人1年目の飲み会

現在、都内で会社員として働く30代のAさん。彼女がその出来事に遭遇したのは、社会人になりたての頃でした。
当時、会社の飲み会が開催されることになり、Aさんは会場となる居酒屋へ向かいました。

しかし、業務の都合で他のメンバーは遅れており、Aさんが一番乗りで到着してしまったといいます。
「私が最初に店に着いたので、とりあえず席につこうと思いました。そのとき、ふと『後から来る人たちが座りやすいようにした方がいいな』と考えたんです」

Aさんは気を利かせ、入り口から一番遠い、奥の席へと移動しました。
手前の席を空けておけば、後から来た先輩たちがスムーズに座れるだろうという、彼女なりの配慮でした。

先輩からの「待った」で気づいた重大なミス

しばらくして、仕事を終えた先輩たちが到着しました。
しかし、Aさんの姿を見たある先輩が、慌てた様子で彼女に声をかけたのです。

「そこ、一番奥は社長の席だからダメだよ!」
Aさんが座っていたのは、いわゆる「上座(かみざ)」入り口から最も遠く、本来であればその場にいる最も役職が高い人が座るべき場所だったのです。

「当時は『奥に詰める=親切』だと思い込んでいて、上座・下座という概念がすっぽり抜け落ちていました。
先輩に指摘されて初めて、自分が社長の席を陣取っていたことに気づき、サァーッと血の気が引いたのを覚えています」

幸い、社長が到着する前に席を移動できたため大事には至りませんでしたが、Aさんはそのときの焦りと恥ずかしさを今でも鮮明に覚えているといいます。
「よかれと思ってやったことがマナー違反だったなんて…と落ち込みました。事前に飲み会のマナーをもっと調べておけばよかったと、猛省しましたね」

【専門家のコメント】上座・下座の基本と、迷ったときの対処法

このようなケースについて、撫子Plus株式会社の鮎永 麻琴さんに話を聞きました。

上座・下座というと、「どこに座るか」という位置のルールに意識が向きがちです。
しかし本質は、席順そのものではなく、相手への敬意や配慮をどう表すかにあります。
一般的には、
• 上座:入口から最も遠く、落ち着ける位置
• 下座:入口に近く、動きやすい位置
とされ、
目上の人や主賓がより安心して過ごせるように、という考え方が背景にあります。
つまり、
「奥=偉い人の席」という形式だけを覚えるよりも、
誰をもてなす場なのかを考えることが大切なのです。

■ なぜ「よかれと思った行動」が裏目に出やすいのか

今回のエピソードのように、
「後から来る人が座りやすいように」という気遣い自体は、決して間違っていません。
ただ、ビジネスの場では、
• 効率や親切心
• 敬意や立場への配慮
この2つを同時に求められる場面が多くあります。
学生時代やプライベートの感覚のまま行動すると、
無意識のうちに「敬意を示す配慮」が抜け落ちてしまうことがあるのです。

■ 上座・下座は「絶対ルール」ではない

上座・下座は、
法律や社内規定のような厳密なルールではありません。
実際には、
• 職場の文化
• 参加者の人数や関係性
• カジュアルな飲み会か、公式な会か
によって、柔軟に考えられるケースも多くあります。
そのため、
知らなかったからといって過度に落ち込む必要はありません。
多くの人が、社会人になってから失敗や指摘を通じて学んでいくものです。

■ 迷ったときに一番スマートな対処法

席順に迷ったとき、
実はもっとも評価されやすい行動があります。
それは、
自分で判断せず、周囲に確認することです。
たとえば、
• 「こちらが『下座』でよろしいでしょうか?」
• 「どこに座ればよいか教えてください」
と一言添えるだけで、
• 場を大切にしようとしている
• 相手を立てようとしている
という姿勢が、自然に伝わります。
無言で座るよりも、
一声かけること自体が、立派なコミュニケーションなのです。

■ 席順マナーは「試験」ではなく「気持ちの表現」

上座・下座の知識は、
できているかどうかを採点されるためのものではありません。
大切なのは、
• 相手を尊重しようとしているか
• この場を円滑にしようとしているか
その姿勢が行動に表れているかです。
完璧でなくても、
学ぼうとする態度や、気づいたあとに行動を変えられる人は、
必ず信頼されていきます。
席順に迷う場面は、
実は「失敗しやすい場面」ではなく、
配慮や人柄が伝わりやすいチャンスなのかもしれません。

マナーは「形式」だけでなく「相手への敬意」

新入社員時代の失敗から数年が経ち、今では後輩を指導する立場になったAさん。
当時のことを振り返り、こう語ります。

「あのときは形式的なマナーを知らなかったことが原因でしたが、根本にあるのは『相手を敬う気持ち』をどう表現するか、ということだったんですよね。私の『座りやすいように』という配慮も間違いではなかったけれど、ビジネスの場では『敬意を示す』という別の配慮も必要だったんだと学びました」

ビジネスマナーは時代とともにカジュアルになりつつありますが、席順ひとつにも、相手への敬意やおもてなしの心が込められています。
これから歓送迎会のシーズンを迎えます。

席順に迷った場合は、自分で判断して座るのではなく、「どこに座ればよいでしょうか?」と周囲に尋ねることで、コミュニケーションのきっかけになることもあります。

【監修者】撫子Plus株式会社 鮎永 麻琴さん
※本記事は、個人の体験談および専門家の見解をもとに構成しています。体の感じ方や原因には個人差があり、すべての人に当てはまるものではありません。

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