髪の毛が白くアルビノとして生まれた男の子。母の姿を見てみると…「素敵な愛情」「最強で最高な親子」 

髪の毛が白くアルビノとして生まれた男の子。母の姿を見てみると…「素敵な愛情」「最強で最高な親子」 
りっくんの赤ちゃん時代③(@8._.brothersさんより提供)

アルビノとして生まれた息子・りっくんの姿をSNSで発信している@8._.brothersさん。
髪を赤く染めたのは、母としての想いを形にしたいと思ったからでした。
その色には、りっくんが一目で安心できるようにという願いが込められています。これは母としての想いを込めた大切な愛情のしるしです。

アルビノ(眼皮膚白皮症)は先天性の遺伝性疾患で、皮膚や髪、目の色が薄く、個人差はありますが視力が低く「弱視」と呼ばれる症状を抱えることが多く見られます。

りっくんも弱視のため、少し離れると人や物の判別が難しく、母である@8._.brothersさんの赤い髪は彼にとって目印となっていたのです。

@8._.brothersさんに話を聞きました。

赤い髪に込めた思い

@8._.brothersさんが髪の毛を赤く染め始めたのは、りっくんが3歳のころ知らない人をママと呼んでしまったことからでした。りっくんは外に出ると、ほんの数メートル離れただけで@8._.brothersさんのことを見失ってしまうのです。

生まれた頃のりっくん(@8._.brothersさんより提供)
りっくんの赤ちゃん時代➀(@8._.brothersさんより提供)

服の色や体型、声で判断しようとしますが、強い日差しでどうしても限界があります。人混みの中で不安そうに@8._.brothersさんを探す姿を見たときに「この子にとってわかりやすい目印をつくってあげたい」と強い思いが芽生えました。

そこで@8._.brothersさんが選んだのは、赤い髪。赤である必要はありませんが、目立つ色にすることでりっくんが安心できるなら、迷わず染めることにしました。

りっくんの赤ちゃん時代②(@8._.brothersさんより提供)
りっくんの赤ちゃん時代③(@8._.brothersさんより提供)

安心の目印としての赤い髪

現在、赤い髪に染め始めてから約2年が経ちます。
「赤い髪はすっかり私自身となり、りっくんにとってどんな場所でも必ず見つけられるママの証になっていると思います」と@8._.brothersさん。

初めて髪を赤く染めたときは、周りからは驚かれることが多く「大胆やね!」と笑顔で言ってくれる人や「似合っとるよ」と声をかけてもらうこともありました。りっくんにとって、赤い髪は特に目に入りやすいらしく「ママわかるよ!見つけやすい」と言ってくれたそうです。

また@8._.brothersさんが帽子をかぶったときには「髪が見えんと、どこにおるかわからん」と言われたことも。
「それだけ、この赤い髪がりっくんにとって大切な目印になっている」といいます。

遠くでは見えにくいこともありますが、以前のように知らない人についていくことはなくなりました。

りっくんとお母さん(@8._.brothersさんより提供)
赤い髪にしたのは…(@8._.brothersさんより提供)

工夫しながら見え方に寄り添う

髪を染め続けるには定期的なお手入れや色の維持が必要で、@8._.brothersさんはできるだけ髪に負担がかからないよう工夫しているそうです。

「手間はかかりますが、りっくんが安心したように笑ってくれると、この色にしてよかったと心から思えます。りっくんにとってこの髪がママの目印であるように、私にとってもこの色はりっくんを見失わないための色になっています」

@8._.brothersさんは、これからもできる限りこの赤を続けていくつもりだといいます。いつかりっくんが「もう大丈夫」と言えるようになったら、そのときは自然と元の色に戻すかもしれないと…。

「それまでは、この色がりっくんにとっての安心のしるしであり続けるように」と、そんな気持ちで染めていると話していました。

できないことに目を向けるより、どうすればできるかを一緒に考えて…

弱視であるりっくんが日常生活において困難なことは、重なっているものの中から特定のものを見つけること。たとえば、机の上にいくつか物が並んでいると、目的のものを探すのに時間がかかることがあります。

また、学校などの外では人の名前を覚えることに苦労も。それは名札の文字が見えにくいため、顔の輪郭や雰囲気を頼りに記憶していかなければならないからです。

「ぼんやりとした中で人を識別するのは、想像以上に大変だと思います」と@8._.brothersさん。

そこで、友達の名前は@8._.brothersさんが何度も呼んで聞かせることで、りっくんが少しずつ覚えていけるようにしたり、友達にも「遠くから呼んでも気づかんかもしれんけど、近くだとわかるよ」といった形で、りっくんの目の特性をさりげなく伝えていったりなど、自然にサポートするようにしています。

家の中では、必要なものに目印をつけたり、物の場所を決めておいたりすることで、今では位置や特徴を覚えて行動できるようになったというりっくん。ただ、特に学校のように人や物が多い外の環境では、やはり目印があると安心できるようです。

@8._.brothersさんは「できないことに目を向けるより、どうすればできるかを一緒に考える時間が増えました。少しずつ自分で工夫できるようになってきた姿を見ると、その成長が何よりうれしく誇らしく思います」と話します。

少しでも誰かの理解や優しさにつながれば…

今回、りっくんのことではなく@8._.brothersさん自身のことを発信したのは初めてでした。それには「同じようにアルビノのお子さんを育てる親や、まだアルビノを知らない方々にも、りっくんの目を通して見え方や感じ方の違いを知ってもらいたい」という思いがありました。

りっくんは光の感じ方が少し人と違い、眩しさの中で目を細めながらも一生懸命まわりを見ようとしています。その姿を見てきた@8._.brothersさんは、見えにくさが時に不安や誤解を生むことも感じてきました。

「だからこそ、知らないままではなく知ってもらうことで変わることがあると信じています。赤い髪の理由もそのひとつで、りっくんの見え方をきっかけに、少しでも理解や優しさにつながれば」と語ります。

りっくんがアルビノであることについては「特別に構える必要はなく、息子は息子のままで十分。光の感じ方や見え方が少し違うだけで、毎日懸命に生きる姿はどの子とも変わりません」と明かしました。

これからも、できないことに目を向けるのではなく、どうすればできるかを一緒に考えながら進めたいそうです。
「工夫すればできることはたくさんあり、その中でりっくんが自分の力を信じられるようになってほしい」と願っています。

さらに親の役割については「守ることだけでなく、伝えることでもある」と話し「アルビノや弱視のことを知ってもらうことで、誰かの視線が少しでも優しくなるなら、その小さな変化の積み重ねが社会を変えていくと信じています」と語ってくれました。

眩しさの中で目を細めながら、周りを見ようとしている人に出会ったとき、私たちはどんな視線を送るだろうか。少し立ち止まって考えることで、優しさを届けられる社会を作れるかもしれません。

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