絵を描くことに憧れはあっても、「自分には才能がないから」と尻込みしてしまう人は少なくありません。
けれども、日々少しずつ積み重ねることで、大きく変化する例があります。
今回は、水彩画を中心にコツコツと上達を遂げた30代会社員の女性・Mさんにお話を伺いました。
「アイスを亀と言われた」――ビフォーの私
オイルパステルで絵を描き始めた当初のMさんは、色を塗るだけでも悪戦苦闘。
混色は濁り、構図もバランスも思うようにいかず、出来上がった絵はどこか幼い印象だったといいます。
「友人にアイスクリームを描いたつもりが、『え、亀?』と言われて(笑)。自分でも『下手だな』と感じていました」
始めたきっかけは“心の安定”
Mさんが描き続けようと思った原動力は、絵を通じて心が落ち着く感覚でした。
「仕事や日常でモヤモヤしても、紙に向き合うとスッと自分に戻れるんです。そんな時間が好きで、もっと上手に描けたらさらに楽しいだろうなと思いました」
転機は水彩との出会い 変化を感じるまで1年半
試行錯誤の末、水彩絵の具に切り替えたことで色のにじみや重なりの美しさを実感し、一気に描く楽しさが芽生えました。
「最初の半年は迷走でしたが、水彩にのめり込んでから半年ほどで『あ、色が思ったところに置けた!』と手応えを感じる瞬間が増えました」
明確な変化を自覚したのは、描き始めて約1年半後。
「自分の絵を見返したとき、ふと『これ、きれいじゃない?』と思えた瞬間があったんです」
上達の秘訣は“観察と模写”
成長を後押ししたのは、上手な人の作品をとことん観察し、同じ構図や色合いで真似して描く練習でした。
「ただ見るだけでなく、『この影は何色を重ねている?』『線のリズムは?』と分析して、そのまま手を動かすと、少しずつコツがつかめました」。
モチベーションが折れそうなときは“筆を置く”
「うまくいかない」と感じたときは、あえて筆を置き、好きな画集やVlogを眺めて心を満たしたといいます。
「描きたくなるまで休む。すると、次に筆を取ったときにスッと描けたりするんです」
“コツコツは裏切らない”――経験がくれた自信とメッセージ
現在も「まだまだ伸びしろだらけ」と笑うMさんですが、絵を通じて「私はコツコツやればちゃんと伸びる人間なんだ」と実感できたことが大きな収穫でした。
これから新しいことに挑戦する人へ、こうエールを送ります。
「ヘタでもいい。最初の一歩があるからこそ、変化が起こる。途中で迷っても、続ければ必ず『あ、ちょっと変わったかも』と思える日が来ますよ」
“アイスを亀”と指摘されたビフォーから、自分の絵に「きれい」とときめくアフターへ。
Mさんの歩みは、今日もどこかで踏み出そうとする誰かの背中をそっと押してくれそうです。
