子どもの行動は、時に最高の癒やしとなり、明日への活力となることがあります。
「夜勤明けで夜中に帰ってきて、キッチンにそれを見つけたんです。思わずクスッときましたね」
そう語るのは、5歳の娘さんのパパのタナカさん(仮名)。ある日の深夜、仕事の疲れも残る中で見つけた一枚の絵が、タナカさんにとって忘れられない出来事になったそうです。今回は、タナカさん親子に起きた、心温まるお弁当のエピソードをお届けします。
夜勤明けの父へ…
それは、タナカさんが夜勤を終え、家族が寝静まった深夜に帰宅した時のことでした。キッチンのテーブルの上に、一枚の紙がそっと置かれていたのに気づきます。
「なんだろう?と思って手に取ると、お弁当の絵だったんです」
描かれていたのは、タナカさんが作るお弁当のイラスト。それは、ただの落書きではありませんでした。
「私の好きなものや、いつものお弁当の特徴をよく掴んで描いてあって。しかも、ちゃんと野菜なども入っていて、栄養バランスまで考えている風なのがまた面白くて(笑)」
その細やかな観察眼と、一生懸命さが伝わる絵に、タナカさんは思わず顔がほころびます。「クスッとしたのと同時に、これは作らなきゃ!という気持ちになりましたね」と、当時の心境を振り返ります。
「これ違う!」画伯のこだわりと、父の小さな失敗
翌朝、タナカさんは早速、絵の“指令書”通りにお弁当作りに取り掛かりました。しかし、ここで小さな問題が発生します。
「絵に描いてある食材が、家に全部揃っていなかったんです。それで、少し違うものを入れたら…子どもに『これ違う!』って怒られちゃいました(笑)」
我が子の鋭い指摘と、お弁当の絵に込められた強いこだわりに、タナカさんは苦笑いしつつも、その真剣さに改めて感心したそうです。
キッチンは小さな画廊?父子の新たなコミュニケーション
この可愛らしいリクエストがきっかけとなり、タナカ家のキッチンには変化が訪れました。
「それから定期的というか、気が向くとキッチンにお弁当の絵が置かれるようになったんです。まるで小さな指令書のようですね」
子どもからのリクエストは、タナカさんにとってお弁当作りの新たな楽しみとなり、親子の間での微笑ましいコミュニケーションの一つになっているようです。
子どもの純粋な気持ちが込められた一枚の絵。それは、忙しい日々を送る親にとって、何よりの励みとなり、日常に彩りを添える宝物のような存在なのかもしれません。タナカさんのキッチンは、今日も小さな画伯からの愛情たっぷりの「指令書」で、温かい空気に包まれていることでしょう。