乳がん患者専門フォトサービス『UNVEIL(アンベール)』は病に挑んでいる(きた)乳がん患者が、外見の変化があっても自身を受け入れる”決意表明”にもつながる『生きるチカラフォト』をお届けすることを目指しています。UNVEILは今年の秋ごろのサービス開始を目指し、7月中旬までクラウドファンディングを実施しています。

UNVEILは闘病中・闘病後の方の勇気や美しさを写真に刻むサービスです。創業者である米澤悠里(ゆり)さんのフラワーコーディネーターだった経験を活かし、その人に合ったフラワーを用いた撮影も用意。花と一緒に撮ることで癒されながら、女性の魅力を引き出せるような撮影をしていきます。

米澤さん自身も乳がん経験者だった

米澤さんは乳がん経験者です。元々はフラワーコーディネーターとして、雑誌やメディア、舞台向けの装飾の仕事をしていました。出産を機に育児休暇を取得していた時期にシングルマザーに。2歳の息子と母親との3人暮らしが始まった頃に乳がんが発覚しました。
早期発見できたものの「私が我が子を守り抜くんだ!」という強い思いから右胸の全摘出を即決。さらに2022年夏の自家組織再建手術前には、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)だったことも判明。がん未発症の左胸と卵巣卵管の摘出手術も同時に行いました。

実は米澤さんの母親も乳がんを2度経験しています。父親も胆管細胞癌で亡くしており、自分も癌を患うかもしれないという心構えはできていました。乳がんの疑いを抱いたのは息子の授乳が終わった後、乳腺炎になるのを防ぐためにお風呂で母乳を出していたときのこと。突然血が出てきたのを見て「これは(乳がんの)可能性が高いな」と思ったという米澤さん。正式にがんの宣告を受けたときは「私の番がきたか…」と受け止めることができたといいます。

2度目手術左胸全摘&同時再建後の写真(米澤さんより提供)

摘出手術後、傷跡を見て…

しかし、自分で決断して摘出手術を行ったものの、お風呂のたびに体に残っている傷跡を見ると複雑な気持ちに…
そんなとき、公私ともにお世話になっているカメラマンから「写真を撮ってあげる」との誘いを受けました。米澤さんによると、摘出手術をする術前の写真を撮る女性は多いですが、術後の写真を撮る女性はまだ国内では少ないといいます。最初は抵抗があったものの、術後の体を撮ってもらったことで前向きに考えられるようになりました。
「写真を見て、自分の新しい体を受け入れる決意が出来たんです。容姿が変わろうと、心持ちひとつで幸せじゃないか。体に傷があろうと心まで病を冒すことはもう辞めようと、この写真のおかげで前を進むことができました」

そして、同じ乳がんサバイバーとして闘っている方々にできることを考えたときに、写真を通じて生きる力をお届けすることに尽きるのではないかと思い、このフォトサービスを思いつきます。
写真には力があると話す米澤さん。「自分を勇気づけてくれるのは自分なので、自分からパワーをもらうのがいちばん。今でもたまに友人たちと旅行に行った時に自分だけ温泉に入れず寂しい思いをすることもありましたが、写真を見ると『私の体がんばったじゃない!』と、自分に応援される気持ちになれます」

実際に乳がんの治療がすべて終わった女性の撮影をした際、その女性は自分の写真を見て「あぁ、私達成したな…!頑張ったな」と自分へのねぎらいになったと話していたそうです。UNVEILの撮影は、乳がんと闘った女性を前向きにさせてくれるパワーがあるのでしょう。

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