息子の結婚式、母は何を思うのでしょう。これまでの苦労でしょうか。自分の今後のことでしょうか。息子が産まれてから息子の結婚式までの軌跡を描いたある漫画がTwitter上で話題になっています。漫画を読んだ人からは、「息子との日々を大切にしようと改めて思いました」「イヤイヤ期の娘にうんざりしてしまっていたタイミングで拝見し、涙が止まりませんでした」などと共感や感動のコメントが多く寄せられています。この漫画を描いたKAKOさん(@isinnkodesu)に話を聞きました。

KAKOさんは、過去に咽頭や食道、右肺に癌などが見つかり在宅医療中、現在もその影響による感染症で治療をしています。また、咽頭癌の影響による声帯の摘出で、人工喉頭を使用してのみ会話が可能な状態です。「私は生きているだけで褒められる身体です」と話すKAKOさんは、約6年前から、漫画を描くことを“生きて思いを伝える”原動力にしているそう。今回の漫画は、息子さんの結婚のお祝いに…と自身の高校の同級生からもらった「子育てを労う本」に感動したことがきっかけで、自分も息子との軌跡を漫画にしてみようと描いたものだそうです。

思春期は“地獄絵図”

漫画の中では、思春期を“地獄絵図”と表現しています。やはり振り返ってみて一番大変だった時期は思春期だったのでしょうか。
「ず〜っと大変でしたよ。産まれてから、それこそ社会人になっても心配は尽きず、親とはそういうモノだと思い知りました。でもあえて『一番大変』な時期をあげるとしたら、思春期だったと思います」

『息子が結婚して、母の気持ちを漫画にしてみました。』4ページ目(@isinnkodesuさんより提供)

また、KAKOさんは成長した息子さんに対し「あなたは私と同じ人間になっていて」と表現も使っています。息子さんが小さいころは、言葉も通じず、『やるな!』と言っても『やる』息子さんが、当時は怪獣に見えていたんだとか。そんな息子さんも成長し変化していきました。

『息子が結婚して、母の気持ちを漫画にしてみました。』3ページ目(@isinnkodesuさんより提供)

「思春期ごろから自分の主張をしっかりと表現出来るようになり、学校や友達との時間を大切に過ごし、親の元から離れて自分の価値観に従って行動するようになった時期が、人間として成長したころだと思っています。もちろん、母の病気は、息子を人一倍大きく成長させたと、信じています」とKAKOさんは当時を振り返って話します。

『息子が結婚して、母の気持ちを漫画にしてみました。』9ページ目(@isinnkodesuさんより提供)

互いに認め合える関係に

息子さんの子育てが終わったと感じたのはいつなのでしょうか。
「難しい質問ですが、子育てが終わると言うより、大人同士として互いに認め合える関係になった時期をあげるとしたら、私の場合は、息子が大学進学で家を離れた時だと思います。私自身も病気で大変な時期でしたし、彼が自分自身で決断を下し、将来を構築していくに相応しい年齢になったと感じました。安心しました」

『息子が結婚して、母の気持ちを漫画にしてみました。』12ページ目(@isinnkodesuさんより提供)

思春期には大変だったという息子さんですが、社会人になった時には家族には何でも話すようになったそう。結婚に関しても、指輪を買いに行く時点からプロポーズの時期まで、KAKOさん家族は、みんなで息子さんの相談にのっていたそうです。「プロポーズから帰った時に、彼女がOKだったと聞いて、家族で万歳三唱しましたよ」と話してくれました。

取材を終えて

KAKOさんの作品は、今回話題となった子育てに関するものから、戦争、そして病気を通じて出会った人のことなど、“命の大切さ”を描く内容も多いです。「病気で自らの命に向き合う期間から、自然にそういう話題になる」と話してくれたKAKOさん。これからしてみたい事を尋ねると…「漫画を描きながら、夫と仲良く余生を暮らしたいなぁ。猫か犬に囲まれたい、希望が叶うかしら?」と話してくれました。
闘病中のKAKOさんですが、“生きて思いを伝える”という力を漫画から感じ、読んでいると元気をもらえます。息子さんの結婚式の話も公開予定とのこと、作品を楽しみに待ちたいです。

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