「もっと赤平の炭鉱が貴重な存在だと知ってほしいです」そう語るのは北海道・赤平市在住の大倉加奈さん。北海道赤平市にある「赤平炭鉱」に魅せられ、その魅力を発信するために活動しています。地域おこし協力隊に従事したのがきっかけで赤平市に移住した大倉さん。炭鉱に関わる仕事に携わるまでの道のりや、赤平炭鉱の魅力について聞きました。

炭鉱に魅せられ移住

大学卒業後に就職した会社では、志望した広告関連の業務に就けず、自身のやりたいことを求めて広告代理店へ転職した大倉さん。印刷物のデザインを担当し、ポスターやチラシ、パンフレットなどの紙媒体を中心に経験を積みました。ところが、念願の広告代理店でやりがいを持って働いていた矢先、毎日終電では帰れないほどの激務に体調を崩してしまい退職を決意します。

子供のころから、テレビで放送されていた「インディ・ジョーンズ」や「天空の城ラピュタ」などに出てくるピラミッドや遺跡のような「得体のしれない、ミステリアスな古い建物」にロマンを感じていたという大倉さん。炭鉱も、大学生時代にYouTubeで廃墟動画を見ていた時に存在を知り、規模が大きくてミステリアスな雰囲気に引き込まれていったのだといいます。

「自分が好きなところで好きなことをしたい」と、デザイナーの求人を出していた赤平市の地域おこし協力隊に応募、炭鉱のある赤平市への移住を決意しました。

赤平の風景

移住当初は戸惑うこともあったものの、地元の企業からチラシ制作の依頼が舞い込んでくるなど様々な縁を通じてデザイナーとしての仕事に携わるようになりました。そして炭鉱に関わるデザインの仕事も手掛けるようになったのです。

「いろんな縁があって、少しずつ赤平市の皆さんに受け入れてもらえたのかなと。今では炭鉱に関わるデザインも依頼されるようになりました。まさか炭鉱にまつわる仕事をすることになるなんて夢にも思ってなかったので嬉しかったです。好きなデザインの仕事ができているので、毎日が充実していて今すごく楽しいです。」

移住当初は、定住する気はなかった話す大倉さん。その後赤平市で結婚し、地域おこし協力隊の任期を終えてからも、ゲストハウス「かなちゃんち」オープンさせるなど赤平市を盛り上げる活動をしています。

「気づけば移住して8年がたち、赤平への移住が人生の大きな転機になりました」

ゲストハウス「かなちゃんち」

赤平炭鉱の魅力を知ってほしい

赤平炭鉱

現在は、赤平炭鉱のガイド補助としても活動できるように勉強中だという大倉さん。赤平炭鉱の魅力を聞きました。

「レールがたくさんある操車場の跡地があるんですが、これをガイド付きで中に入って見学できるのは、日本では赤平にしかないんです。ドイツに炭鉱を見に行ったときでも、こんな場所ってないですし、すごく貴重な存在なんですが、まだまだその事実が知られていないんですよね。建物の寿命もあるので、今しか見れないのでぜひ来てほしいです」

赤平炭鉱の内部

赤平炭鉱は1995年に廃鉱になった近代炭鉱。当時働いていた人や炭鉱が動いていたの間近で見ていた人の生の声が聞けるのは他の炭鉱にはない強みだと力説してくれました。

炭鉱に魅せられ赤平市に移住。今では赤平市を愛する大倉さんは、炭鉱をはじめ、赤平市を訪れる人が増えることを願い、今日も活動を続けています。

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