横浜市役所内の商業施設にある「TSUBAKI食堂」。地元横浜の野菜をメインに創作料理を提供する食堂です。オーナーの椿 直樹さんは、小学生のころ「食は人を感動させることができる」と感じ、料理人を目指しました。現在は、地元横浜産野菜の魅力を発信するべく、食堂の経営と、食育の2本柱で活動しています。今回は、そんな椿さんに地場野菜の魅力や地産地消の取り組みについて話を聞きました。

横浜産野菜への思い

椿さんが横浜産野菜に強く関心を持ったきっかけは、当時勤務していたレストランでの出来事。全国の野菜を使った料理を提供するフェアを実施し、月ごとに各県産の野菜が手元に届いていました。北から順に力強くておいしそうな野菜が届く中、2月という季節だったとはいえ神奈川県産の野菜が、小松菜・大根・ほうれん草・長ねぎという種類の少なさにがっかりした椿さん。地元横浜産の野菜にはどんなものがあるのか知りたくなり地場野菜を求めて農家に通うようになりました。そして、身近なところにも意外と野菜があることを知り、この横浜産の野菜を広めていきたいと動き出しました。

「とれたての地場野菜を調理すると、他県から取り寄せた野菜とは比べものにならないくらいのパワーを感じます」

店内には生産者の方を写真で紹介

TSUBAKI食堂店内には、その頃から一緒に活動し、横浜産野菜を育てている農家の仲間が所狭しとパネル展示で紹介しています。

横浜地産地消めぐりの18区丼で魅力を発信

18区丼 南区 にぎわいそば定食

TSUBAKI食堂のメインメニューは、横浜地産地消めぐりの18区丼。
各区で採れる野菜や、釣れる旬の魚をメニューに盛り込み、その区で採れたものを余すところなく味わってほしい、という思いを込めた限定メニューです。18もある横浜の各地区の地元の魅力を改めて知り、感じるきっかけ作りのひとつとして生まれました。

果実が多く採れる地区、太刀魚が釣れる地区など、その区で採れるものの旬に合わせた18区丼は大好評。食を通して、横浜の各区を知ることができます。また、18区丼に合わせて、その区のワークショップや、おすすめの野菜の食べ方、加工品の紹介や販売を行うマルシェなども数多く開催し、横浜産野菜の魅力を発信しています。

食育を通し地産地消が根付き広がるように

椿さんは横浜産の野菜の魅力を広めるとともに、地産地消が根付くよう子どもたちへの食育活動にも取り組んでいます。食育の中身はというと、年齢に応じてさまざまなアプローチがあるようです。

子どもたちと調理をする椿さん

例えば保育園や幼稚園など就学前の子どもたちには、「好き嫌いが少しでも減り、食に興味を持ってほしい」との思いから、ニンジン団子を目の前で作るなどのパフォーマンスも披露。それを見た子どもたちは、苦手と思い込んでいたニンジンの変身を見て、食べたい!と大騒ぎするんだとか。

また小学校6年生に対しては、農家に教わり自ら野菜を育て給食のメニューをとして食べるという学びを1年かけて教えています。

TSUBAKI食堂と小学校との取り組み 地産地消について

「1年かけて、食を通してインパクトを残したい、地域を大事にすることは、自分が豊かになることを子どもたちに伝えたい」と椿さんは話します。

また、学校との連携のほか地産地消を広げる目的で料理教室も開催しています。
お世話になっている農家へ子どもたちと一緒に行き、収獲し、調理する教室では、野菜そのものの味を子どもたちに感じてもらうため、あえてシンプルに生のままや焼いて食べます。人参などは生でかじるのが地場野菜採れたてのおいしさを一番感じられると話してくれました。

椿さんの願いがこもった「TSUBAKI食堂」のワークショップやイベントで地産地消について学び、地場野菜の魅力をめいっぱい楽しんでみませんか。

横浜野菜・地産地消 TSUBAKI食堂 正面入口

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