犬のアイコンが印象的なYouTubeチャンネル「チロちゃん」。動画の主人公は、じいちゃんばあちゃんです。高知県に住んでいる92歳のじいちゃんと、89歳のばあちゃんの、撮影を意識しない会話や調理風景など自然体な姿が投稿されています。
視聴者から「亡くなった祖父母を思い出します」「祖父母を大切にしよう」「田舎に行こう」「自分の祖父母と重なる」といった感想が寄せられており、登録者数17.7万人(2022年3月31日時点)と、人気のチャンネルになっています。

じいちゃんばあちゃん

投稿者は、じいちゃんばあちゃんの初孫であり同居中の、ともひろさん。以前から8ミリカメラなどで祖父母や家の周囲の景色などを撮影していた経験を生かし、約10年前からYouTube投稿を始め、孫と祖父母ならではの距離感で撮影を続けています。

じいちゃんばあちゃん

「チロちゃん」の登場人物

「チロちゃん」の主人公・じいちゃんばあちゃんは、ともひろさんにとって“育ての親”。1930年生まれ・92歳のじいちゃんは、昭和初期生まれらしい厳格さや亭主関白気質なところもありますが、ユニークな一面も垣間見せてくれます。

ユニークなじいちゃん

1932年生まれ・89歳のばあちゃんは、愛嬌ある性格で友達も多く、婦人服店で働いていたこともあっておしゃれ。

おしゃれなばあちゃん

ともひろさんは幼い頃に病弱だったこともあり、じいちゃんばあちゃんから「甘やかされて育った」と言います。

「僕の言うことを否定することもなく、2人は僕の“言いたい放題”を、受け入れてくれましたね」

ともひろさんと、じいちゃんばあちゃん、3人の高知弁での会話はいつも自然体。柔らかく穏やかで、クスッと笑えるシーンもあります。自分たちの考えを言い合い、受け止めあう3人の姿に惹きつけられます。信頼しあっているからこそ“言いたい放題”ができるんだと感じさせてくれる、楽しそうな「家族」の姿が浮かび上がってきます。

じいちゃんばあちゃん

動画はともひろさんにとって「かさばらないアルバム」。ほのぼのとした何気ない日常に溢れている感動や笑いを共有し、YouTuberとして“何気ない日常”を伝えたいと思っています。チャンネル名にもなっている「チロちゃん」は、ともひろさんが18年間飼っていた犬の名前からつけられています。

アイコンになっている犬の「チロちゃん」。

ばあちゃんの料理シーン

数ある動画の中でも多く取り上げられているのが、台所に立って美味しい料理を作ろうとするばあちゃんの姿です。日々の料理からともひろさんの弁当まで、手際良く準備する姿は、89歳とは思えません。

手際よく料理をするばあちゃん

その中で、ともひろさんの大好物は「かつおの漬け込みたたき」。だしつゆに、ゆず酢と砂糖を加えてたれを作り、そこにかつおのたたきを漬け込むメニューです。

大好きな「かつおの漬け込みたたき」

ばあちゃんがともひろさんの弁当を作った期間は約15年間。朝5時に起床して、健康のことを考えた弁当を準備しました。

「ボリュームあるばあちゃんの弁当を食べると、仕事で疲れないんです。愛情たっぷりのお弁当に、感謝です」

2020年5月には、ばあちゃん初のキャラ弁が登場。ここに一つのエピソードがありました。

「実はばあちゃんと、些細な事でけんかをしてしまったんです。翌朝も気まずく、互いによそよそしい感じでした。それでもばあちゃんは、いつものようにお弁当をもたせてくれました」

ばあちゃんが作った初のキャラ弁。

お弁当の愛らしい姿に感動し、様々な感情が込み上げてきて涙が止まらず、食べ切ることができなかったともひろさん。帰宅して互いに「ごめんね」と、素直な気持ちを語り合う様子は、ともひろさんにとって「一生モノの大切な思い出」となり、視聴者の涙を誘います。何気ない日常生活にこそ、優しさや思いやりが溢れているんだと気づかせてくれるような投稿です。

思い出を共有し、増やしていくのが「動画撮影」

じいちゃんばあちゃん

動画撮影は家族が集まるきっかけとなり、関わり合う時間が増えたと、ともひろさんは語ります。

「以前は食卓は別々だったのですが、撮影を通じて集まるようになり、共に食事をするようになりました。また高知の観光地やお店に一緒に訪れたりと、共有する思い出が多くできました」

イルカとたわむれる、じいちゃんばあちゃん

ともひろさんが願っているのは、これからも、これまでと変わらない「日常の何気ない光景」が続くこと。その大切さと尊さを込めて、今日もチャンネル「チロちゃん」は更新されています。

じいちゃんばあちゃん

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