インスタグラム(@miki_makes_cakes)に並ぶ、華やかで愛らしいケーキの数々。柔らかな色合いや愛らしいデコレーションは「どんな味だろう」と想像を掻き立てられます。実はこのケーキ、「犬用」なので驚きです。作成者は、香川県高松市在住の石原三紀子さんです。

石原さんと、右がレオ、左がアロ。

犬が安心して食べられる素材

石原さんの作る犬用ケーキは、主におかず系とスイーツ系の2種類をメインにベースを作成。おかず系には、焼いたり蒸したりした鶏の胸肉を使っています。スイーツ系はスポンジ生地がベースとなっています。

ベースに、さつまいもでデコレーション。

デコレーションには、ヨーグルトやさつまいも、自然素材の植物パウダーを使用。柔らかな色合いは、パウダーの分量を変えてグラデーションを出しています。

丁寧なデコレーションと、センスに脱帽。

人は目で見て、犬は味で楽しめる。楽しい思いを共有できるのが、この「犬用ケーキ」なのです。

「犬も人も一緒なんです。大切な存在に変わりありません」

完成です。

国産にこだわった、安心して食べられる素材を使用しているため、味わいは犬用に仕上げていますが、人間が食べても問題ありません。

受け継いだ「手作り」のケーキ

石原さんのケーキ作り歴は、およそ20年近く。3人の子どもたちの記念日には、いつもケーキを手作りしていました。

「例えば『苺をいっぱい載せて欲しい!』とか。その時の気分や好きなもののリクエストに応えやすいのが、手作りなんです」

@miki_makes_cakesの犬用ケーキ

子どもたちの喜ぶ顔が見たくて手作りしていたという石原さんは、自身も母親にケーキを作ってもらっていたそう。その頃の嬉しかった気持ちをケーキに込めていました。

その後、子どもたちも成人。誕生日やクリスマスなどの記念日にケーキをプレゼントするのは、大切な存在である愛犬のレオとアロへと受け継がれました。

「市販の犬用ケーキを買いに行ってはみたのですが、どんな素材を使っているのか気になってしまって、結局買えなかったんです」

人間は食べることができても、犬が食べてはいけないものがあります。例えば砂糖もそのひとつです。食べても大丈夫な食材を使っているか、石原さん自身の目で確かめて判断できる食材を使った犬用ケーキを「自分で作ろう」と思うようになったとか。

国産素材をはじめ、海外の物でも有機栽培された安全なものを使用。

デザインやデコレーションについては色鉛筆で絵を描くところから始め、イメージをあたためてから本番のケーキ作りに臨みます。

「暇さえあれば調べものをしたり、子どもたちにデザインの相談をしたりしています。今ではもう、手作り以外は考えられなくなりましたね」

「安心なものを食べてもらいたい」という思いが繋がって

@miki_makes_cakesの犬用ケーキ

記録として残すため、完成した犬用ケーキの写真をインスタグラムに投稿していたところ「作っていただけませんか?」とオーダーが入るようになり、2021年11月から注文を受け始めました。発送は行っておらず、高松市内で待ち合わせが可能な人のみへの対応になっています。

「冷凍は嫌だった」という石原さんからは「食べて安心なケーキ」への強いこだわりが感じ取れます。

クレープで包んでいるかのような犬用ケーキ。

「お客様からは「可愛い』や『キレイ」という声も届きますが、注文を受け始めて何より嬉しかったのが、安心で安全な素材を使っているものを犬たちに食べてもらいたい、という人たちとの出会いです。『一緒の気持ちを抱いている人たちがいるんだ!」と嬉しく思いました」

その嬉しさは、やりがいに繋がっているそう。今はとにかくケーキを作りたくてたまらず、楽しい日々を送っていると石原さんは話します。

「誕生日用ケーキの注文を受けた時は『楽しんでくれるといいな』と思いながら作っています。ワンちゃんが食べている動画を送ってくれる方もいて、とっても嬉しいんです」

@miki_makes_cakesの犬用ケーキ

犬用ケーキ作りを通じて出会った、喜びとやりがい。大切な「家族」へのケーキ作りは、これからもヒートアップしそうな予感です。

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